2015
07.16

ヒーローとは行為だ。『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』感想(その2)。

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Avengers: Age of Ultron / 2015年 アメリカ / 監督:ジョス・ウェドン

あらすじ
さらばウルトロン。



『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』の感想、続きです。

前回の感想はこちら。
ヒーローとは行為だ。『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』感想(その1)。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)もこれで11作目。初心者が一から見るにはさすがに厳しい本数になってきました。今作を観るにあたり事前に観ておくべき作品はどれか、という話題もよく見かけますが、別にシリーズ未見で今作から観てもいいと思うんですよ。そりゃ細かいところ色々分からないだろうけどそんなのは後追いでいくらでも補完でしるし、各キャラの概要だけ知っておけば十分楽しめるはず。何より「いま」この祭りに乗っかることが大事です。なぜなら今後もますますシリーズは展開されていくので、単体で成り立つ作品がクロスオーバーして拡がっていくという前代未聞のシリーズをリアルタイムで観るなら気になった「いま」こそが立ち上がるとき!まあ事前に何観るべきかは色んな人が色々語ってるので参考にすればよいかと思います。

ちなみに僕がそれを聞かれたら「『アイアンマン』から順に全部」と言うので聞かない方がいいと思います。と言うか、観よう?

↓以下、ネタバレ含む。








ちなみに出てると噂のあったジブリの人気キャラは『ラピュタ』のロボット兵。ウルトロン初登場の際に右端に見切れてましたね。

では前回に引き続きキャラ別に見ていきますよー。


◆スカーレット・ウィッチ(ワンダ・マキシモフ)
マキシモフ姉弟はMCUとしては初の見た目の変わらない超能力者ですね(スパイダーマンはまだMCUにはいないし)。元々はX-MENのキャラ(しかもマグニートーの子供)ですが、ロキの杖で能力を得たという設定に。オリジナルにある世界改変能力まではいきませんが、ワンダが使うマインドコントロールは各キャラそれぞれの行動原理や囚われた過去、予見される未来を見せており、それによって彼らに変化をもたらすという意味でこの世界に大きな影響を与えているキーパーソンであり、そこが興味深いです。ちなみに、クイックシルバーもそうだけど劇中ではスカーレット・ウィッチとは一度も呼ばれてないんですよね。マリア・ヒルに「ウィッチ(魔女)」とは呼ばれますが。

マキシモフ姉弟はソコヴィアの戦乱で両親を亡くし、自身らも崩れた家で身動き取れないままスターク社製のミサイルを2日間見つめ続けたという過去のため、アベンジャーズ、特にトニー・スタークへの恨みがあるわけですが、決して世界を滅ぼしたいと願っているわけではありません。アベンジャーズに合流するのも故郷ソコヴィアでのウルトロンの暴虐を防ぐためであり、ホークアイに言われて「外に出る」ことでヒーローとしての自覚を持ちます。自ら扉を出てくる姿はまさに覚醒。念動力で吹っ飛ばしエネルギーの盾を作って攻撃を防ぐ万能な力とグネグネする手の動きに魅了されます。そしてナターシャに負けない谷間攻撃。たわわです。そういえば救助される母子の母親もやけにたわわなので、おっぱい映画としてもなかなか優秀と言わざるを得ないですね!(ですね!じゃない)

最後は爆破に巻き込まれそうなところをヴィジョンに助けられますが、原作ではスカーレット・ウィッチとヴィジョンはいい仲になるのでさりげなくその未来を予感させてるんでしょうか。ウルトロンプライムにトドメを刺すのがワンダで、最後のウルトロンを葬るのがヴィジョンというのも象徴的。トニーが生んだ悪を新キャラが倒すというのは新たな世代の台頭を思わせてなかなか複雑な気分です。

◆クイックシルバー(ピエトロ・マキシモフ)
ピエトロの売りは「速い」ことですが、普段の動きや口調はわりとのっそりしてるような印象を受けるので『X-MEN:フューチャー&パスト』のクイックシルバーとは結構イメージが異なりますね。軌跡を残す速さ表現や、銃弾が目の前を上っていくという見せ方も面白い。あの速さでぶつかればかなりの衝撃になるのでそれも強さに繋がります。ただその衝撃は自分にも跳ね返ってくるのでダメージ凄い気がするんですが、そこは鍛えてあるから大丈夫なんです、多分。すぐハァハァ言って疲れやすいので持久力は低めなあたり短距離走者って感じですね。ゆっくり飛んで来る(ように見える)ソーのハンマーをうっかり掴んでしまい一緒に吹っ飛ぶというのが笑えます。あとアメちゃん好きなのな。

