2014
11.16

疑惑と狂気の破壊行動。『サボタージュ』感想。

Sabotage
Sabotage / 2014年 アメリカ / 監督:デヴィッド・エアー

あらすじ
そして誰がいなくなるのか。



DEA(麻薬取締局)特殊部隊の横領した金が消失し、メンバーが何者かによって殺されていく、というアーノルド・シュワルツェネッガー主演、『エンド・オブ・ウォッチ』デヴィッド・エアー監督のアクション&サスペンス。これは色々な意味で異色作です。

FPS的視点もある特殊部隊の突入の緊張感、麻薬組織の恐ろしさ、DEAメンバー皆の胡散臭さ、容赦ない残酷描写。どう見ても『エンド・オブ・ウォッチ』の系譜なのに、描かれるのは連続殺人事件の謎というギャップ、しかもそんな話の主役がシュワというミスマッチ。シュワが次々と敵を屠っていく展開を期待すると相当な肩透かしを食らいます。でもそれが却って新鮮。ミステリーとして観ると少々キレが悪いけど、冒頭の制圧シーンの迫力、嫌な死に方オンパレード、全員怪しいというキャラ作りまで色々たまらん要素をブチ込み、強引な展開も力ずくで魅せてしまうデヴィッド・エアーの演出が冴えます。ただ、クリスティの『そして誰もいなくなった』を元にしていると言ってるわりには原型をとどめてないのと、話の展開がちょっと変と言うか歪んでいるのが難点。

メンバーの呼び名がシュガー、モンスター、グラインダー、パイロ、トライポッドなど中二心満載なのはイイ。サム・ワーシントンは坊主に変なヒゲのため途中まで気付きませんでしたよ。『パシフィック・リム』ハーク役のマックス・マーティーニや『アイアンマン』ローズ中佐役のテレンス・ハワードも出てきます。でもそんな粗野で濃い野郎どもよりリズィ役ミレイユ・イーノスが狂気過ぎるビッチぶりでインパクト大です。また女刑事オリヴィア・ウィリアムズもイイ。

シュワが主演の必要あるの?って思いながら観てたけど、ラストで納得。思えば復帰後のシュワはチームでの活躍という役が多く、それは肉体の衰えから演技派に転向するよりも自身のキャラクターを活かしながらアクション映画を続けるという点でマッチしてて良いです。あくまで筋肉を重視するスライとはまた違った進化ですね。

↓以下、ネタバレ含む。








真犯人が仲間を殺していく理由もいまいち納得しづらいし、金を取ったのが自分であるとあそこでバラす必要も特にないし、色々とちぐはぐではあります。女刑事にとっては確かに「誰もいなくなった」だけどミステリーとしては不味い。家族を失い「大事なのは仲間だ」と言うジョンの言葉が結局は嘘だったの?ってのもあるし、いっそ仲間を引き連れて麻薬カルテルを一掃した方が確実な敵討ちができるだろうに、とか思うんですが。まあそれをしなかったのは巻き込みたくなかったからかもしれませんが、そのあたりのまとまりが希薄です。スタジオの意向でカットされたりラストが差し替えられたりしたそうなので、その結果の歪さがあるんでしょうね。

でも強引に突き進んでいくので観れちゃうんですよ。マフィアと変わらないような粗雑なチームが主役であるのも異色だし、酒飲むときはポールダンスのお姉ちゃん必須というのも異色。あとなるべくしてそうなるゴア描写は秀逸です。電車に車ごと轢かれたパイロのバラバラ具合、せっかく背中に彫ったチン○タトゥーが台無しだなあとか、麻薬カルテルの仕業に見せるための天上貼り付けや釘がガンガン打たれた死体のエグさとか、車で追突したシュガーの首はどのあたりにあるのかという薄ら寒い想像とか。そんな猟奇的シーンがプロフェッショナルな銃撃シーンと同時に存在しうるというのも何だか異色です。一番キツいのが「妻の顔を送ってきた」というセリフだけのところじゃないですかね。「首」じゃなくて「顔」と言うのが恐ろしい。子供に至っては話にすら出さないというのも。

異色と言えばシュワです。正直、特殊部隊の長としてはどこかくたびれた感じだし、妻が殺される映像を何度も見てる時点でちょっとヤバいんですけど、その代わりどこか深い悲しみをたたえた目が印象的です。纏う雰囲気が役に合っているというか。情報を得るため女を騙すというのも今までの役にはなかった点ですね。スライと違いすっかり年取った感のあるシュワだけど、それも込みで成立してるあたり『ラストスタンド』に続き作品選びが上手いです。

ラストではそれまでの犯人捜し話を払拭するかのごとくヒロイックに敵を壊滅させるシュワ。しかし決して不死身ではなく無謀さ故の結末を辿る、というのがまた異色。いまいち締まりに欠ける感はありますが、嫌いじゃないです。


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