2015
11.03

プランはなくてもとにかく走れ!『メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮』感想。

maze_runner2
Maze Runner: The Scorch Trials / 2015年 アメリカ / 監督:ウェス・ボール

あらすじ
これも一つの迷路です。



ようやく迷路を抜け出したトーマスたちだったが、彼らを迷路に送り込んだ組織WCKDから逃れるため灼熱の太陽の照り付ける砂漠のような世界に飛び出すことに。ジェームズ・ダシュナーのティーン向け小説を映画化したサスペンス・アクション『メイズ・ランナー』のシリーズ第2弾。

前作の感想はこちら。
不条理を突き抜けて走れ!『メイズ・ランナー』感想。


前作は迷路という特異な設定と閉鎖空間からの脱出というスリル、謎に満ちた展開といった面白さで魅せてくれましたが、今作はほぼ別物。砂漠と廃墟をメインとした舞台は広大さを強め、前作で脱出した者たちを中心にしながら新たな登場人物も増えて話も膨らんでいます。YA(ヤングアダルト小説)原作でありながら恋愛要素が皆無なのが余計なノイズがなくて良いですね(BLの雰囲気はなくはないですが……)。

ただ、ミステリアスな雰囲気で引っ張る前作と違い、ほとんどの謎は早々に明かされてしまうし、様々なシーンで既視感が多くちょっと新鮮味には欠けます。翻弄されながらも戦う若者たちのドラマがメインだとしても、キャラ萌えだけではちょっと厳しい。まさかの別ジャンル要素を足してきてスリルを増すのはまだしも、ノープランで逃げ回るだけの展開や、砂漠を行くのにそんな装備で大丈夫か?な出で立ちなど、どうにも粗さと物足りなさが残ります。

スピード感は相変わらず良いし、ディストピアなビジュアルはかなり良い出来だし、トーマス、ミンホ、ニュートといった主要メンバーにホレ込んだ人ならいいんじゃないでしょうか。ちょっと長さは感じますが。3部作の2作目にあたるし、次作への引きはなかなか興味を引かれるものがあるしね。ただ3作目は2017年公開予定なので、2年近く待つことになりますが……。

↓以下、ネタバレ含む。








ニュートが今回あまり目立たないのは不満ですね。彼は頭脳派&統率力に優れたできる子のはずなので、てっきり彼がもっと上手く仕切るのかと思ってましたが、ちょっと苦言を呈したりはするものの基本的にトーマスと行動を共にするだけ。で、そのトーマスがヤバいものを目にしてそのたびに「逃げろ!」と言って逃げまくるだけなので、抵抗したり戦ったりもするものの、なんか逃げてばかりいる印象。まあこの世界がある意味「迷宮」のようではあるし、そこを走りまくるということでタイトル通りとは言えるかもしれません。ただ、軽装備で食料もなく砂漠を渡るという不自然さが特に言及されないのは難。ついでに、あの物資不足の逃避行の中でミンホはどうやってあのおっ立てた前髪をキープしてたんだろうか。気合いですか?でもミンホは序盤の跳び膝蹴りがナイスだったので許します。

今作で目を見張ったのはまさかのゾンビもの要素を入れてきたことです。そもそも人類が苦しむフレア・ウィルスの抗体を持つ少年たちが迷路に閉じ込められていたわけですが(なぜか吊り下げられて抗体を抽出される)、このウィルスが発症するとゾンビ化するものだったとは驚き、と言うか「え、そっち?」って感じです。この「クランク」と呼ばれる走る系ゾンビ、見た目も腐ったというより干からびたという感じで差別化はしてるし、木の根っこみたいなのから出てくるタイプなどバリエーションもあるし、追われるシーンはなかなかのスリルなので悪くはないんですが、どうも「そっちかぁ……」という思いが付きまといます。あとクランクの絡む場面に限らずかなり暗いシーンが多くて、敢えてのライティングだろうとは思うんですが、ちょっと何をやってるか分かりにくいシーンも結構ありました。終盤のWCKDが襲い来るところでは一度戦闘シーンをやって、捕まった後にさらにまた同じような戦闘シーンがあるのはちょっとくどいし。あ、でも傾いてる高層ビルでブレンダがガラスの上に落ちてピキピキ!って割れそうになるシーン、『ロスト・ワールド』だ!とは思いつつ良かったです。

ネット上で「暴走機関車トーマス」という呼び方を見かけて笑っちゃったんですが、それくらいトーマスの暴走度は高いです。何の計画もなく逃げ回るというのがサスペンスを薄めているというのはありますが、そこは何も分からない世界に放り出されたのだからしょうがないとしましょう。問題は、トーマスがもっと説明するなり話し合うなりすればいいのに一人突っ走ったり一人はぐれたりするので、他のメンバーがどんどん目立たなくなることなんですよ。ミンホみたいに前作から目立っているならまだしも、ニュートでさえ先に述べた通りだし、途中で噛まれてリタイアする彼とか黒人の彼なんかは影が薄くて名前さえ覚えてないです。新キャラのエリスは地味すぎてライトアームズへの顔つなぎという印象しかないし、逆にこれも新キャラであるブレンダはトーマスとの絡みがやたら多くてキスシーンまで見せる。キャラ間のバランスが悪くなって、前作で良かった点であるチームものとしての側面が少し崩れている感があります。ライトアームズのエリスの知り合い女子二人なんてかなり可愛かったのでもっと目立って欲しかったけど、いつのまにか一人死んじゃってるしなあ。全ての記憶が戻ったテレサに何も聞かないとか、噛まれたブレンダのことを倒れるまで誰にも言わないと言うのも不自然。

ただ、前作でもそうだったように「男たちが全力疾走する姿の良さ」というのは十分にあるので、この点は満足です。そしてラストでテレサの裏切り、捕らえられたミンホという急展開にはやはり続きが気になるというもの。ミンホを救うため立ち上がるトーマス、彼に記憶が戻ったとき世界はどのように変容するのか。期待は持ち越すことにします。

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/992-ca7f9b8b
トラックバック
back-to-top