2014
12.25

友よ、うちへ帰ろう。『ホビット 決戦のゆくえ』感想。その1

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The Hobbit:The Battle of the Five Armies / 2014年 アメリカ / 監督:ピーター・ジャクソン

あらすじ
ゆきて帰りし物語。



『ロード・オブ・ザ・リング』から始まったJ・R・R・トールキンの世界の映像化であり、ファンタジー、バトルもの、キャラもの、あらゆる観点で密度の濃いシリーズもとうとう最終章。監督は遂に全編メガホンを取り続けたピーター・ジャクソン。

前作『ホビット 竜に奪われた王国』の感想はこちら。

あいつら最高だ!という点を挙げていこう。『ホビット 竜に奪われた王国』感想その1。
あいつら最高だ!という点を挙げていこう。『ホビット 竜に奪われた王国』感想その2。

そもそも『ロード・オブ・ザ・リング』よりも原作は全然短い話なので、それを3部作にするということは何かしら話を広げたりオリジナル要素を入れたりする余力があるということで、実際原作には登場しないレゴラスが登場したりもするんですが、まさかその余力を使ってここまでバトル描写に力を入れてくるとは。それくらい今作はバトル三昧。サブタイトルを「五軍の戦い(The Battle of the Five Armies)」としたのも納得です。しかもあらゆる対決や戦略のせめぎ合いを、壮大な画的にも、激しいアクション的にも、語りの流れ的にも魅せまくり。「二部作でいいのに」と言う声も聞かれますが、これだけ膨らませておきながら水増し感がないんですよ。 戦闘シーンなんてほとんど台詞もないのに全然長さは感じない、むしろ短いくらいです(好きだからというのはありますが)。実際シリーズ中一番短いんですけど(でも144分)。

最後だからどうしても別れが多くなるんだけど、覚悟してても落涙。あの人の凄まじい一面!とかまさかのあの人も参戦!とか嬉しい驚きもあったりして、もう最高です。大好きです。手に汗握り、展開に驚き、最後はもうドバドバ泣きましたよ。『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』の時も言ったけど、これはまた言わざるを得ない。ありがとうピーター・ジャクソン!

細かい点を挙げるときりがないほど見所が多いので、前作の感想と同様キャラクターごとに思いを書いていきます。

↓以下、ネタバレ含む。








・スマウグ
その巨体と知恵とファイヤーブレスで前作では怒涛の暴れっぷりを披露したスマウグ、こいつが人間たちの街を攻撃するところから物語は始まります。容赦ない業火によりあっという間に火の海となる湖の街、その光景が凄まじい。『ガメラ3』の京都炎上みたいです。しかし、散々伏線を張っておいた欠けた鱗、そして黒い矢によって遂に撃沈、一発退場。スマウグの見せ場が少なすぎる、という向きもあるようですが、スマウグは前作で散々暴れたんだからこれくらいで十分でしょう。今回のサブタイトルの表示タイミングからしてもここは掴みの部分です。むしろ前作にくっつけちゃってもいい内容ですが、そうするとクライマックスがドワーフとバルドの2回になっちゃいますからね。ところで声を当てたベネディクト・カンバーバッチは前作同様モーションキャプチャーまでしたのかな?体よじりながら苦しみ悶えて死んでいくところとかね、やっててもおかしくないですね。


・トーリン・オーケンシールド
遂にスマウグから故郷エレボールを取り戻したトーリン。しかし黄金の魔力に取り憑かれ、あっさりとダークサイドに堕ちます。生きて戻った甥たちに労いの言葉もなく、人間たちとの契約を無視して引きこもり、アーケン石を仲間の誰かが隠していると疑うところまで行ってしまう。でもビルボに対しては優しい顔を見せたりするんですよね。ビルボが手に持っていたのがドングリと分かって思わず微笑んだり。トーリンはドワーフたちにとっては王なので屹然としていなければならず、それだけに種族の異なる、命の恩人でもあるビルボには対等な友情を感じていたのでしょう。普段は「バギンズ殿」って言うのに、気を回す余裕がないと「ビルボ」って言っちゃうという微ツンデレは今回も健在。そして暗黒面を脱した後は、いきり立つキーリにデコくっつけて微笑んだり(キャー)してちゃんと復活。アゾグとの一騎打ちで、闇の森で囚われた際にエルフに没収された剣を再度使うことになるくだりはたまりません。予想はしていましたが、トーリンとの別れには涙腺決壊です。

・キーリ
ドワーフのイケメン枠キーリは、「一緒に行こう」という大胆な誘惑、大事なお守りの石を渡すというレアなプレゼント攻撃と、相変わらず無自覚な恋愛テクでタウリエルを翻弄。しかし湖の町で別れて以来の二人の再会は、同時に永遠の別れのときでもある……キーリは悲恋話だけでなく、ダイン卿らドワーフ軍に加勢しないトーリンに対し「僕の血が許さない」と詰め寄る熱い一面も良いですね。ドゥリンの血!