「見えなかった?」という台詞を通じてのホークアイとのやり取りは小癪な青年に翻弄されるパパという感じで微笑ましいだけに、ラストで交わされるこの言葉には泣けます。死亡フラグ立ちまくりだったバートンを助けての退場には意表を突かれましたよ。電車の衝突から人々を救う姿もヒーローしてたし、ヘリキャリアを見て「悪くない」と言いつつ目を輝かせるのには実際乗ったときのはしゃぎようまで期待したから、もうね、まさか!って感じですよ。バートンが生まれてきた三人目の子にピエトロと名付けるのも、思い出すと泣けてきます。

◆ヴィジョン
長くトニーをサポートしてきて、今作ではアベンジャーズの他メンバーとも連携を取るまでになったJ.A.R.V.I.S. (ジャーヴィス)が満を持して実体化!正確には人造人間のボディにジャーヴィスの意識を入れてソーの雷で闘魂注入したらジャーヴィスの声を担当していたポール・ベタニーが顔を赤く塗って登場した、と。でも顔にスジ彫りとかあったりして単なる顔塗った人ではなく人造人間ぽく見えます。あれだけ顔を晒しながら、しかも赤くしてても安っぽさを感じさせないというのは結構凄いことですね。

ヴィジョンは額にロキの杖ことセクターを持っており、額からビームが出ます。宙を飛べます。原子組み替え(?)でモノが作れます。ウルトロンのネットワーク機能を遮断するというテクノロジー領域もやってのけるし、ソーのマントを見て「…いいな」みたいにマントを作ったりもします。なんかチート感満載ですが、チョ博士の人工細胞とそれを強化するヴィブラニウム、インフィニティ・ストーンの絶大な力と仕事ができる男ジャーヴィスの意識、というとんでもない要素の組合せでウルトロンが「究極=ヴィジョン」と呼ぶほどのスペックなので、昨日生まれたばかりでもガッツリ活躍。

言ってしまえばポッと出の新キャラでありながらアベンジャーズと共に行動することを不自然に感じさせないのは「命ある者を愛する」などという台詞より何より「ムジョルニアを持てた」ということに尽きます。本来なら敵か味方かのやり取りでさらに時間が必要なところを、王と認められた者のみが持てるハンマーを持ったことで一発で信頼に値するというのが上手い。楽しいパーティーシーンかと思ってた序盤のハンマー持ち上げ大会がまさかの伏線とは……。ヴィジョンがハンマーをソーに渡すシーンでは声が漏れそうでしたよ。いや実際劇場にいた外人客が小さく「oh my god…!」って言ってましたからね。これを踏まえてソーがウルトロンの気を引いてる間にヴィジョンがハンマーぶちかますというのもニクい。そのあと「振りにくい」と言うヴィジョンに対しソーが「あまり重いと振り抜きにくいだろ」と言うの、ハンマーの感覚を知ってる人って他にいないからそんな話ができてソーはちょっと嬉しいんじゃないですかね。

もうジャーヴィスが出てこないのはちょっと寂しいですが、代わりにフライデーという女性版のUIが登場したので、今後はペッパーと一緒になってトニーに文句を言うUIを期待しましょう。

◆ニック・フューリー
S.H.I.E.L.D.(シールド)が解体され世界中にあった目や耳を失った今、フューリーはなかなか目立ちませんね。「残されたのは知恵と強い決意だけ」という演説をぶつのはなかなかよかったですが、あとは地味なサポートするくらい?と思ってたら、サポートはサポートでも地味どころかこれ以上なく熱いことをやってくれます。ヘリキャリアをアッセンブルさせただけでフューリーはもうOK!震えた!あんなデカいものどこのタンスに隠してたんだとは思いますが、キャップが言うところの「本来のシールド」を見せてくれたので良し。飛び込んできたザコトロンにトドメを刺すのもさすが。あと『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』の「管制官の彼」を登用したのが超グッジョブ!

