2015
05.11

生きている実感。『龍三と七人の子分たち』感想。

ryuzo_to_shichinin_no_kobuntachi
2015年 日本 / 監督:北野武

あらすじ
番号は声に出して伝えましょう。



引退したヤクザと仲間たちが、オレオレ詐欺で悪事を働く若造たちに痛い目を見せようと立ち上がる。北野作品でヤクザものですが、今回はコメディ。

藤竜也、近藤正臣、中尾彬、小野寺昭ら平均年齢72歳のベテラン勢が、安田顕率いる詐欺組織に対立。息子夫婦には疎まれ、義理も人情もありゃしねえと嘆きながら、だったら俺らがやってやらあと仲間を集めて一念発起!ただ、ハチャメチャではあるけど痛快!という感じではないですね。コメディとしてももっと気軽に楽しめるかと思ったんですが「世知辛いなー」という思いが先に来てしまい、正直あまり笑えませんでした。本来はそこを笑い飛ばそうってことなんだとは思いますが、それにしてもギャグ的にもちょっと微妙。面白いところもあるにはあるけど。

昔の栄光にしがみつくだけでなく今行動を起こそうという足掻きには、昂ぶりと同時にせつなさも感じるけど、それでも自分を通そうとするジジイたちが眩しいです。年取って屁が漏れても極道だってことですよ。たけし演じる刑事はそんな時代の今も昔も全て飲み込んでる感じがイイ。藤竜也ってあんなに色んな表情出来るんだ、というのは発見でした。あと中尾彬は不謹慎さを凌駕して面白すぎです。ホステスの子が見覚えあるけど誰だ?と思ったら清水富美加でした可愛い。

↓以下、ネタバレ含む。








畳み掛けるという笑いではないし、かと言ってじわじわくる笑いでもない。微妙に間を外してくると言うか、半分苦笑いという感じ。親分を決めるくだりもグダグダ点数付けて面白くなりそうなんだけど、カメラがグルグル回りすぎてちょっと長いなあとか。萬田久子のところから女装で逃げてくるところは笑いどころなんだけど、途中で絡んでくるおネエの人たちが辛辣でちょっと引くとか。5-5の馬券のエピソードや息子の車が街宣車になるところなど、ヤクザとか右翼とかいった存在をギャグにしたときに笑えるか、というのもあるでしょう。ただ劇場では結構笑い声も上がってたのでこれは好みでしょうね。個人的には中尾彬の死体ネタが完全にコントで最高でしたが。あと辰巳琢郎のセールス重ねが面白かったです。布団買うんかい!ってなりました。

まだまだ若いもんには負けないという気持ちは誰でも持ってると思うんですよね。散々ジジイ呼ばわりされても、それを受け入れ難い思いが燻る。それは過去を懐かしむというよりは、生き生きとしていたあの頃を取り戻したいということでしょう。金なし先なし怖いものなし、というコピーが付いてますが、守りから攻めに転じることで生きている実感を思い出す。生意気な若い者をブチ倒して溜飲を下げたいというよりは、組を作って盛り上がりたい思いが先にある。せっかくの飛行機が勢い余って途中で離脱しちゃうのも、ラストの乱闘が入り乱れすぎてわやくちゃなのも、そういう思いの表現を優先してるからかなと思うんです。

それは傍から見れば現実逃避かもしれないし、そんなことで命を懸けなくてもと思われそうだけど、それこそが本人たちには重要だということですね。笑いのテンポを微妙にズラしてくるのも、笑われてばかりじゃねえよ?という爺さんたちの生き様を切り取っているからかもしれません。


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