2015
03.29

インドのボンクラ、ゾンビに会うの巻。『インド・オブ・ザ・デッド』感想。

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Go Goa Gone / 2013年 インド / 監督:ラージ・ニディモールー、クリシュナDK

あらすじ
きっと、うまくいかねぇ!



インドのリゾート地にやってきたハルディク、ラヴ、バニーの3人組。しかしロシア人マフィア主催のパーティに潜り込んだ彼らを待ち受けていたのはゾンビの大群だった!というインド映画初のゾンビ・コメディ。

インド映画といえば豪華絢爛な歌とダンスですが、この映画では歌わないし踊りません。かと言ってシリアスドラマでもありません。代わりにゾンビがいっぱい出ます。映画大国インドでホラー映画が作られるようになったのは今世紀に入ってからだそうで、本格ゾンビ映画はこれが初めてとのこと。しかしこれがすんげー面白い!ここまで良質なゾンビ・コメディがまさかインドで作られるとは驚きです。だってインドって火葬じゃないですか。日本もそうだけど、そもそも蘇る死体がないんですよ。それを「ヤクの力でゾンビ化する」という一見荒業に見えながらちゃんと理論付けた説明でクリア。ゾンビものとしても『ショーン・オブ・ザ・デッド』へのリスペクトを感じさせつつ『ゾンビランド』のアッパー感と『ロンドンゾンビ紀行』のギャグテイストが爆発という実にツボを押さえた作り。超バカだけど全然失速しないのは凄い。

同じ3人組でも『きっと、うまくいく』とはまた違った愛すべき主人公のバカ3人を始め、超セクシーで強気なインド美女、銃をぶっ放す強面とキャラもキッチリそろえて抜群。特にハルディクはバカなテイラー・キッチュみたいでイイ。煙草や葉っぱを吸うシーンでは画面右下にずっと「喫煙はあなたの健康を損ねる恐れが」みたいな英文が表示されてて「インドは厳しいなー」と思ったんですが、劇中の人物はそんなのお構いなしでスパスパ吸ってたのもむしろ潔かったです。

歌も躍りもないけれど、これは愛と友情(とドラッグ)を描く一大サバイバルだ!痛快!

↓以下、ネタバレ含む。








劇中唯一の歌と踊りが、冒頭のテレビで映るマイケル・ジャクソン『スリラー』のパクリPVだというのがなんとも脱力。という具合に、のっけからバカ丸出しでスタート。主人公たちはIT大国インドらしく何やらIT系大企業の社員のようですが、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のようにオフィスでヤろうとしてクビになるハルディクと、愛に生きるため生活を改めたのに弄ばれたのが分かったらあっという間に元に戻るラヴ、唯一真面目なのに二人に巻き込まれるバニーと、彼らのダメな感じがガンガン伝わる開始30分で既に笑い転げます。

リゾートの島に行って享楽の時を過ごし、一夜明けて始まるゾンビ大行進。「ゾンビ」という言葉がなかなか出てこなかったのはやはりインド初だからなんでしょうか。ようやく「ゾンビだ!」と言った返しが「インドだぞ」は笑いますが「グローバル化だ」で納得するバカたちがバカです。でもこのバカたちが憎めないのは、貴重な銃弾をあっという間に使い切っちゃうほどビビってても、いざと言うときちゃんと仲間を救おうとするからですね。決死の覚悟でルナを救いに行くラヴに結局ハルディクたちも付いていくし、孤立したバニーを救うため地獄に舞い戻ったりする。そうしないと話が進まないからとは言え、散々ヘタレっぷりを見せてきたからこそ、その行動が活きてきます。ロシアン・マフィア(でもインド人)のボリスとニコライの別れなんてハードボイルドで泣けますよ(それでいてあのロケットランチャーな!)。でもゾンビから隠れてる最中でもルナにアタックするラヴとか、過去の悲しい恋話をしながら結局エロい方に持っていこうとするハルディクとかはやはりバカで可笑しいし、サニーが「友人役は真っ先に死ぬんだ」というのがイイ伏線になってるのも上手い。

ゾンビ映画としても現れ方、襲い方と結構基本は押さえてるので、ホラーとしてもわりとちゃんとしてますね。その上で「ゾンビのふりをして切り抜ける」という何かで観たような作戦を実行したり、ブッ刺した傘を開いちゃったり、口に懐中電灯突っ込んでサーチライトゾンビにしたりとやらかしてくれます。ゾンビの造形が若干チープなのはまあ大目に見ましょう。ボートに乗って流されていく女ゾンビのうら寂しさなんかは良いですよ。弱点をついて止まっているとはいえその間を駆け抜けるのなんかもヒヤヒヤします。さりげなくラヴの元カノとその彼氏もゾンビ化してるというのも抜け目ない。

大陸から島に渡ったら騒動に巻き込まれるというのは南の国ならでは。『ドーン・オブ・ザ・デッド』の逆パターンみたいでもありますね。セクシー衣装でスタイル抜群のルナの後半のサバイバル姿がタンクトップにホットパンツというのが個人的にどストライクだし、「アイル・ビー・バック」と言ってちゃんと戻ってくるボリスも銃ブッ放しまくりで最高です。あと何気に良いのがハルディクが道中の祠で神に祈るシーンで、西洋のゾンビもので祈るのとは違って何か効き目がありそうというか、実際効果があるのが微笑ましいです。西洋ゾンビものとの違いと言えばもう一つ、内包するテーマが、よくある「本当に怖いのは人間」ではなく「人間を壊すドラッグはやめよう」なのが実に的を得ています。喫煙警告メッセージが出てたのも前フリじゃねーの?って思わせてくれますね。

そして無事脱出できたと思ったら……というお約束もバッチリ。並んでキメたラストショットで拍手喝采の気分ですよ。最高でした。

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