2015
07.05

ゴクドウってなんだろう?『極道大戦争』感想。

gokudou_daisenso
2015年 日本 / 監督:三池崇史

あらすじ
噛まれたらヤクザ。



仁義に生きる組長の神浦に心酔する極道の影山。しかし謎の刺客に命を狙われた組長は、死に際に影山の首に噛み付いて自分が「ヤクザヴァンパイア」であることを明かす。そして感染してヴァンパイアの力に目覚める影山の前に次々と強敵が現れる。三池崇史監督による大暴走ヤクザバトル。

「噛まれたら感染してヤクザになるヤクザヴァンパイア」という発想がね、まず頭おかしいですね。ヴァンパイアといっても通常の吸血鬼と違って日光は平気だし、パワーがアップする以外はせいぜい極道になるだけ。イヤちっとも「せいぜい」じゃないんですが。ヤクザ映画としては常軌を逸しているし、ホラー映画って感じでもないし、強いて言えばバイオレンス・ブラックコメディ。次から次へと予想の斜め上を行く展開に呆気に取られながらも、有無を言わせぬ疾走感に引きずられていきます。あと結構なアクション映画にもなってたのは驚き。

主演の市原隼人は個人的にはあまり好きな役者ではなかったんだけど、この映画での立ち姿のカッコ良さは抜群。威勢はいいが敏感肌で刺青を彫れないという設定もなんだか似合ってます。組長役のリリー・フランキーが殺り合う対立ヤクザがピエール瀧という『凶悪』対決には笑いました。『神さまの言うとおり』で可憐だった優希美青ちゃんも2年3組の組員として登場。『ソレダケ that's it』の渋川清彦もイイ味出してます。特筆はやはり『ザ・レイド』のマッドドッグことヤヤン・ルヒアンでしょう。「狂犬」というそのまんまの役名で登場し、仕上げまくった体になぜかアキバファッションで暴れまくってヤバいです。高島礼子がなんか垂れ流すのもヤバいです。ラスボスがアレというのもヤバいです。でんでんは出てくるだけでヤバいです。

悪ふざけ感というかシュールな暴力というか、どこまで真面目に作ってるのか分からないところに狂気を感じて、感動作を作ってストレスたまった三池崇史が変な方向に振り切っちゃったのかと心配になりますが、むしろ昔のような勢いに戻って豪勢な役者陣使って好き勝手やったという感じですかね。既成の概念を覆すという面白さはあるけど、『極道大戦争』というより『妖怪大戦争』みたいになります……と思ったらあれも三池監督でした。

↓以下、ネタバレ含む。








噛まれたら一般人もヤクザになってしまう。ヤクザになるとどうなるかというと、脅しが効かないんですよ。それどころか逆に切った張ったを仕掛けてくる。周りがみんな極道化するというのは、つまり本来極道が持つ暴力性が無効化されるということなんですね。男も女も子供もみな同じ。

これは目から鱗の発想ではあるんですが、そうなると「ヤクザってなに?」っていうことになりますね。一般人の血は美味くてヤクザの血は不味いというように明確に線引きしていたものもなくなってしまう。アイデンティティの崩壊です。高島礼子のように脳汁垂れ流して農作業するしかない。あるいは渋川清彦のように死を覚悟で相手のタマを取りに行くしかないのです。極道らしさが失われることで結果的に古き良き極道映画のような展開になるという構図はちょっと面白い。

「暴力」が通じなくなれば、そこにあるのは単なる「力」です。ということは相手がヤクザだろうがふなっしーも真っ青の最強の着ぐるみであろうが違いはなくて、力でねじ伏せたものが勝ちとなる。力で勝てばさらに力の強い者が立ちはだかる。KAERUくんが進化してカンフーマスターになって襲ってくるし、しまいには巨大化して世界の危機に。そう考えると最後の影山と狂犬の戦いが純粋な「力」だけのどつき合いになるのも頷けます(せっかくのマッドドッグさんが勿体ないとは思いますが……)。で、狂犬にさえ勝った影山の力の象徴が最後のデビルマン化なのでしょう。

でもかなりおふざけが過ぎるので、どう受け止めるかは正直ちょっと困りますね。エサのヤクザに真っ当な人間のする編み物をさせて血をきれいにするとか。影山の体が熱を放っているのを表すのに「手のひらで目玉焼き」とか。「ビニールシート」や「ダイナマイトあぶない」などのアホ表記とか。巨大KAERUくんは王冠かぶってるからキングってことだろうけど、腹にある文字は「王」じゃなくて「玉」だったり。カッパに至っては「臭い」以外はさっぱり分かりません。ヒロインの成海璃子も添え物感強くて残念。でんでんが「世界は一体どうなるんだー!」と言いますが、この映画が一体どうなるんだという感じで観てました。笑えた者勝ちですね。

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