2014
12.02

覚醒は痛みと共に。『西遊記 はじまりのはじまり』感想。

saiyuuki_hajimari
西遊 降魔篇 / 2013年 中国 / 監督:チャウ・シンチー

あらすじ
オッス!オラ(以下自粛)



チャウ・シンチーによる『ミラクル7号』以来久々の監督作はご存知「西遊記」。若き妖怪ハンター・玄奘が美女妖怪ハンターと共に悪どい妖怪から人々を守るため戦います。残念ながらシンチーは出演はしてませんが、長年のシンチー映画ファンとしては期待を裏切らない出来。すんげー面白かった!シンチー映画で一番笑ったかもしれないです。

シンチーらしい重ねと大げさが生み出す笑いがもうしつこいやら楽しいやら。CGを駆使しまくった妖怪たちとの戦いも伝奇アクションものとして十分な見応え。さらにプロセスはかなり違うのに、終わってみればちゃんと「西遊記」になってるんですよね。そして確かに「はじまりの物語」なのです。

マッパの水妖に、テッカテカの豚に、旗4本も立てて調子こいた猿。功夫も、顔面力が半端ないエキストラも、笑いの中に突如ブッ込まれるシリアスもちゃんとある。そして『少林サッカー』で見せた、悟りが開かれる瞬間の感動が再び。本人は出てないけど間違いなくチャウ・シンチー映画。

『ドラゴン・コップス』のときはいまいちだなーと思ってたウェン・ジャンですが、仏門ながら妖怪ハンターという謎設定と相まってなかなかイイ。そして何より男前なのに可愛らしいスー・チーがたまらん。腹筋がセクシーな仲間のお姉ちゃんや個性ありすぎな妖怪ハンターズなどキャラも抜群です。

↓以下、ネタバレ含む。


スー・チーの段ちゃんイイですねー!狙った男は寸劇仕込みで実力行使、という策士っぽいのに欲望溢れちゃってる肉食系なのが逆にキュート。かと思えば幻想的なダンスシーンを披露したりと魅力的すぎか!悟空からのダンス指導シーンはアドリブっぽくて可愛いです。変幻自在なチート宝具のリングも面白いし、ゲンコツで殴ると顔が凹みさらに殴ると粉砕するというのもどこかゲーム的で気持ちいいです。あと妖怪たちをちっちゃい袋にキュッと閉じ込めて持ち歩くというのがカプセル怪獣というかポケモンというか携帯性を重視してて現代的ですね。と言えなくもないですね。チーム段ちゃんの面々も良いです。特に血糊が止まらないバカ。そして腹筋女子!彼らは続編でも出てほしいところだけど、チーム解散しちゃったんですかね…

空虚王子のしつこい虚弱ネタとかおばちゃんとの掛け合いとか爆笑でしたよ。なんであのおばちゃん雇っちゃったの。おかんなの?他のキャラも濃すぎてたまりません。最初はヅラ師匠が猪八戒かと思ったよね。猪剛列はイケメンなのにテッカテカ(あれはラードか?)、変身したら乙事主というモンスターぶりが熱いです。熱いといえば孫悟空、落武者みたいなおっさんかと思ってたらやたらカブいたエテ公に。あのコスずるい感じが孫悟空って感じで良いです。そして『ドラゴンボール』を意識したのかは分かりませんがあの巨大猿に。あーでもハリウッド版『ドラゴンボール』はチャウ・シンチー製作に関わってたっけ。如来の掌底アタックはその巨大さを手のシワの隙間というところで表現。あれじゃあ近くにいた玄奘も潰れたのでは、というのが気になりますがきっと仏バリアで無事なのでしょう。

シンチー作品は純粋な笑いだけではなく痛みを伴うものが多いです。今作も冒頭の娘と仲睦まじく遊ぶ父親(体張って脅かしすぎ)が犠牲者となり、幼い娘は助かったかと思いきや妖怪の餌食に。死にそうもない段ちゃんは玄奘を庇い呆気なく命を落とします。豚は旅で寄ったカップル(イケメンと面食い、らしい)を始め多くの人を殺しその肉を食わせる。猿は閉じ込められた反省はなく騙して脱出、歯向かうものは容赦なく消す。妖怪たちは決してヒーローではなく、人としての醜さから容貌まで変わった罪の権化です。

坊主になるきっかけが毛髪引きちぎりという史上最凶の剃髪シーン。玄奘の毛髪量がやたら多かったのもこのためでしょう。わらべ歌が大日如来経になるという悟りのシーンは、なぜわらべ歌?と引っ張りまくってそのうちどうでもよくなった疑問を一気に思い出させた上に、その作り手が誰か、その人が辿る運命、それにより導かれる玄奘、という流れが一気に来て震えました。そしてそれだけの力を手にしても、死んだ者は決して甦らない。このシビアさは良いところだと思います。だからこそ段ちゃんのリングが悟空の頭の輪っかになって生き続けるというのが感動的。

そしてラストのGメン75のテーマがやたらカッコいい。横並びで歩く絵面にこれほどマッチする曲もなく、マッチしすぎて笑うしかないです。なに普通の顔して歩いてんだあの妖怪トリオは。もう最高。

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