2014
12.26

友よ、うちへ帰ろう。『ホビット 決戦のゆくえ』感想。その2

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The Hobbit:The Battle of the Five Armies / 2014年 アメリカ / 監督:ピーター・ジャクソン

あらすじ
Farewell.



『ホビット 決戦のゆくえ』感想続きです。前回はこちら。

友よ、うちへ帰ろう。『ホビット 決戦のゆくえ』感想。その1

シリーズ最終章であるという寂しさもあり、その先の話への繋ぎとしての役割もあるので、観終わった後すぐに『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』を観たくなります。ただ『スターウォーズ』のEP3観てすぐにEP4観たくなるのとはちょっと違う感じなんですよ。もっとあの世界にいたいから観たくなるというか。別れがたい思いが強いというか。とにかく2001年から13年も続いてきた壮大なサーガをリアルタイムに観続けられたことは幸せでした。

ちなみにIMAX HFR3Dでも観ましたが、通常の秒間24コマを倍の48コマで撮影するHFR(ハイ・フレーム・レート)だと、あらゆる場面が滑らかでさらに臨場感が増し、中つ国という世界がそこにある!と感じられます。特に情報量の多い戦場シーンは激しい動きもスムーズ。映画というよりテレビドラマを観てるような多少の違和感もあるかもしれませんが、これは映画館でしか観れないのでぜひ体験してほしいところ。ぬるぬる動きます。

それでは前回に続きキャラクターごとの感想を。しかしこうして書いてると、このシリーズってキャラクターを立てるということに本当に長けてるんだなと感じます。脇役に至るまでキャラ萌えさせる、これも大きな魅力の一つですね。

↓以下、ネタバレ含む。








・バルド
人間代表として一人気を吐くバルドはやはり序盤のスマウグ退治が絶品。切れた弓の代わりに息子を使うという親子愛の強さを見せますが、あれって矢を射ったあと弦が息子の顔にバチコーン!って当たって痛かったんじゃないですかね。あとバルドの見せ場と言えば荷車アタックです。しゃがんだ子供たちをギリギリ飛び越えて行く辺り、息子のバチコーン!に続き結構容赦ないです。戦局より子供たちを探す道を優先したり、トーリンとの交渉も権利を主張しすぎてあっさり失敗したりと、指導者としてはまだ微妙な感じ。あからさまにダメ人間の両津眉、アルフリドを見捨てないところに器のデカさは感じますが、ヤツのせいで周りが迷惑を被ることもリーダーなら気にかけてほしいところ。それでも寄せ集めの漁師たちにすぎない人間軍に指示を与えて何とかデイルの街で踏みとどまるのは大したものです。戦闘力高いしね。ただ『ドラキュラZERO』を観た後だとルーク・エヴァンスがコウモリ分身キメそうでちょっとドキドキします。息子君が可愛らしいです。

・アルフリド
元頭領の補佐アルフリドはスラ様の眉毛とはまた違った眉毛で存在感をアピールしてますが、オークよりも姑息なクズ野郎っぷりがその両津眉毛以上に目立ちます。しかもかなりしぶとい。元頭領が消えても失脚するどころかすぐさまバルドが新たなリーダーであると見抜いて取り入ろうとするし、危ない戦闘には絶対に関わろうとせず口八丁で難を逃れるし、プライドなんてクソの役にも立たないと言わんばかりに老女に化けてまで隠れようとします。あの徹底的な憎たらしさは大したもんだ。いくら蔑まれてもブレないその姿勢はある意味強いです。『LOTR』の蛇の舌グリマ並に存在感のある小者と言えるでしょう。エクステンデッド・エディションではぜひ奴の最期を見せて欲しいですね。生き延びるかもしれないけど。

・ガンダルフ
「ヤバいから!」と騒ぎ出し、皆を旅に引きずり出し、別行動を取った途端とっ捕まる、安定のお騒がせ爺さんガンダルフ。魔法使いと名乗りながら攻撃は物理系のパワーファイターです。トーリンを担ぎ出したことが敵の思う壺だったことを反省する理性もあるものの、自信がないときは「だといいが」とかこっそり言い足すので、行動を共にするには注意が必要。今回一番よかったのは、トーリンを失い沈み込むビルボの隣に座り、なかなか火の付かないパイプ草をスパスパ言わせてるところですね。あのシーンは会話が全くなく、僅かに交わす視線だけで多くを語る。とてもイイです。しかし実は指輪のこともお見通しだったということを最後に明かす、油断のならない爺さんです。でもやはりイアン・マッケランのガンダルフ超好き。「ビィルボォ・バギィンズ」って言い方がイイ。

・白の会議(ガラドリエル、サルマン、エルロンド、ラダガスト)
捕えられたガンダルフを救うため、敵の本拠に乗り込んでくる白の会議のメンバーたち。ただの偉そうな人たちではないということを嫌と言うほど思い知らせてくれます。

皆がガラドリエル様を畏れ敬う理由が明らかになる、劇中最も恐ろしいシーンと言っても過言ではないガラドリエル様の超本気モード!その圧倒的なパワーは力の戻っていないサウロンなんぞアングマールの魔王らと共に一瞬で退けるほどの凄まじさです。ガラドリエル様マジ強い。起き上がれないガンダルフをお姫様抱っこするという男前ぶりも見せてくれます。この二人のちょっと怪しい大人の関係を匂わせるのは何なんですかね!けしからんですね!

