2015
05.07

怪物騒動 in メキシコ!『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』感想。

kure_shin_hikkoshi
2015年 日本 / 監督:橋本昌和

あらすじ
美味しい果実にはワケがある。



父ひろしの転勤により春日部の街から引っ越すことになった野原一家。引っ越し先は何とメキシコ。そこでは甘い蜜の果実を付けるサボテンが繁殖していたが、そのサボテンには恐ろしい秘密があった。『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第23作目。

クレしん映画はそんなに多く観ているわけではないですが、近年のシリーズの中ではかなり方向性が異なるんじゃないでしょうか。ベースにあるのはなんとモンスター・パニック・ムービー。謎の怪物に襲われるという『トレマーズ』や『ザ・グリード』のような系統です。しかも怪物パニックものとしてのツボを押さえまくり。舞台をメキシコにしたというのもジャンル的に納得の要素が多いし、それを単なる舞台装置だけではなく春日部住人との別れやメキシコでの新キャラの成長、日本とメキシコのカルチャーギャップの笑いにまで繋げていて、実に上手い。

海外での日本の企業戦士の悲哀も織り混ぜつつも、今までのような「感動」による泣かせは序盤でスパッと切り上げ、襲い来るサボテンというピンチの連続によるスリルへとスライドし、熱い展開に燃えるという構成。それでいて、クライマックスでの「まさか」というある仕掛けによって泣かされる。この練りに練った構成が素晴らしいです。

スリリングではあるけど怖いというほどではないし(んー、怖いかも?)、子供から大人まで楽しめるシリーズならではの完成度。芸能人ゲスト声優や旬を過ぎたお笑いタレントの登場などちょっと引くところはありますが、これは目をつぶりましょう。それを差し引いてもスゴく面白いです。

↓以下、ネタバレ含む。








メキシコと言えば麻薬戦争を思い浮かべるんですが、それはないですね(当たり前だ)。それでもサボテンはもちろんマリアッチやルチャ・リブレを取り込み、メキシコっぽさを出しています。『デスペラード』や『ナチョ・リブレ』を思い出しますね。キラーサボテンの意思なく人を食らいつくす様が結構容赦ないです。奴等がどこからいつ来たかは描かれませんが、音に反応するとか水に弱いという弱点を付けているので攻略の道が開けます。シンプルな弱点ですが、乾季のメキシコなので水がない、というのを前提にしてるのでピンチだし、その弱点を知るのがしんのすけの放尿だというのはギャグアニメらしい結び付け方。

そんな感じでギャグはふんだんに入れてます。家が作りかけというのは面白い。あんな落ち着かないトイレはないですな。ヒスパニックのボイン先生には当然食いつくしんのすけ&ひろしというのもお約束。ひろしの「食うなら俺を食え!」の後の「そうか……」の表情がたまりません。子供たちが複数の尻で攪乱するとかね、バカなんだけど効果的っていうのが憎たらしいですね、面白いけど。

そういったギャグのために緊張感には少し欠けるものの、連続するピンチとそれをいかに乗り越えていくのかというのはとても上手く出来てます。助けを求めてるところにヘリが現れるも音に反応して撃墜されてしまうとか、その後のサボテンキャラの乗り物によるダイナマイト作戦とか、押さえてますねー!しかも爆発で橋が壊れて(アホですが)退路が断たれるという、ちゃんと次の展開に繋がっている。最高なのは巨大サボテンに対して巨大キャラ風船で対抗するというところですよ。そこまでの攻防もなかなか手に汗ですが、遂に巨大風船で激突するクライマックス!もう完全に怪獣映画ですよ。しかもサイドストーリーに徹していたペットのシロがいつの間にか逞しくなって最後に超カッコいい活躍!もう、どこまでツボを押さえれば気が済むのか!熱さで泣かせてくれる、というのが非常に嬉しい。

これだけ違うジャンルをかましてくるのにブレを感じないのは、根底にある家族愛だけは崩さないからですね。ジャンルものとしてのツボと『クレしん』映画としてのツボをキッチリ押さえているからこその完成度。新キャラたちが徐々に変化していく流れも自然でイイ。そして別れても繋がっているともだち。最後にカスカベ防衛隊のバッチが出て来た時は、まさかそれが伏線だとは思わなくて泣いてしまいましたよ。気軽に観れて手に汗握る、うっかり笑って思わず涙。素晴らしい娯楽作です。

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