2014
12.09

俺の右手が火花を散らす!『寄生獣』感想。

kiseijyu
2014年 日本 / 監督:山崎貴

あらすじ
ミギーと呼べ。



人に寄生し人間を食らう謎の寄生生物に右腕だけ乗っ取られた高校生の泉新一が、ミギーと名付けたその寄生生物と共に戦いに身を投じていく。岩明均の同名コミックの実写映画化。2部作の1作目です。

あまりに有名で熱狂的ファンも多いコミックの実写化、さらに監督が何かと物議を醸す山崎貴ということで、上映前からかなり色々言われていましたが、フタを開ければこれがかなりの良実写化。そりゃ原作まんまかと言われればそうじゃないですが、削るところ・繋げるところのチョイスとそのアレンジの仕方は上手くて、構成は実に滑らかです。グロ描写もキッチリ描くし、雰囲気は損ねてないと言えるのではないでしょうか。前半として2時間で上手いことまとまってます。

画的にも、食事シーンの固定の長回し、JKばかりの死体が転がる惨殺現場など印象的だし、母親への思いを絵に託すとか、変に回想シーンに逃げないとか、あと音楽の入れ方も好ましい。寄生された人の台詞が棒読みにならない程度の抑揚のなさなのも良いです。個人的にはラーメン屋や水族館、魚市場といった原作にはないロケーションの選定が面白かったですよ。VFXを駆使したアクションもなかなか見応えあって、特に超高速の剣戟シーン(と言っていいでしょう)は良いです。ミギーが一瞬切れて戻るというカットを入れてるのには唸らされました。アクションに関してはもっとあってもよかったけど、それは完結編に期待。

引っ掛かるのはミギー役の阿部サダヲがイメージと違うということだけど、これは同時期放送のアニメ版の平野綾が素晴らしかったというのもあるので、もうしょうがない。あと前半のシンイチはちょっとヘタレすぎな気がして、染谷将太ならもっと微妙な変化も出せると思うんだけど、そこは分かりやすさ優先ですかね。

どうしても原作との比較みたいになっちゃいますが、思った以上に出来が良いので、あまり原作との差異にこだわらずに観ればとても面白いです。

↓以下、ネタバレ含む。








しかしよくPG12で収まったな。死体と言うより肉塊だからか?(って酷いこと言ってる)元々はR-15で進んでいたというからこれでもかなり削ったんでしょう。切断されてそのまま断面が見えるとアウトだから編集で工夫したそうです。そこまでグロにこだわった努力は称賛したいですね。

深津絵里の不気味さはまずまずだと思うけど、知ってる役者の顔がパックリ割れるというのがイイんですよ。東出昌大なんかもそうで、彼はシンイチとの握手で予想外の力にひきつる顔とか、「貼り付いてます」感抜群の笑顔も良いですね。次作では北村一輝もパックリ行くのかと思うと楽しみでなー!あと突然現れる浅野忠信の「あんた誰?」感はちょっと笑います。ミギーは若干可愛すぎるというか、本来は不定形なのにわりと決まったひとつの形で映ることが多いのでそういう形の生き物に見えてきちゃうのはちょっと難点ですが、まあこれはしょうがないかなあとも思うんですよ。ずっとふにゃふにゃしてたらVFXも金かかりそうだし。ジャキン!って刃物化した腕で構えるミギーなんかはなかなかイカしてます。染谷くんがずっと片手あげた一人芝居してるのかと思うとちょっと面白いしね。

演出的にはミギーが橋本愛の胸を触っちゃうシーンは良いですね。性差を手っとり早く知ろうとするパラサイトの好奇心が伺えるし、さらに「橋本愛のおっぱいをォォォッ!?」という興奮も味わえるというね。寄生生物の勢力がどのくらい拡大してるかはニュース映像の頻出、教師や政治家の出現くらいでしか分からないんだけど、最後に特別部隊の人の多さで表すというのもなるほどという感じ。

最高だったのは暴走するAへのトドメのシーン、シンイチと屋上へ向かう途中で鉄の棒を切り取り、それを矢に見立てて弓に変形するミギーです。原作では石を投げるところを、画的にダイナミックにしている、と同時に、この時会話は全く交わしていないにも関わらずシンイチの考えが分かるかのように動くミギー、という二人が一心同体なことも表してるんですね。シンイチとミギーは別にテレパシーで通じ合っているとかではないので、あまりに阿吽な呼吸にしてしまうのは改編としてはバランスを崩しかねないと思うんですが、染谷くんのクールな目付きと相まって大変カッコいいシーンなのでナイスです。

というわけで、意外と貶すところが見つからない、結構しっかり作ってきた実写版という印象。真価が問われるのは次の完結編を観てからではありますが、エンドロール後の予告もなかなか面白そうだし、期待しちゃいますよ?

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