一方で白のサルマンがこれまたマジ強い。ガンダルフ以上の物理攻撃に魔法も混ぜてるのか?とにかく影に対して有効打キメまくり。実際に激しく動いてるのはさすがにクリストファー・リー(92)本人ではないだろうと思うんですが……どうなんだろう。本人だったらドゥークー伯爵以上の立ち回りなんですが、まあ本人じゃなくてもアガることには違いないのでオッケーです。

そして裂け谷のエルフの長、エルロンドも一緒です。闇の魔王たちに対し「死んでいればいいものを」という、劇中でも数少ないイカした捨て台詞を吐いてバッタバッタとなぎ倒していきます。エルロンドはかつてのサウロンとの戦いでも活躍した戦士ですが、今回はさすがにガラ様とサルマンの陰に隠れ気味。まあしょうがない。

そして白の会議のメンバーではないですが、またもや出ました癒し系爺さん、茶のラダガスト。今回はガンダルフをウサギそりに乗せて逃げる程度の活躍に見えますが、オークとの戦いで最後に形勢を逆転する大鷲はラダガストが呼んだものと思われるので、実はかなりの功労者ではないでしょうか。さすが中つ国のムツゴロウさんです。

・ビヨルン
皮を変える者の生き残り、ビヨルンがまさかの再登場。一族をオークに滅ぼされた恨みを晴らすべく大鷲に乗ってやってくるというのもスゴいですが、そこから飛び降りて(しかもかなり高い)その落ちてる間に熊に変身し、着地と同時に敵軍を薙ぎ払うという大暴れもスゴい。アゾグでさえ危険視したその力はまさに中つ国のリーサル・ウェポンです。クマさん頑張れ!

・闇の勢力
穢れの王アゾグは1作目ではオークの強いやつ程度と思ってたら、王と言うだけあって知力、腕力、残忍さと揃った最強のオークでした。サウロンがガラドリエル様にふっ飛ばされたこともあり、完全にラスボスポジション。それに相応しい暴れっぷりであり、トーリンとの一騎討ちでは岩の塊をぶん回すという一撃必殺の攻撃で押せ押せです。岩塊を持たされて氷の裂け目に沈んでいくのはあの体制では投げ捨てることも出来ないからですね。氷の下で漂いながらトーリンの隙を伺うのも狡猾。後のウルク=ハイを越える強敵でした。

もう一人の強敵ボルグは、手足が長くてこれまた厄介な相手。つーかボルグってアゾグの息子だったのね。鎧代わりに鉄片を体に埋め込んでいるので剣を弾くというのが強みで、ラストはレゴラスと死闘を繰り広げます。こいつはキーリにとどめを刺したにっくき敵ですが、最後は人智を越えた動きのレゴラスに脳天ブッ刺され、遥か眼下の崖下に落下し、ついでに落ちてきた岩に頭を潰されるという三段活用で息の根を止められるので溜飲も下がろうというものです。

オーク、ワーグにゴブリンまで出てくる闇の連合軍は、大鷲やビヨルンの参戦で遂に敗走。ちなみにサブタイトルの「五軍の戦い」の五軍とは、人間、エルフ、ドワーフと、相手のオーク、ワーグを指します。ワーグは単なる乗り物ではなくオークと同列の部隊なわけですがそこは分かりにくいですね。映画版ではアゾグのドル・グルドゥア軍と後から来たボルグのグンダバド軍で五軍と見た方がよさそうです。

・ビルボ・バギンズ
ビルボのビルボ感(変だけどそうとしか言えない)は、あのチャカチャカした動きにあるんでしょう。口をぐるっと回しながら鼻をすする仕草とか、首の動きの速さとか、喋り方もイイんだよねー。ビルボってのはこうだ、というのを昔から知ってたような既知感さえ抱かせるマーティン・フリーマンは本当に彼がビルボで良かったと思わせるくらいハマり役。物語を左右するアーケン石の対処に絡んでいたり、アゾグの作戦を伝えに走ったりと今作でも重要な活躍を見せてます。やはり戦士ではないためか今回の戦闘方法はつらぬき丸による攻撃より「投石」というやけにプリミティブなやり方に。しかもかなりの命中率。ラストバトル中は気絶していた、というのがちょっとアレですがそこはしょうがないでしょう。トーリンの最期に立会い、囁くように「大鷲が来た」と語りかけ、トーリンが逝ったあと声をあげずに泣くビルボ。他のドワーフたちの前では遠慮してか言えませんでしたが、ホビット庄に帰ってからトーリンのことを「彼は友人だった」と漏らすのが泣けます。と言うか、今こうして書いてるだけで泣きそう。ドワーフ王と対等の友だったホビットであるビルボは、ガンダルフに対しても「許可は求めてないよ」と自ら行動を起こすことで、ガンダルフとも対等であることを示し、やがて友となります。皆に好かれる、そこに違和感を感じさせないのもスゴいなマーティン。

そして家に戻り、取り出した指輪からイアン・ホルムへ繋がり『ロード・オブ・ザ・リング』の冒頭へと続いていきます。その間ビルボは指輪の誘惑に屈せず、無事111歳の誕生日を迎えるに至ります。ビルボの冒険は終わってしまったけれど、その意志はフロドへと受け継がれ、物語は中つ国の真の平和を取り戻すべく続いていくのです。

うーん、やはり『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』を続けて観たくなりますね。

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