2015
07.21

あの娘と合体!『ターミネーター:新起動 ジェニシス』感想。

Terminator_Genisys
Terminator Genisys / 2015年 アメリカ / 監督:アラン・テイラー

あらすじ
「ジェネシス」ではありません。



人類と機械が戦う未来、人類反乱軍のリーダーであるジョン・コナーは母であるサラ・コナーを殺し歴史を変えようとする敵スカイネットに対抗するため、自軍の兵士カイル・リースを過去へ送り込む。対するスカイネットも殺戮マシーンであるターミネーターを過去へと送るが……アーノルド・シュワルツェネッガーがターミネーター役に復帰した『ターミネーター』シリーズ通算5作目。

事前に本作は『ターミネーター2』の続編に当たると聞いていたので、『3』や『4』を亡きものにしてまでやろうとするのがどんなものかという不安もかなりありましたが……なるほど、そう来たか。サラ・コナー、ジョン・コナー、カイル・リースといった重要キャラを再び集結させ、かつタイムスリップものを前面に押し出すという、続編ともリムーブとも取れる出来。人物たちの関係性に「if」を投入し、そこから論理的に組み合わせて仕上げた感じ、と言いましょうか。元々フィクションのものに対して言うのも何ですが、広義の歴史改変ものと言う感じです。1、2作目に思い入れが強いほど賛否が別れそうな作りですが、このある意味反則な展開を「あり」としたことで、今後どのようにも作れるってことなんですよね。閉塞した世界観を拡げていると思います。

何と言ってもやはりシリーズ復活を果たしたシュワですね。年を取ったことがいい具合に効果的だし、往年のファンであれば「シュワがT-800をやるという安心感」というのが物語上もプラスに働いてるんですよ。シュワミネーターの見せるナイス笑顔にはやられます。他の面子はさすがにオリジナルの役者というワケにもいかず一気に入れ替え。カイル・リース役のジェイ・コートニーは大作いっぱい出てるけどどうも悪役の方がハマる気がするなあ。ジョン・コナー役にジェイソン・クラークというのは展開的には結構合ってるんじゃないですかね。そしてサラ・コナー役のエミリア・クラーク、リンダ・ハミルトンとはかなりイメージ違ってキュートさ倍増な感じですが、むしろそれがイイ。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で結構脱いでるらしいですが、本作ではおっぱいはなし!(血涙)

字幕に「アイルビーバック」って出すのはさすがに苦笑いだし、話的にも言いたいことは多々ありますが、なかなか突き抜けているものがあって面白かったので否定しがたいです。それにしてもジェニシスのいかにも身近にありそうな感じは「スカイネットが現実でも近付いてきているのかも」と思わせられて、結構怖いものがあります。

↓以下、ネタバレ含む。








ついに「別の時間軸」という設定を持ち込んでしまった、というのが最も大きいポイントでしょうね(ドラマ版は観てないので分かりませんが)。ジョン・コナーがカイル・リースを送り込んだ過去はサラが何も知らずにウェイトレスをしている世界ではなく、スカイネット台頭もカイルが来ることもとっくに知っているサラがいて、おまけにT-800がサラの仲間として存在しているという世界。カイルが過去に来て以降のシーンが、人物も背景もカメラアングルまでまんま『1』を忠実になぞっていることに嬉しい既視感を味わうものの、これが次第にどんどんズレていく。既存の過去の裏で別の行動をとる『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』のパターンとも違うし何だこれは、と戸惑ったところでシュワミネーターの登場!つまりカイルが過去に戻る瞬間に起きたジョンへのトラブルにより過去が変わってしまったんですね。

この設定には我々の知っている過去とのギャップを楽しめる、というメリットがあります。最たるものが老シュワvs若シュワのシュワ対決で、文字通り「時を越えた対決」だというのが面白い。性能は同じなのでサラの狙撃で決着するわけですね。「古いがポンコツではない」という台詞や、サラに「オジサン」って呼ばれちゃうとか、時を経て待っているのが騎士っぽいというか執事っぽいというか、そんな細かい点が良いです。あと『2』であれだけ恐怖だった強敵T-1000を、気持ちよく完封するところも良いですね。せっかくのイ・ビョンホン(ハリウッドのアジア俳優脱ぎ枠)なのに脱がずに終わるのはもったいないですが、目の前でドロドロ溶けていくのは「やりおる!」って感じで燃えます。あとサラがジョンの父親がカイルだとか本人に全部バラしちゃうの凄い気まずいんですけど。合体のタイミングも考えなきゃいけなくなっちゃうんですけど。いや合体って!学園ラブコメか!

逆にデメリットもありますね。特に、ジョン・コナーがいるからスカイネットに勝てるという大前提を崩すのは、反発も生むであろう相当な冒険だと思います。というかジョンをターミネーター化するって、もう何がなんだか。あの時点でスカイネットの逆転勝利なんだから別に過去にターミネーター送らなくてもいい気がするんですが。T-1000の能力を取り込んでアップグレードとかやったら、もう何でもありです。別の時間軸登場により『1』『2』との整合性は怪しくなり、そもそも最初にカイルがいる時間軸はどこから続くものなのか、サラとカイルが合体しないまま進んでジョンが生まれないという危険もあるのに二人の前に現れるジョンとか、劇中で説明してる部分もあるとはいえタイムパラドックスが色濃くなってきます。あのジョン・コナーはどこから来たのか?イ・ビョンホンのT-1000は誰が送ってきたのか?そもそもシュワを送ってきたのは誰か?といった肝心の部分が明かされず、それが続編への布石だとしても非常にモヤモヤします。ラストがえらい爽やかなまま終わるのもちょっと肩透かしだし、エンドロール中に見せるアレもなんだかなあ。

そういう整合性に目をつぶれば愉快なシーンも色々あるので、楽しんだ者勝ちかなーという気はしますけどね。冒頭で世界の終わりシーンを『2』以上に念入りに描くのが危機感を煽ってるし、サイバーダイン社にダイソンの息子がいるなんてシリーズ繋がりのネタもあるし。また、なぜタイムスリップ時に裸なのかは『1』でも言ってはいますが、それを画的に語るためにカイルは衆人環視のなか真っ裸でタイムスリップするハメに。皆に見られながらまっぱで宙に浮く状況には、きっとカイルも興奮で思わずエ(以下自粛)。しかもサラと二人でまっぱになってタイムスリップなんてした日にはカイルのターミネーターがデデンデンデデンですよ。

J・K・シモンズの使いどころもイ・ビョンホン同様もったいないなあとは思うし、ストーリーで引っ張るためかアクションはいまいち印象に残らないですが、最後にオジサンが言う「俺のサラを頼む」には『2』の守る者としてのT-800を思い出して涙腺緩みます。何だかんだ言ってね、『ターミネーター』というシリーズには最初2作で抗えない魅力を植え付けられてしまってるのでね、続編が出れば観ちゃうわけですよ。どうせもう何でもありになったことだし、今後もブッ飛んだものを作ってくれればいいかなと思います。

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