2015
11.10

さよなら平穏な日々。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ 哀しみのアルテイシア』感想。

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2015年 日本 / 監督:今西隆志

あらすじ
アルテイシアちゃんマジ天使。



宇宙世紀0071年。サイド3から地球へ脱出したキャスバルとアルテイシアの兄妹はエドワウとセイラと名を変え、平穏な日々を過ごしていた。しかし権力を手中にしたザビ家はジオン自治共和国として地球連邦軍に対抗するための準備を進める――。『機動戦士ガンダム ジ・オリジン』作者の安彦良和自らが総監督となり、若き日のシャアとセイラを描いたシリーズの続編。

前作の感想はこちら。
さよなら故郷。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』感想。

シャア・アズナブル誕生を描くシリーズ第2弾。ますます勢力を伸ばすザビ家に対し、逃亡先の地球でくすぶるキャスバル改めエドワウと、アルテイシア改めセイラ。この兄妹の波乱に満ちた生活と、さらに勢力を伸ばすザビ家を中心に、一年戦争へ突き進んでいくドラマが描かれます。謀略ものとしてのアクションやサスペンスは相変わらず豊富、ではあるんですが……それらのバランスが素晴らしかった前作に比べると、今作はドラマチックな盛り上げにこだわりすぎの気がするし、芝居も音楽もやたらと仰々しいです。肝心なところが駆け足すぎるし、ラストも盛り上がりに欠けるしで、どうも今回は尺が足りてない気がするんですが……。

タイトル通りアルテイシアに寄った話なのはいいんだけど、キャスバルの内面がほとんど分からないのは不満。その前にですね、池田秀一の声がシャアに合ってない、という天地のひっくり返りそうな事態に戸惑いを隠せません。少年時代の田中真弓もいまいち合ってないなあと思ってたんですが、それ以上に不自然。なんだろう、若々しい役は合わないんですかね……。しかし!その分おれたちのランバ・ラルがカッコ良すぎるのと、ハモンさんがエロ美しすぎるのでオッケーです!ロボアクションはさらに少なくなってますが、ザクの前身と思われるモビルワーカーが出て来て燃えますよ。これは良いです。ああいう重機っぽいの好きです。しかも青い!

後に活躍するあの人やあの人も顔見せしてくれるのはちょっと嬉しいですね。ダイクンの遺児であるシャアとセイラがどういう経緯で離れてしまうのか、その序盤が描かれていきます。しかし最後の最後、まさかそう来るとは……。

↓以下、ネタバレ含む。








後のクワトロことシャアことエドワウことキャスバルが(ややこしい)何を思い日々を過ごしていたのかは、そもそもクールだというのを引いても分かりにくいです。メインがアルテイシアであるとはいえちょっと物足りないですね。アルテイシアを大事にしているのは確かだと思ってたけどそれもラストでふいに旅立ってしまうので、かなりやさぐれてはいるようです。尾行してきた男を酒場でボッコボコにするときの狂気が滲む姿にはさすがのアルテイシアちゃんもドン引き。キャスバルを怖がる校長をどやしつけたマスさんでさえその直後に自分がビビるほど。しかしアルテイシアちゃんの「お兄さんキライ」攻撃で「もう二度としないよ」とあっさり謝る辺り、自分をコントロールできないでいる不安定なお年頃のようです。唯一表情を歪めるのが母の死を知ったときで、あそこが大きな転機なのでしょう。見た目そっくりのシャア君が出てきた時点で「あっ……」と今後の展開を察してしまいますね。何気にジンバ・ラルじいさんの帝王学やシャア君ほか周りがもてはやすダイクンの功績にも影響されているのかも。

アルテイシアちゃんは走り回って泳いで馬に乗ってと予想外にアクティブ。利発で真っ直ぐな感じが滲み出ていますが、やかましかったジンバ・ラルじいさんを失い、ひたすら再会を夢見た母を失い、ラル大尉をこき使ってまで連れてきた愛猫のルシファーを失い、ついには兄まで去ってしまう。ちなみにルシファーは『シンデレラ』の継母が飼ってる猫と同じ名前ですね。夢見る少女が現実の哀しみに打ちのめされ、後のクール・ビューティーとなっていくのでしょうか。思えば「よろしくて?」みたいなあの口調もお嬢様として育った環境が影響してたんですかね。

そして没落したラル大尉はと言えば、憂さ晴らしに連邦のマナー知らずをフルボッコしたり(あの連邦さんたち日本のサラリーマンみたいね)、ハモンさんの膝の上でゴロゴロしたり(羨ましいにもほどがある)、敵であるザビ家のドズルに見出だされ、ガイア、マッシュ、オルテガのヤクザ兵士たちと共に、不覚にも新型機でテンション爆上げという、なんかもう色々最高です。モビルワーカーはちょうどガンダム新作の『鉄血のオルフェンズ』にも出てきますが、あれよりはモビルスーツに近い感じですね。なぜ右手がペンチなんだというのは謎ですが、ロボットアクションはそこしかなくて物足りないながらも、モビルスーツ開発初期のエピソードとしてはなかなか魅力的。

今回はキシリア様のお色気シーンがないのが残念ですが(そうでもないか)、後に「坊やだからさ」と言われるガルマが坊やとして登場したり、ミライお嬢様が出てきたり、ちっこいアムロがハロと一緒に出てきたりするサービスも。ハロが市販品であるというのは公式設定のようで、今作でその認識は広まったんじゃないでしょうか。僕もハロはアムロが自分で作ったんだとずーっと思ってました(かなり改造はしたみたいですが)。

舞台は地球のお屋敷だったり、そこで鎧と対決したり、コロニーに行ったら西部劇になったりとせわしないですが、謀略の結果から一歩進めた先の世界、不穏さがさらに増した様々な背景が見えてきたと言えるでしょう。ちなみに、タイトルで「Ⅱ」と出たときに「ガンダムはなんとなくⅢまで欲しいよなあ」などと、てっきり前後編だと思ってたのでエンドロール後には驚きました。まさかの三部作、どころか四部作だったとは。そして同じスタッフによりガンダム大地に立つ!の試作映像まで!次回作ではさらにエキサイトできる展開を期待です。

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