◆ウルトロン
人工知能として生まれたウルトロンが真っ先にボディは?と問うのは象徴的。自分で「人は最も恐れるものを作り出す」と言いますが、人型にこだわるのも人類を危険視するのも、恐れているからなのかもしれません。AIとは思えない感情の爆発やトニーへの同族嫌悪、わざわざ口が動くようになってるのを見ても非常に人間くさい。作られ命令される状態を「糸に絡まった」とピノキオになぞらえたり「自由はいい」と言ったりマキシモフ姉弟から過去の話を聞き出そうとしたり、単なるメタルではないその人っぽさは「人類の敵はより進化した人類なのでは」と思わせてくれます。

ウルトロンに強さを感じないという意見もあるでしょうが、アベンジャーズを敵に回してあれだけ苦しめるのは十分凄い。単体の敵に全員で立ち向かうというシーンがあればまた違ったんでしょうが、それをやらないことがうまく見せ場の分散になっているとも言えます。

◆ウォーマシンMk2(ジェームズ・ローズ)
ヒーロー活動はすべらない話の宝庫である、という盲点を突いてきたローディことローズ大佐。繰返しギャグでやっとウケを取ったときのドン・チードルのガッツポーズは最高。アイアン・パトリオットが愛国心丸出しで不評だったせいか今作ではカラーリングを戻したウォーマシンで登場し、アイアンマンとの共闘という熱いシーンも見せますが、最後の見せ場であるザコトロン一掃のチャンスをヴィジョンにかっさらわれるというオチもちゃんと付けてくれます。完全にコメディ担当になってますが、これもまた話のネタにするに違いなく、芸人というのは因果なものです(大佐だけど)。

◆ファルコン(サム・ウィルソン)
パーティーシーンで姿を見せたのは嬉しいですが、残念ながら空飛ぶ勇姿は見られず。最後はウォーマシンと一緒にファルコンにも来て欲しかったですけどね。ところでファルコンことサムはパーティーでのキャップとの会話で「フューリーの行方を探してる」と字幕では出ますが、恐らくこれは誤りで、実際は「行方不明の人を探す」って言ってるように聞こえます(多分)。フューリーはマリア・ヒルが連絡取れるくらいだからわざわざ探す必要ないですよね。ではこの探し人は誰かと言えば、やはりバッキーなのでしょう。『ウィンター・ソルジャー』からちゃんと繋いできてますね。

◆マリア・ヒル
マリア・ヒルは出るたびに美しくなっていく気がします。はぁ美しい……(ためいき)。パーティーではペッパーとジェーンのことをトニーとソーに尋ねますが、二人の彼女自慢にうんざりするという結果になります。その三人の女子会もちょっと見てみたい。

◆ユリシーズ・クロウ
ワカンダでヴィヴラニウム採掘をしている武器商人クロウは、後に登場するらしいワカンダ国王でありながらヒーローでもあるブラックパンサーのヴィランになるようです。生身のアンディ・サーキスをたっぷり見られるだけでなんか嬉しい。甲イカが苦手♪

◆ヘレン・チョ博士
ちょー可愛いです(シャレではない)。パーティーに誘われて断りながらも「ソーは来るの?」とか恋する乙女のごとく言っちゃうのがまた可愛い。ソーへの殺意が沸くほどです。

◆セルヴィグ博士
出てます!演じるステラン・スカルスガルドは『マイティ・ソー ダーク・ワールド』の奇行+『ニンフォマニアック』のせいでいつ脱ぎ出すかと気が気じゃなかったです。すっかりモロ出しの人というイメージ……と思ったらむしろ脱がねーのかよ!という。代わりにソーが脱いでました。

◆バロン・ストラッカー
前作のおまけ映像でヒドラ幹部としてもったいつけて登場したわりにはあっけなく退場。キャップに盾ごと蹴られて「んふ~」と言いながら倒れる姿は前作のロキ枠のようです。

◆ロキ
出てません。が、彼の残した杖のせいでみんな大迷惑です。おかげでクイックシルバーとスカーレット・ウィッチが誕生しましたが。今ごろアスガルドで色々暗躍しているでしょう。

◆ヘイムダル
出てます!まさかの出演。嬉しい。

◆ペギー
出てます!まさかの出演。嬉しい。

◆ペッパー・ポッツ、ジェーン
出てません。たわわさが足りなかったのか……?(超失礼)

◆コールソン
出てません。というか彼は前作で死んじゃってるからな……(しれっと)。

◆スタン・リー
出てます。当然です。「Excelsior!」って言いながらへべれけになってます。お体には気を付けてくださいね。

◆サノス
ラストのどストレートな次回予告的おまけ映像で、ついにインフィニティ・ガントレットを装着するサノス。宇宙最強ゴリラ!出番はもうしばらく先かな?でもおれたちには『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』がついてるぜ!