・フィーリ
ドワーフのイケメン枠その2、弟思いの武器マニア、フィーリですが、今回最も目立つのがあの最期のシーンとは……あの見ているしかできない絶望感に「やめてー!やめてー!」って声を上げそうになります。刺されるところが微妙にゆっくりなのがかなり「イヤー!」という感じです。キーリのときもそうなんだけど、あの無防備な体勢で刺されてゆく絶望感は凄まじいです。

・ドワーリン
何かいつも怒ってるただの戦闘ハゲかと思ってたら、君主のためには命懸けの忠言をも厭わない真の武士(もののふ)でした。トーリンの覚醒のきっかけとなったこの忠臣が、トーリン、フィーリ、キーリと共にからすが丘へ向かうとき、ガンダルフに「ドワーフ最強の4人」と言わしめるところがスゴい熱かったです。

・旅の仲間のドワーフたち
他のドワーフたちは今一つ見せ場が少な目です。目立つのはビルボと話すバーリンくらいでしょうか。前半は引きこもり、後半は他の見せどころが多すぎるためある意味しょうがない。でも前2作までの活躍があるから、あの広い戦場のどこかで戦っているんだ、と思えます。だからビルボが最後に別れを言わずエレボールを去ろうとするとき、振り返ったところに生き残った旅の仲間全員がいる、というのは、もう泣くしかないわけですよ。「お茶の時間は4時ね」なんて冗談を言うビルボに皆が笑ったりするのもスゴくせつない。去って行くビルボを見送る皆が一列に並んだ姿、そこからゆっくりとカメラが遠ざかっていく寂しさは、本当の冒険の終わりを思わせます。

・タウリエル
外の世界へも目を向けるべき、と言う革新派のエルフ、タウリエル。闇の森追放を言い渡されるのがちょっと理不尽だったのか、兵を引き上げようとするスランドゥイル様にいきなり矢を向けます。あ、違います別に逆恨みではなく「今去ったらドワーフたち(=キーリ)が死んでしまう!」という理由ですね。愛ゆえに!です。しかしスラ様に「本当の愛を分かっておらぬ」とか言われちゃう。ここで弓を破壊されたために得意の弓矢が使えず、キーリを死なせてしまったんじゃないかと考えると、タウリエルはさっさとスラ様を射っておくべきでしたね(ダメだよ)。失って愛のツラさを知ったタウリエル、彼女はその後どうなったのでしょう。レゴラスとも離れたし、闇の森に戻ったんでしょうか。

・レゴラス
何かもう種族の特性以上の能力でも持ってるんじゃあないかという、一介のエルフを超えた超人的な活躍のレゴラス。トリッキーな戦い方で戦闘シーンのバラエティを思い切り底上げしてくれます。対ボルグ戦ではもはや物理法則さえ無視した身体能力を見せ、崩れゆく橋をぐるんぐるん逆上がりながら登ったり、落ちていく岩を駆け上がって攻撃したりと、もう「すげー!」しか言えません。弓がなくなったら剣で、その剣を華麗にトーリンへ渡し、今度はダブル短剣で、と弘法筆を選ばず。大コウモリの足に飛び付くことで、遂に空まで飛びやがります。しかも降りるときは矢で殺します。また、トロールには剣を突き刺してレバー操作で操ります。怖いものなし、レゴラス無双。でもタウリエルにはフラれました……頑張ってください。それにしても『LOTR』でレゴラスの他に闇の森のエルフが一人も出てこないのはなぜだろうと疑問だったんですが、最終的に彼が出奔みたいな形になったのも影響してるんでしょうか。

・スランドゥイル
眉毛王、もとい闇の森のエルフ王スランドゥイル様。今回は眉毛の目立ち方が少なくて残念ですが、観る者皆が「でか!」と口走ること間違いなしのとんでもない角を持つヘラジカに乗って登場!そして予想を超えたヘラジカアタック!6人まとめて持ち上げて首を一閃!直後ヘラジカが殺られるも、華麗なる二刀流の回転斬り!と強さと美しさが留まるところを知りません。エルフ軍団の死体の山を前に軍を引こうとしますが、結果的には最後まで残っていたようです。息子レゴラスとの確執は隠しようもありませんが、それでも最後に長く伏せていた母の話をし、ある人物を探せと我が子の旅立ちに指針を与えるスラ様もやはり一人の父親。この「アラソルンの息子で名をストライダー、本当の名は……」と言うところで『LOTR』の曲が流れるところは感動のあまり震えます。

・エルフとドワーフ
一糸乱れぬ動きで陣形展開し、王が通るときは素早く道をあける人間自動ドアとなる、スラ様直轄の闇の森エルフ軍。そしてダイン卿率いるいかにも堅そうな屈強ドワーフ軍。この二軍が共闘してオーク軍と戦う戦闘シーンはもはや合戦映画。ドワーフ軍が敵に向かう中動かぬエルフ軍にやきもきさせておいて、ドワーフの盾の壁を飛び越えて斬りかかるエルフ軍、という劇的な開戦シーンに歓声を上げざるを得ないです。トーリンの又従兄弟であるダイン卿は初登場キャラですが、ガンダルフいわく「トーリンに輪をかけた頑固者」なところは戦いぶりからも感じさせます。メットなしの頭突きで兜を被ったオークを倒すってどれだけ頭が固いんだ。え、頑固者ってそういう意味?(違います)でもダインは原作ではトーリン亡き後エレボールの王として人間やエルフと和解するそうなので、ひとかどの人物ではあるのですね。ダインたちが追い詰められピンチのとき、ようやく復活したトーリンたちが戦いに参加します。これが意味するところは「たった13人の援軍」ではなく「王が先頭に立って戦う」ということなので、士気が抜群に上がるわけです。人間側をデインの街に追いつめたつもりのオーク軍は結局戦力を分断してしまったということですね。なんでオーク軍は巨大ミミズ使わないの?とか言っちゃいけません。

 ※

まだ終わりません。長くなっちゃうので、次回へ続きます!

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