2015
03.09

腹は減るけどハッピー!『シェフ ~三ツ星フードトラック始めました~』感想。

chef
Chef / 2014年 アメリカ / 監督:ジョン・ファヴロー

あらすじ
キューバ・サンド!



ロスの有名レストランで一流シェフとして働いていたものの、オーナーと喧嘩して店を辞めてしまったカール・キャスパー。仕事も名誉も失った彼が始めたのはキューバサンドを売る移動販売だった。『アイアンマン』シリーズのジョン・ファヴローが製作・監督・脚本・主演を務めるハートフル・コメディ。

話的には結構シンプルだしそこまでややこしい事件が起きるわけでもないです。だけど登場人物たちの個性的な言動や随所に散りばめられたちょっとした笑いがとても楽しく、その中で描く離れかけた親子関係の回復もじわじわと効いてきます。そして何よりも、超絶旨そうな料理の数々!観る前から覚悟はしてたけど、そんなもん吹き飛ばすほどのグルメ映像の奔流。とんだ飯テロ映画ですよ!

包丁捌きも見事なジョン・ファヴローのエネルギッシュなシェフ役がハマりまくり。合流、即戦力となるジョン・レグイザモの調子の良さも魅力的です。『アイアンマン』のファヴロー監督ってことで特別出演のキャストも豪華。スカヨハは肩の星のタトゥーもセクシーでジョースターの血統かと思ったよ。あとロバート・ダウニーJr.の人を食った役柄に爆笑。トニー・スタークより酷い(ホメてる)。子役の子も大変可愛いのでショタ必見。合理的なオーナーをダスティン・ホフマンが演じることでそういう方針もあるなって思わせてくれるのも良いです。

SNSの恐さと活用法まで教えてくれる。ピポ!って鳥が飛ぶのイイ。キューバの音楽もノリノリだし、湿った空気もすぐに切り上げるテンポの良さでハッピー尽くしの気持ち良さ。「あの名作」の感動を今ならではの手法で再現するのが面白い。ご都合主義と言われそうだけど、時にはこういうのが精神衛生上もとても良いんですよ(空腹時は地獄ですが)。キューバ・サンドが食べれる店は観賞前に探しておいた方がいいかも。

↓以下、ネタバレ含む。








ツイッターやってる人ならニヤニヤしちゃうシーンも多いけど、ちょっと意外だったのはFacebookが一度も出てこなかったこと(出てないよね?)。アレはもうそういう扱いなんですかね。息子くんのツイートがピポ♪ピポ♪ってどんどん拡散していくところは小気味よかったです。SNSでの評論家の批評に泣いたカールがSNSでの拡散により人気が出るという、ネットの明暗を見る感じですね。暗の部分に冠していえば、批評家に限らずネットでの評判が店舗や作品や果ては個人までを潰す危うさ、というのはスゴく怖い。一旦アップされた動画は永遠に残る、というのは肝に銘じなければなりません。もう「知らない」では済まされない時代なんだ、ということですね。

それでも明暗の明の部分、父親カールに出来ないことを息子くんが担うことでフードトラックの営業が上手く回るということが重要な要素となっています。父も息子もお互いを大好きなんだけど、父は仕事のことで手いっぱい、子供は寂しい思いをするという親子関係を、旅をすることで修復していくというのが王道ながらやはりいいんですよ。旅の途中で色々と気付いていくロードムービーとしての心地よさ。ニューオリンズだったかな、親子二人で出かけて息子くんが「買い出しはしないの」と聞いて父が「しない」と答える、仕事抜きで二人で歩き回れるんだというシーンが好きです。調理シーンでも、息子は単なる手伝いではなく自分の役割を果たし、父も息子を一人前として扱う、この対等の関係が大事なことを思い出させるんですね。息子とフードトラックの掃除をし始めるところなんて泣きそうになったし、Vineで旅の写真を次々に映すところなんて『ニュー・シネマ・パラダイス』ですよ。泣くよ。エピソードの積み重ねが実に上手くて、とにかくハッピーです。

まあ『アイアンマン2』の3人が出演というだけで何かハッピーではありますけどね。このシェフが「うまいぞ!」って出したシャワルマをスカヨハとRDJが無言で咀嚼する、という画はさすがになかったですが(そういやジョン・ファヴローは体型的にクッキング・パパだったな)。それにしてもスカヨハとイチャイチャしたり、美人過ぎる元妻とも仲良かったりとファヴロー監督役得すぎだな。そんなファヴロー演じるカールは全て失ったと言うけども、息子や元妻とはそれほど関係が悪いわけでもないし、レグイザモ演じるマーティンら慕ってくれる仲間もいるからハッピーの前にラッキーではあるんですけどね。色々持ってるじゃん!とは思うんですよ。でも料理を作って人に食わせるのが大好き、というのが溢れてくるから憎めないんです。元妻に「(息子への伝言として)愛してる」と言われて一瞬固まったりするし。子供の前で下ネタ発言多すぎな気もしますが、まあ変に隠すより却って健全かもね。最後はフードトラック辞めちゃうの?とも思いますが、それも不満と言うよりは旅の終わりの寂しさ的なものだったりします。元妻とヨリまで戻してめでたしめでたし、言うことなしのハッピーエンドです。

そんなハッピー尽くしの根底にあるのはやはり料理。ペペロンチーノ、キューバサンド、チーズサンド、ドーナツ的なやつ、一晩焼いた肉の塊などなど。もうなんなの!腹減るわ!という文句を、美味しそうな料理を美味しそうに食べる人々という画で覆す。そりゃスカヨハだってペペロン食って「ンフー」とか言いますよ。旨いもん食べれば皆ハッピー、は万国共通ってことですね。

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