2015
06.04

不条理を突き抜けて走れ!『メイズ・ランナー』感想。

The_Maze_Runner
The Maze Runner / 2014年 アメリカ / 監督:ウェス・ボール

あらすじ
なぜか名前だけ思い出します。



記憶を失った少年が謎のエレベーターで辿り着いたところ、それは高い壁に囲まれた少年だけのコミュニティだった。ここから脱出するには命懸けで巨大迷路を抜けるしかない!アメリカで大ヒットのYA(ヤングアダルト)小説を映画化したサスペンス・スリラー。

特異な状況設定、翻弄されながらも足掻く若者、相手は身勝手な社会、というYA小説ものの基本を踏襲しつつもサバイバルやモンスターパニックの要素を織り混ぜて、それが結構な比重を占めるのが実に面白い。出てくるのがほぼ若い男ばかりなので恋愛要素が薄い分、謎めいたサスペンスが際立つんですよ。何より超巨大迷路という舞台装置、そのビジュアルや「不思議のダンジョン」なギミックに燃えます。

視覚的にも周囲をぐるりと囲む大きな壁が、閉塞感と狭いコミュニティ故の危うい均衡を盛り上げます。あの壁のビジュアルがスゴく『進撃の巨人』ぽいですね。各キャラの役割がそれぞれの個性にも繋がるし、話がどんどん転がっていくので停滞せず楽しめます。

整ったのから個性的なのまで若い男がよりどりみどりなので、その手の嗜好のかたは必見です。主人公トーマスのディラン・オブライエンがちゃんと話を引っ張っていて良いですが、それよりも脇役の方に目が行ってしまうのが少年漫画的です。特にデイン・デハーンを親しみやすくしたようなニュート役トーマス・ブロディ=サングスター、唯一のアジアン枠のミンホ役キー・ホン・リーは人気出そう。『ナルニア国物語 第3章』で憎たらしかった小僧ウィル・ポールターが憎たらしさそのまんまに成長して出てたりします。癒し系ぽっちゃり君ことチャックは見た目や名前が『グーニーズ』のチャンクを思い出しますが、どこか長澤まさみに似てると思ってしまったのでちょっとツラい……。

3部作の1作目ということで色々と謎を残したまま終わりますが、区切りとしてはわりとキリがイイのでスッキリしてます。何より男たちが全力疾走する姿、というのが良いのです。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭のボックス内で目覚めるシーンからスリリング。コミュニティの生活をもっとじっくり描くのかと思ったら存外早く迷路に入るし、頼りのリーダーであるアビーは早々にリタイアするし、テンポが良いので中だるみ感がないですね。行き詰まったところですかさず女子投入という荒業、何となく脱出の希望が見えたと思ったら容赦なく始まる虐殺と、予想外な展開が続くのも面白い。それでいて人物関係も把握しやすく、せわしなさも少ないです。例えば同じように突然不条理な世界に閉じ込められた『CUBE』などとは違って、突き放さずにネタばらしもするので(本当の真相は謎のままですが)万人に受け入れられやすそう。ランナーが付けるリュックみたいな装備が一人一人違う手作り感も良いですね。

アドベンチャー感に純粋にハラハラさせられるのは大きいです。生物と機械のハイブリッド蜘蛛との追いかけっこ、ダイナミックにゴウンゴウン言いながら動く壁。ミンホが作った迷路の全貌の模型はRPGで「マップを手に入れた!」みたいな高揚感があります。女子がいない、やっと登場しても一人だけ、ということで恋愛要素もほとんどなし。三年も野郎だけで過ごした思春期の若造たちの中にいきなり女子が一人入ったら貞操の危機に陥りそうなもんですが、とにかくもうそれどころじゃないですからね(あるいは女子とどう接したらいいか分かんないのと、テレサが気が強そうというのもあるかも)。主要キャラを退場させちゃうのは惜しい気もしますが、今後もっと登場人物が増えていくんでしょうね。

謎としては、なぜテレサが来て最後なのか、トーマスはどこまで思い出したのか、といった物語の根幹に関わりそうなものから、なぜあの博士はわざわざ自殺を演じるのかというよく分からないものまで色々と残ります。そもそも彼らがウィルスに耐性があると言うなら貴重な人材だと思うんだけど、なぜそれを飼い殺しの見殺し状態にするのかも見えないので、続編で明らかになっていくのでしょう。ただ、エンドロール後の予告を観ると今度は恋愛要素増えてきそうだし、それ以前に迷路出ちゃったからもう「メイズ・ランナー」じゃなくない?などと若干の不安も。あの迷路がいいんですけどね。とは言えずっと迷路だけじゃ引っ張れないだろうし、原作は完結してるようなので、変わらぬスピード感と謎めきに期待しますよ。

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