2015
11.11

世界が踊る。『WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』感想。

WE_ARE_Perfume
2015年 日本 / 監督:佐渡岳利

あらすじ
いつだって今が、常にスタートライン。



結成15周年、メジャーデビュー10周年となる、あ~ちゃん、かしゆか、のっちの3人組テクノポップユニット「Perfume」。初のアメリカ公演を含む3回目のワールドツアーを実現した彼女たちを追う、まさに「いま」のPerfumeを描いたストレートなドキュメンタリー。

台北、シンガポール、ロサンゼルス、ロンドン、ニューヨークという5都市でライブを行ったPerfume、この映画はその記録です。せっかくのスクリーンでの上映なのにステージの映像がちょっと少ない気もしなくもないですが、それはもうライヴのソフトで観ましょう。本作で映し出されるのは、初めて訪れる国もあるなか、Perfumeの3人がいかにしてステージを組み立てていったのかという舞台裏、経験と手探りの合間でギリギリまで検討を重ね改善していく姿です。その妥協しない姿勢は、観る人を楽しませたいという思いに他なりません。

何より観客としてというよりは、Perfumeと一緒に世界中をツアーで回ってるかのような、スタッフの一人としてその場にいるような感覚が素晴らしいです。演る側としての一体感。共に感じる緊張と高揚。「自分の人生を変えてくれた」と言って泣き出す外国の女性がいる、それだけで泣けます。上映時間はわりと長めですが、それがまた共存感を高めるので、最後のステージでは共に泣くことになるのです。

僕はPerfume大好きなので、ドキュメンタリーとしてどうかとか、ファンじゃない人にはどう見えるとかを冷静に語れている自信がないですが、でもこれを観ればきっと彼女たちのことが好きになりますよ。この3人がいてくれることが奇跡です。ああ、Perfumeのスタッフになりたい人生だった……。

↓以下、ネタバレ含む。








ワールドツアー当時の現在進行の彼女たちをひたむきに追うという、「いま」のPerfumeにこだわった作り。今までの歩みについても少しだけありますが(まだ子供の頃の映像も!)基本的には今現在のPerfumeがひたすら前へ進む姿を映します。インタビューシーンもそれぞれのメンバーへの印象など、思い出や過去などではなく今のPerfumeに関する心情がメインで、あ~ちゃんの前向きさやかしゆかの真面目さ、のっちのおおらかさが伝わります。都市間の繋ぎでいつも同じ曲が流れたり、ひたすらステージの繰り返しが続いたりするので、ドキュメンタリーとしてはちょっと地味にさえ思えてきますが、1ステージごとに細かく修正を加えて少しでも良くしようとする姿はプロフェッショナルであり、エンターテイナーとしての真摯な態度が彼女たちをここまで押し上げた一因であることは間違いないでしょう。

最初のステージこそ「どうやって撮ってるんだ?」と一瞬戸惑ったりしましたが(CGで繋いでたのね)、以降は様々なエピソードがてらうことなく映し出されます。あ~ちゃんはステージの組み立てを自ら提案するリーダーシップといい、淀みない見事な演説といい本当に凄い。のっちが踊りを間違えたことを申告するくだりは実際の映像がカットインされていて笑うし、バックのLEDが直前で故障したことに対し悔し涙を流すMIKIKO先生には本当に無念さが滲んでいて一緒に泣けます。オフショットも満載で、観光する3人の私服が三者三様であったり、移動中の他愛ないおしゃべりが楽しかったり魅力的。「wi-fiキター!」とか微笑ましいです。マーライオンやハリウッドサインや自由の女神を見てはしゃぐ姿は素のまま。飯テロも多くて、シンガポールのチリクラブとか超うまそうだし、特にアメリカの食のビッグさには笑いますよ。特大パンケーキ3枚重ねとか、巨大ステーキとか。あとナレーションの声がどうも聞いたことあるなあ誰だ?と思ったらマイケル・ムーアでしたね。マイケル・ムーアじゃねーよ。「OK go」がバックステージに激励に来てましたが、よく知らないので「抱きついてんじゃねー」と思ってました。

曲の繋ぎを直前まで検討し、マイクを持つ持たないだけでも念入りに調整し、ときには衣装に直しを入れたりセットリストを変えてまで納得のいく形にする。ステージ後には必ずダメ出し会を行い、より良くするにはどうするかを話し合う。それは決して辿り着くことのない、果てしない道のりのようにさえ思えてきます。それでも前を向いて進み続けようという意思に溢れているし、3人以外のスタッフも気持ちは同じなのが伝わってきますね。ステージ直前に3人で輪になり気合いを入れるシーンがありますが、これを毎回カットせず映しているのがたまらない一体感を感じさせてくれます。

車窓の曇りガラスに文字を書くあ~ちゃんや一人で振りのおさらいをするかしゆかなど、異国での舞台に不安を滲ませる姿も垣間見せていた3人。しかしそんな心細さを吹っ飛ばすかのように、会場前には一帯のブロックをぐるりと回るほどの長蛇の列。会場はどこも大入り。そして幕が開いたときの大歓声。初めて来たLAでさえこれです。泣きます。『Enter the Sphere』に始まり『チョコレイト・ディスコ』や『ワンルーム・ディスコ』といった人気曲の数々。『ねぇ』のサビを一緒になって叫び歌う白人男性。セットリストを変えてラストに持ってきた『ポリリズム』の破壊力。マイ・フェイバリットの一つ『Dream Fighter』も。そしてこれまた大好きな『MY COLOR』だけは1曲フルで流れて感激。都市によってステージ後に観客たちが合唱している曲が違うのも面白いし、それを舞台袖で聞く3人の姿にも涙です。

大成功を収めたワールドツアー。しかしこのドキュメンタリーがあくまでPerfumeの「いま」を映していたように、彼女たちの進む道はまだまだ続いていくのです。最後の打ち上げであ~ちゃんが宣言した「次はマジソン・スクエア・ガーデン、2Days」。いつだって今がスタートラインである、と歌うエンディングの『STAR TRAIN』にじんわりしながら、これからもPerfumeの歩む道を追いかけていきたいと思うのです。

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