2015
09.22

ゲーマーの見た夢。『ピクセル』感想。

Pixels
Pixels / 2015年 アメリカ / 監督:クリス・コロンバス

あらすじ
ピコピコ♪



30年以上前にNASAが宇宙との交流のため発信した映像、その中にあった当時のゲーム映像を見た宇宙人が宣戦布告と思い込み、ゲームのキャラクターまんまの形で地球に侵略してきた。触れられたものはピクセル化してしまうという人類の危機を救うべく立ち上がったのは、かつてのゲームオタクたちだった!というSFアドベンチャー。

なんというか、色々と潔いです。一介のヲタが世界を救うという設定の不自然さを、さらなる不自然さでカバーする力技な設定。宇宙からやって来た謎のピクセルの倒し方は、当然のように敵の技術を利用して行う。そして襲ってくるのにちゃんとゲームのルールを守る宇宙人。SFコメディだからというのを最大限利用してて潔いです。話的には大味にも程があるけど、完全にコメディなのでそのゆるさを笑うという感じで楽しい。

実は食わず嫌いしてたためアダム・サンドラー作品は初めてです。演じるサムはちょっと台詞がタラタラしてる印象ですが能天気な感じが作品に合ってます。見た目と言動はロックだけどずる賢いエディ役のピーター・ディンクレイジは最高。彼らが揃いのツナギを着て並んで歩いてくるのは『アルマゲドン』と言うよりは作品の雰囲気的に『ゴーストバスターズ』を彷彿とさせます。あれのクライマックスそっくりのショットもあるし、武器を構えた姿もそれっぽい。 ヒロインとなる子持ちのパッテン中佐は『ミッション:インポッシブル』のイーサン・ハント妻役でもあるミシェル・モナハンですが、終盤地味に凄い体技を見せながら進むのが面白い。美しいんだけど、個人的にはどうしてもマイケル・ジャクソンに見えてしまうという呪いがかかってまして、あんな衣装まで着られたらキャプテンEOかと……なんでもないです。ショーン・ビーンのチョイ役ぶりとか、むっちゃ裏切ったりしそうなブライアン・コックスがそうでもないとかありますがまあいいでしょう。

パックマンやギャラガといったゲームのキャラやちょっとした効果音など、アーケード・ファミコン時代の8ビットゲームに覚えのある者としては懐かしさ満載ですが、そのあたりは知らなくてもコミカルな侵略SFとして楽しめると思います。ドンキーコングのステージは立体だとああなってるのか、とちょっと感心しました。あとマリオは出ないのか?と思ったらほんのちょっとだけ出てるのは見逃せないですよ。細かい点では色々とあるんですが、それを言うのは野暮でしょう。これは楽しんだ者勝ち。ゆるいギャグと親切展開で、気楽に観れるし安心して楽しめます。

↓以下、ネタバレ含む。








かつてのゲーム仲間が大統領という設定は実に画期的ですよ。彼がいるからこそ余計な手続きは全部すっ飛ばし、オタクを意味する「ナード」という会社でテレビやゲーム機の接続サービスしてる男がエイリアン撃退に参加できるわけです。大統領があんなんだったらアメリカすぐ滅びそうだな、とは思いますが、支持率が低いらしいという点で納得できるのが笑えます。加えて陰謀論や宇宙人との接触を信じているラドローによってエイリアンとの対決にも繋げていけるのも何気にキモですね。なぜ一介のナードが実際の射撃やカーチェイスが上手いのかという疑問は残りますが(サムは仕事柄車に乗ってるというのはあるけど)、そこはね、機材がいいんですよ(無理やり)。あるいはMIT(マサチューセッツではなくミシシッピー)出身だからです(無理やり)。

ゲームネタ自体がメインの戦いになるため、そのゲームに馴染みがなくても「電子的でユニークな何かが襲ってきてる」というのと事前の簡潔な説明で「何となくこういうルール」というのが分かるようにはなっているのはエライ。「センチピード」とかよく知りませんが、どういうゲームかのイメージはちゃんと分かる、この辺りは上手いですね。「パックマン」はさすがに知らない人はいないでしょうが(そんなことない?)サムたちがプレイヤー側ではなく敵であるゴースト側になるのはちょっと面白いです。乗ってるミニのナンバープレートにゴーストの名前が書いてあったり、パックマンがパワーエサ(って昔は呼んでたよね?劇中ではクッキーと言ってましたが)を食べると車の色がブルーになるというのも芸が細かい。『シュガー・ラッシュ』にも出ていた「Qバート」はよく知りませんが、コミカルなキャラだから何となく観れちゃう。ああ、『シュガー・ラッシュ』の成功が企画の発端にあるのかもですね。本当は「ディグダグ」の出番もあったそうですがカットされたそうで残念。終盤にゲームキャラがわちゃわちゃと出てくるところは細かいネタが色々ありそうで、スロー再生して観たくなります。

ただ、ゲームネタにこだわるなら「ドンキーコング」で最後にハンマーで倒しちゃうというのは実際のゲームと違うのでちょっと抵抗がなくもないです(まあ最終ステージまでやられても困るんですけど)。あとNASAが映像を送ると言っていた1982年以降のゲーム(テトリスとか)まで出てくるのも厳密には違うだろうとも思います。しかしまあそこらへんはご愛嬌の範囲内ですかね。この宇宙人たち、ルールに厳しかったり、終わった後はピクセル化したものをちゃんと元に戻したりと何だかスゴく律儀なので、宣戦布告といって攻めてきたけど実は遊びに来てただけなんじゃないかという気もするんですよね。レトロゲームの壮大なオンライン対戦なのかも。

そう言えばラドローの嫁、「多分出るんだろうな」と思ってたら、忘れた頃に、しかも超高精細画質で登場するのは、全国の2次元キャラやゲームキャラに萌えたことのある人なら最高のドリームですよ。あれなら例え元がQバートでも全然問題ないです。Qバートは元々賞品だから宇宙人たちが帰っても消えない!完璧です。ドリーム!この物語は大人になって色んなものを失ったり手に入れ損ねたりした中年男たちがかつての栄光を取り戻す話でもあるわけで、そういう意味ではサムもラドローもエディも大統領も、最後に手に入れたり守ったりするのは名声よりむしろ愛しの女性、つまり「愛」なんですね(エディは愛というか色欲ですが)。ヲタだって愛されたいんだ!という心の叫びの実現化であり、やはりドリーム!と叫びたくなるのです。

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