2014
12.21

偽りを終わらせる戦い。『ザ・レイド GOKUDO』感想。

the_raid2
The Raid 2: Berandal / 2013年 インドネシア / 監督:ギャレス・エバンス

あらすじ
バットも金槌も危険です。



上層部の命令で潜入捜査官となった警官のラマが、地元マフィアの対立や日本のヤクザとの抗争に巻き込まれていく。前作でアジアン・アクションの新たなムーブメントを作ったインドネシア映画の続編。R18+のディレクターズ・カット版で観ました。

前作の限定空間でのスリルとは異なり潜入捜査ものとなったことで若干話は複雑になったものの、三つ巴の組織争いや裏切りや陰謀、命懸けの野心というマフィア話が満載で、確かにこれはGOKUDOものを思わせる、しかもノワール寄りの作り。映像はドライでシュールですが、そこに乗っかる痛さ抜群、怒涛のアクションが凄まじい!激狭い空間や泥庭などの多彩なバトルフィールドや容赦ない残虐シーンで魅せ、バット男やハンマー女、前作のマッドドッグさんを凌ぐほどのシラット使いといった強者でハードルもガン上げ。そしてラスト30分の超シビアな死闘。え、本当に死人出てない?というくらいの激しさに力入りっぱなしです。

もっと男の友情に寄せて『新しき世界』のようにも出来たろうにしないんですよね。あと前作のマッドドッグさんが違う役で出演していて、これがせつなすぎる。ドラマ部分に欲張りすぎた感がなくはないですが、それでもアクションはやはり絶品で、特に厨房といういかにも小物を使って戦いそうな場所で、真正面からの戦いしかしないというのが非常に潔いです。凄すぎて小細工の必要がないんですね。

日本公開は残虐性の高いアクションシーンが削られたR15+版での公開になってしまい、ディレクターズ・カット版はほんの一握りの劇場でしか公開しませんでした。カットされたらしきシーンがどこかを聞くと大変勿体ないんですが、だから観ないというのも勿体ない、というジレンマが悩ましいです。

↓以下、ネタバレ含む。








冒頭のタイトル直前に射殺されるのはラマの兄貴でしたね。後で気付きました。これひょっとして時系列的には前作のすぐ後の話なのかな?というのも後から気付きました。前作復習しておけば良かったです。

白黒の背景に鮮烈に散る赤とか、超ロングのショットの端っこで起こる暴力とか、バトル前に無言で引っ込むキッチンスタッフとか、なかなかシュールな画作り。ちょっと『オンリー・ゴッド』を思い出しました。ストーリーはそこまで煩雑にしなくても良いかなとは思いましたね。それほどテンポ良くないのでちょっと中盤ダレるし。日本人キャストにも暴れてほしかったですが、それやるとさらに複雑になるからそこはバランス取ってですかね。主要3人は存在感はあったけど(見慣れてるからかな?)音質のせいかエンケンなんかは一部何言ってるかよく聞き取れなかったり、松田龍平の軽ーい感じはあの世界観にはちょっと微妙だったり、北村一輝の電話で困ってる演技の大仰さにはちょっと笑ったりと、若干残念な感じも無きにしもあらずですが。

野心に燃えるライバルと野心を抱く息子が中心になるわけですが、マッドドッグさん(役名違うけどどうしてもそう呼んでしまう)に「お前のなかにも炎がある、コントロールしろ」と言われたにも関わらず(カッコいい…)それが出来なかったウチョが、最後に自分が操られていたことを知って全てをブチ壊すんですね。ラマとウチョの友情をもっと深めてればあのラストはもっと劇的になったと思うんですが。他の人物もバックボーンはあまり語られないし、潜入捜査もののドラマとしてはわりとあっさりに感じます。ただ、物語の重要なきっかけとなる人は別で、戦争の火種となるマッドドッグさん(本当の役名はプラコソ)は別れた家族との話があったり、実は同じ潜入捜査官だったバングンの側近エカが警察から裏切者と見られているのもなかなかくるものがあります。彼の「全員倒すしかない」という言葉がラストに繋がるわけですね。そのまま実践するラマもスゴいけど。ラマの行動は全てが家族の元に帰りたいという思いから来ていてそれは一貫しているので、これはこれで正しい展開ではあるでしょう。「もうたくさんだ」で幕を下ろしてしまうのもそう考えると至極もっとも。

ただ、細かい感情や状況はアクションで語らせている、とも言えますかね。トイレの個室で戦うという閉塞感に満ちたラマの状況。2年という長い期間を耐えるしかないラマの刑務所内での怒濤の壁打ち。タクシー内という八方塞がりの空間での追い詰められた状況の表現。飯屋での大乱闘で相手の顔をベロベロになるまで焼くラマが自らの狂気に愕然とする様。しかもその相手が警官であるという実情。汚職警官を炙り出すための潜入捜査で自らの警官としてのアイデンティティさえ揺らぐラマには、もうエカの言う通り全てを終わらせるしかなかったんですね。

そんなラマに立ちはだかる最強の刺客たち。金属バットを引きずる音が怖いベースボール・バットマンと、栗山千明を思わせる電車内のジェノサイダーことハンマー・ガール。特にハンマー・ガールなんて釘抜き部分の新たな使い方を見せており、その『オールド・ボーイ』を超えるハンマー捌きには驚嘆です。それぞれに壮絶な強さを見せつけたこの二人を、あろうことか同時にぶつけてくるという鬼畜な展開が凄い。二人の障害や関係性が思わせ振りながらそこは一切語られないので、色々想像しながら観てしまいます。そして最後はラマが一度敗れたシラット使い、キラー・マスターとの一騎打ちという、ラストバトルとしてはこれ以上ない展開。独特な円形のナイフまで使った死闘はいつ果てるともなく続き、一瞬も気が抜けません。これはもう言葉で説明してもしょうがないです。というか説明出来ません。いやあ堪能しました。

ちなみにR15+版はどこがカットされたかと言うと(聞いた話ですが)ラストバトルのナイフ奪ったところで次には相手がもう死んでて、喉かっさばくシーンがないようです。あとバットマンの最後、顔にバットが食い込んでるところとかですかね。アクションシーケンスを削られるのはアクション映画としては不幸です。R15+でしか観れなかった方には、ソフトは出るようだからぜひR18+でも観てほしいところです。


ザ・レイド Blu-rayザ・レイド Blu-ray
(2014/10/24)
イコ・ウワイス、ヤヤン・ルヒアン 他

商品詳細を見る

スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/864-f6d82f54
トラックバック
back-to-top