2015
01.15

追われて奏でる鎮魂歌。『96時間 レクイエム』感想。

taken_3
Taken 3 / 2015年 フランス / 監督: オリヴィエ・メガトン

あらすじ
お父さん頑張る(三度目)。



リーアム・ニーソンを比類なきアクション・スターへと押し上げたシリーズ第3弾。1作目で娘を誘拐され、2作目では自身が誘拐されたリーアム・ニーソン演じるブライアン・ミルズ、今作はTAKENはされないものの、またもや大変な目に会います。

監督は前作と同じオリヴィエ・メガトンですが、カット割りが凄まじくてどうにもせわしなく、ブツ切りのためせっかくのアクションシーンが楽しめなかったり、やたら顔アップが多かったりと、演出的には実にアレです。あと元妻レノーアの夫役スチュアートが前作までとキャストが変わっているため「誰?」って感じです。娘キムの彼氏役も変わってるのかな?まあこれは新しい彼氏かもしれませんが。総じて粗さが残る印象。

ただ、やはりリーアム・ニーソンの存在感ですよ。元CIAの特殊技能を惜しみ無く発揮し、家族のためには邪魔する者はマサクゥル(みな殺し)!今作では巨大ぬいぐるみを抱えて満面の笑顔、無敵感は少し抑え目でなかなかのピンチの連続、それでもやはり強いなど、いろんな顔のリーアム・ニーソンが見れるという点で主人公への感情移入はシリーズ屈指でしょう。またリーアム無双感は減ったものの、プロがプロに追われながらもプロを追い詰めるという、プロフェッショナルを描いている点がとてもイイ。悲劇によって家族愛がさらに強調されているという皮肉な側面もありますね。あと気持ち悪いミスタースポックみたいな敵ボスも面白い。フォレスト・ウィテカーも安定感があります。

ちなみに4DXで観ましたが、カーチェイスなどのアクションはまあまあ。ただオープニングで街の遠景にカメラが寄ったり引いたりに合わせた椅子の動きは面白かったし、4DXのバリエーションをまだまだ感じさせるという点では悪くないです。初見が4DXでも大丈夫でした。

↓以下、ネタバレ含む。








アクションシーンに入ると途端に同じ長さのカットがサクサク繋がるだけになって、緩急がなくなっちゃうんですよ。スピード感を出したいのかもしれないけど、もう少し延ばすところ縮めるところ選び分けて欲しかった。だからせっかくブライアンが超絶スキルを見せるようなことをやっても、いつの間にか車から脱出してるとか、いつの間にかエレベーター出てシャフトの中にいるとか、どうにも都合が良いようにしか見えないのです。演出と言うか編集が悪いのかな。

今回はあろうことか元妻のレノーアがブライアンの自宅で殺されるという悲劇が起こり、ブライアンが犯人扱いされて孤軍奮闘となるわけですが、前作までの活躍によりレノーアとの関係も修復できそうな兆しを見せてきていただけに、これはシリーズを追ってきた者にはこたえます。己の保身のために家族を切り捨てる男と、己の身を顧みず家族を救おうとする男という対比があるわけですね。救えなかった元妻の命、そして新たに誕生する子供の命。敵がガンガン死んでいくシリーズとしては今までになく命の重さに焦点を当てており、それを繋ぐのがブライアンと娘キムとの絆です。これはシリーズ通して描いてきたからこその説得力があると言っていいでしょう。それにしてもこの親子はホントに仲いいな。だっておでことおでこコツンですよ。トイレで。全国の娘を持つお父さんには泣けること間違いなしですよ。

今回良かったのはサムら友人たちとガッチリ組んで対抗するところ。普段はゴルフなんかしちゃってる元CIA親父たちが、ロシアのスペツナズ出身を筆頭としたガチプロ組織と戦うというのがイイです。それを追う警察組織も、後手に回ったり出し抜かれたりしながらも犯罪捜査のプロとして証拠を挙げたりブライアンを追いつめたりしていて決してマヌケではないのがまたイイ。みんな結構強いのでブライアンの即死攻撃が通じにくく苦戦するというのも新鮮。敵ボスのマランコフ、ただでさえ卑猥な響きの名前なのに、羽織ったシャツに白ブリーフ姿で戦う極悪バルカン星人なのが最高です。輪ゴムパチパチするのが手癖らしきドッツラー警部もなかなかのキレ者だし、フォレスト・ウィテカーがブライアンの行動を聞いていちいち「やるな」って感じでニヤリとするところがイイですね。あと『96時間』1作目を思い出させるシーンが結構あって、それは1作目へのオマージュにも受け取れて良かったです。「グッドラック」とか。

という具合に、演出のふがいなさのわりに結構楽しめるところもあって、何と言うか良さと悪さが表裏一体という感じなんですよね。クライマックスで飛行機の足に車ごとぶつかるとかやってるアクション自体は良いんだけど、慌ただしい編集のせいで動体視力が必要とか。スチュアートは悪いことしそうなキャスティングにはなってるけど、お話的に黒幕の予想が付いちゃうとか。サムが活躍するのはいいけど、撃たれた後に実は生きてたというフォローシーンがないとか。ドッツラーが散々いじってた輪ゴムで最後にブライアン・ミルズ書類をバチッと止めるのは小気味いいけど「普通に輪ゴムとして使うんかい!」と言う拍子抜けも感じるとか。マランコフは仕留めたのにスチュアートに対してはそれで終わり!?とか。なので「悪くないけど文句はある」という感じです。

シリーズ最後って言ってるからまあ実際は続編はないとは思いますが、僕は「続編はやるならやってもいいよ」派です。なぜなら今度やるとしたら絶対生まれた孫がメインじゃないですか。孫と戯れたり、泣きだす孫におろおろしたりするじゃないですか、リーアム・ニーソン。さらわれたりなんかしたら1作目の比じゃないくらい暴れまくるじゃないですか。萌えるじゃないですか。ブライアンおじいちゃんが孫のために特殊技能を駆使して頑張っている、そんな姿を想像するのはなかなか楽しいです。


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