2015
10.30

並び立つ男と車と女たち(と親父)。『トランスポーター イグニション』感想。

Transporter_Refueled
The Transporter Refueled / 2015年 フランス / 監督:カミーユ・ドゥラマーレ

あらすじ
エビアン社員は最強。



どんな依頼も遂行する運び屋・フランクの今回の依頼主は妖艶な美女アンナ。しかしアンナに父親を人質に取られ、運び屋以上の働きを強制される。やむを得ず依頼をこなすフランクだったが、その裏には想像以上の思惑があった。ジェイソン・ステイサム主演で人気を博した『トランスポーター』シリーズが新たな主演を迎えて送るシリーズ第4弾。

黒のスーツでビシッとキメた運び屋フランク・マーティンが帰って来た(別人になって)!いや、ステイサムじゃないトランスポーターなんて、というのも分かりますが、主役刷新のこれはこれでフレッシュで良いですよ。一対多の肉弾バトルや周囲に転がる物を武器に変えての格闘アクション、自動運転も取り込んだハイテクカー、アウディS8によるカーアクションと、工夫を凝らした無双格闘&車アクションは実に楽しいです。

物語は意外とミステリー仕立てというかスパイもののようなミッションが展開され、それに巻き込まれるフランクが契約と男気で悪党どもをのしていきます。3人の金髪グラサン美女たちは一体何者なのか。そして狙いは何なのか。思ったより凝った計画が遂行されていくのも面白いです。所々大味なところはありますが、そこはベッソン印なので許容範囲。そして主役を食う勢いの活躍を見せるフランク父が最高にイカす!エビアン!フランクが若返ったことで、その父親が登場しても年齢差に矛盾がないのは利点ですね。今作は若干のチーム感もあるので少しだけ『ワイルドスピード』シリーズを思い出しました。シリーズ未見でも楽しめそうです。

名前を聞かない、契約厳守、荷物は開けない、の3つのルールは早い段階でどこか行っちゃうので、同性同名の新しい運び屋と思っておきましょう(そもそも頭髪の量がイヤなんでもない)。薄い唇が印象的な主演のエド・スクレインも、若干重厚さには欠けるもののスマートで十分すぎるほど強いです。しかし『ターミネーター:新起動』『ジョン・ウィック』に続き、またもや『ゲーム・オブ・スローンズ』出演者ですか。スゴいなあのドラマは。スクレインは『デッドプール』で敵役エイジャックスもやるらしいですよ。そして『マイティ・ソー』などにも出ている父役のレイ・スティーブンソン、この人のお陰でスパイものの空気感と大人の色気まで加わってとても良いです。

ちなみにエンディング曲は日本版主題歌に差し替えられちゃってますが、この曲が聴いてるとメロディとか合いの手とかちょいダサで笑っちゃうんですよ。「トランスポータ~♪(イグニッション!)」て何回も繰り返してて「ブフォ」ってなります。タイトルをフルで入れてるのはまだ好感が持てる方ですが……歌ってるのはEX○LE関係の人でした。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭から一対多のアクションを見せてフランクの強さをまず示してくれます。拾った鉄棒の二刀流でクラブの用心棒たちとの乱闘、狭い通路で両面に並ぶ小引き出しを開け閉めしながらの攻防などの見せ場もふんだんに用意され、船の中にある浮き輪で相手をがんじ絡めにするというコミカルさも織り混ぜてます。フランクを中心に据えてカメラがぐるりと回るなど、演出面でも色々工夫が見られますね。カーアクションも街中での高速カーチェイスを始め、車で消火栓を次々壊して路面を濡らし追っ手を滑らせるとか、離陸前の飛行機の真下に付いての救出劇など様々。車を自動でゆっくり走らせるのと並行して敵を倒していくとか面白いです。ラストは相手も手強いのかと思ったら意外とそうでもない、でも負けそうになるという若干の煮え切らなさはあるものの、あの狭い崖上でバトるのは大したものです。

まあ都合のいい展開はありますよ。見分けがつかなくするためといいながらブロンド3人は却って目立つのでは?とか、さらわれたはずの親父がやたら女たちに協力的だとか(まあこれは女好きってことで全然オッケーですが)、フランクなら女たちに目の前で脅されても逆に一人を人質に取って交渉とかしそうなもんだけど(それじゃステイサムすぎるか)。車を変えると言って全く同じ車に乗り換えるのは大丈夫なの?とか、親父がまたもや捕まったときには「ピーチ姫か!」と言いたくなります。

でも搾取された女たちが命懸けで復讐するミッションが結構細かく計画されており、それを何もないところから成し遂げていくのがとても良いんですよ。事前に病院で麻酔ガスを奪取した上でクラブ制圧を行うし、飛行機を乗っ取るときも機長の誘惑と飛行機搭乗を一人で行うため、機長の見張りにはチンピラを雇い報酬を部屋の金庫に入れておくことでコントロールする。暴走しかけた飛行機をちゃんと止めるのを描くのも気が利いてます。フランクをこき使うために父親をさらっておくのも計画通り。それらを順を追って遂行するなかで、キッチリとアクションを入れていくのが良いです。最後に親父をさらわせて疑う仲間と鉢合わせにさせるとか、その隙に金をいただくとか実に細かい。綱渡りの連続でちょっと無理がある計画だとは思うし、仲間割れさせた後でどう逃げようとしていたのかが曖昧という詰めの甘さもありますが、そこは誰か一人でも生き延びて各々の振込先に金が入れば良しということなのでしょう。それだけに終盤で次々と倒れる女たちがもの悲しいです。

それにしてもエビアン営業として世界中を回ったというフランクの親父がどう見てもただ者じゃないのが笑います。英国のスパイってことなんでしょうが、ノリがまんまかつての007で、自分を誘拐した女といい雰囲気になっちゃうし、ノリノリで飛行機の機長まで演じるし、両手に花でウハウハだし。そりゃあれだけの活躍を見せれば最後にフランクだけでなく親父にも1000万振り込みますよ。エンドロールにしっかりエビアンのロゴが出てくるのがまた笑えます。

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