◆アベンジャーズ
冒頭にツインズを映した上で始まる序盤のヒドラ戦からもう激熱なわけですよ。長回しワンカットでどんどん進撃しながら凄まじいカメラ移動で次々にメンバーたちが暴れながら登場してくる。そして横からのキメショット!背筋に震えが走ります。これがアバンタイトルだというのも驚き。続編だからこそ出来る構成ですね。クライマックスでコアを守りながらの回転バトルも絶品で、次々襲い来るウルトロン軍を全員でガンガン倒していく姿には圧倒されるしかなく、もはや神々しささえ感じます。誰が何をやってるか一回で見極めるのは難しく、一時停止やスロー再生したいと思わせるあたりは何度観ても楽しめるように、という意図もあるのかもしれません。アイアンマン、ヴィジョン、ソーのビーム三連というのもたまらん!

前作ではバラバラだったヒーローたちがまとまっていくというところにカタルシスがあったわけですが、今作はせっかくまとまっていたものが乱れていくという逆の流れになるために、多少の心もとなさを感じてしまうかもしれません。もちろん最後は再び団結しますが、クイックシルバーの退場やハルクの出奔などもあってお祭り感はややダウン。話的にもヒーロー同士が争うことになる『キャプテン・アメリカ シビルウォー』が次に控えているため、どうしても不穏感が拭えません。MCUとしては通過点になるため中途半端に捉える向きもあるでしょう。

でもどちらかというと陽性だったMCUのヒーローたちの内面に敢えて切り込み、その上で世界の脅威と対峙して戦う、なおかつあの状況下でそれでも人々の救出を優先する姿を見せてくれるというのは、ヒーロー映画としてやれる最大限をやっていると思うのですよ。観る者に不安を与えるという選択をしながらも並行して興奮と感動を与える構成力。陽気さも陰気さも受け止める今までに培ってきた土壌。そこで踏ん張って戦い救うことを荒唐無稽に見せないビジュアルの威力。

ラストはビッグ3が並んで歩き、ムジョルニアをネタにソーとの別れを惜しみます。トニーはしばらく休むと言い残して去り、遠くにランニングをする兵士の声を聞きながらホームを見やるキャップ。バートンは家に戻り、ナターシャはバナーの行方を憂い壁を見つめます。しかし、そんな寂しい幕切れを払拭するかのように現れるウォーマシン、ファルコン、ヴィジョン、スカーレット・ウィッチというニュー・アベンジャーズ!そう来るか!って狂喜してしまいます。

キャップが「アベンジャーズ!」まで言い、我々が心の中で「アッセンブル!」と叫ぶと同時にエンディング曲がかかるのは秀逸。キャップが全部言ってからエンドクレジットだとちょっとキレが悪いし、メンバー全員でアッセンブルとか言ったらマヌケです。そもそもMCUの劇中ではアッセンブルって一度も言ったことないんですよね。それはまだ先に取っておき、かつあのメンバーはまだアベンジャーズ成り立てでもあるからアッセンブルするのはこれからだ、という次回への繋ぎとも見れるでしょう。何よりホークアイが言う「君もアベンジャーズだ」が力強く引っ張ってくれるからこそ、観る者の心が自然とアッセンブルしてしまう。その言葉は、劇中言われてないのにも関わらずいまやアベンジャーズの象徴であり、世界の希望の象徴でもあるのです。

 ※

エンドクレジットの彫像が神話的ですね。バートン妻が「あの神たち」と称した者たちの神話が今後どのようになっていくのか。珍しくエンドロール後のおまけがない(寂しい)ので気持ち的には一旦小休止できるかな……と言いたいところですが、『アイアンマン3』から始まったMCUフェーズ2の完結は次に控える『アントマン』とのことなので、まだ油断はできません。いつまでたってもマーベルの思う壺!仕方ないから叫ぼう!アベンジャーズ!(エンドロールへ)

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ヒーローも無敵ではなく、悩みもするし、間違いも犯す。そんな姿も魅力的だが、やはりワクワクするのは、めちゃかっこいいバトルシーン! 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」同様、もうそれだけで「面白かった~!」と言えるエンターテインメント作品。
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』お薦め映画 dot 名機ALPS(アルプス)MDプリンタdot 2016.01.28 10:18
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