2015
06.06

囲碁で勝て!拳でも勝て!『神の一手』感想。

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The Divine Move / 2014年 韓国 / 監督:チョ・ボムグ

あらすじ
デコピン10回!



兄の賭け囲碁を手伝った結果、殺人の罪を負わされたプロ棋士のテソク。全てを失った彼は獄中で囲碁と喧嘩の腕を磨き、復讐への一手を打つ!囲碁を題材とした韓国バイオレンス囲碁アクション。

裏社会では囲碁が必須!囲碁に負ければ命はない!という漫画のような設定に笑い燃える韓国映画。賭け囲碁という世界が実際にこんなに激しいのかは分かりませんが、囲碁と言いつつ高額の賭け金で勝負をしたり腕の立つ女性を囲ったり、イメージとしては賭場に近いです。そんな独自のバトルフィールドで、囲碁用語を技名のように言ったり、囲碁に関する言葉を章のタイトルにしたりしてて最高ですよ。何より囲碁の世界の話なのにアクション映画である、というクレイジーさがたまりません。

ビビり野郎からステゴロ・ファイターに変貌する主人公(脱ぎあり)が熱いし、口八丁の情報屋、片腕アタッチメントの技術者、神の名を持つ盲目の名人と仲間のキャラも濃い。一方の敵陣営もナイフ使いのボス・サルス(脱ぎあり)を始め、すました顔のクールガイ(脱ぎあり)や憎たらしい中国人やバカ笑いでイラッとさせるヒゲ男と揃ってます。主役のチョン・ウソンが中村雅俊、敵ボスが水谷豊にちょっと見える……などという妄想をしながら観てたら、ヒゲを剃った爺さんがトミー・リー・ジョーンズに見えてきてなかなかカオスでした。あとヒロインがカワイコちゃんだぞ!

囲碁のルールを知らなくても、勝負の行方や逆転の一手みたいのは演出で分かるようになってるし、結局は拳で対局するので問題なし!(ないのか?)ナイフを使ったサクサクアクションも凄まじいです。面白いよー。かつてここまでバイオレントなデコピンがあっただろうか!

↓以下、ネタバレ含む。








大金を賭けた裏世界の囲碁勝負では対戦者が強い必要はなく、名人級の人物が無線で指示をして打つというイカサマが当たり前、というのを序盤で示します。本人が打てばいいのに回りくどい、という気もしなくもないですが、フロント役には威圧感とか脅しとかも必要なんでしょう。対局で叩きのめした後に極道的に叩き潰す、この手順での追い込み方が精神的にバイオレンス。物理的にも拷問シーンがあったりして、『新しき世界』ではセメントを飲ませるなんてことをやってましたが、こちらは碁石を食わせるという、地味ながら結構クル感じがヘヴィです。デコピンで目を潰すってのも地味にキツいですが、表現としては「そういう手もあったか!」と感心。

囲碁を知ってる人ならもっと楽しめただろうな、とは思うんですよね。ここでこういう手を打つことが何を意味するのか、みたいなサスペンスもありそうだし(『ヒカルの碁』を読んどけばよかった……)。盲人用の囲碁盤があるというのは初めて知りましたが、ジーザスの「目が見えないけど強い」という特異さも強さ表現の一端として上手い。勝てば女が死に、負ければ自分達が死ぬという最終局面では、何か永遠にループするような手で逃げるという技も見せてくれます。まあ引き分けなんてありえないので結局肉弾バトル突入なわけですが、そういうところが楽しいんですよね。麻雀まで出てきた日には『哭きの竜』まで取り込むのかと思いましたが。

そして、囲碁で頭を使ったら今度は拳を使いましょう!となるわけですが、結局それかい!と言うのは野暮ですよ。これは戦隊ヒーローが肉体で戦った後に結局巨大ロボットで戦うのと同じです。格闘の後わざわざ冷凍室で囲碁をするのも、囲碁と喧嘩の両方で勝利する必要があるからです。多分。笑ったけど。アクションはさすがの韓国クオリティ、特にクライマックスは一対多という燃える展開で、ブロックに叩き付けたり蛍光灯ぶん回したり、最後は全身をなで回すかのようにナイフでサクサク、とバラエティも豊かで魅せてくれます。ナイフアクションと言えば『アジョシ』ですがこちらも負けてません。もっと銭形平次みたいに碁石をビシッ!とか投げたりするのかと思ったけど、商売道具を無下に扱わないというのはむしろ良いですね。……碁盤にナイフぶっ刺したりしてたかな?まあいいか……

なぜジーザスの娘の家で敵が張ってたの?とか、主人公が左目見えないというのはハッキリ描いてたっけ?とか、ちょっと引っ掛かるところはありますよ。片腕ハンマーのモクスなんてあの状態でどうやって勝ったんだと思うし、他にも何人か死んでそうなもんだけど結構みんな生きてるとかね。そこは続編狙いな気もプンプンするけど、でもまあ面白いからウェルカムです。独房にいた謎の名人が釜山にいるらしいし、ジーザスの穴はちょっと垢抜けた天才少女が埋めるし、ヒロインとのラブもゲットだし、その状態からどんな話を展開するのかは興味深い。ラストにはタイトルに反して「神の一手なんて結局ない」という結論になりますが、あんな粗い作戦で一組織に勝利したことが神掛かっているとも言えるので問題なし!異色娯楽作として満足です。

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