2014
11.13

家族で仲良く暮らしましょう。『美女と野獣』感想。

La_belle_et_la_bete
La belle et la bete / 2014年 フランス・ドイツ / 監督:クリストフ・ガンズ

あらすじ
大きいおともだち、頑張る。



ディズニーアニメでおなじみ『美女と野獣』を、1740年に書かれた原作を元に実写化。バラを盗んだ父の代わりに恐ろしい野獣の住む城に囚われた女性ベルを描く。ディズニーではなくあくまで原作のビルヌーヴ夫人版を元にしてるそうで、監督曰く「フランス文化を取り戻すつもりで」作ったというところには気概が感じられます。

蔦とバラが絡まる渡り廊下や水面のような鏡などの緻密で絢爛な美術、高所からの遠景など絵本の世界を独創的に再現した映像はとても美しいです。ただですね、話は特に捻りもないため良くも悪くも意外性に欠けるんですよ。繁栄に甘えた放蕩息子やバカ娘の末路とか、野心や名誉を求めるあまり大事な者を失う苦しみとか、山の神のパワー半端ねえとか、おとぎ話に含ませてるものはあるんだけど。野獣のデザインはイカしてますが、その戦闘力の高さがいまいち発揮されないのは寂しいです。一番インパクトあるのは野獣のおともだちである進撃の巨人です。友人の肩に乗った野獣が巨大ロボットアニメのようで昂ります。

ベル役のレア・セドゥは家族思いで真っ直ぐな雰囲気が合ってるし、ドレスも艶やかで美しい。おっぱいも素晴らしいです。おっぱいも素晴らしいです。大事なことなので2回言いました。野獣役のヴァンサン・カッセルは意外と顔出しありなので安心ですよ。あとビーグル犬がいっぱい出てくるのが可愛いです。そう言えばビーグルって猟犬だったっけね。

クリストフ・ガンズだからと『ジェヴォーダンの獣』的な野獣を求めるとちょっと「アレ?」ってなりますが、大きいおともだちと大きいおっぱいは見所です。

↓以下、ネタバレ含む。








どうしてもディズニー版の『美女と野獣』と比較されるのはしょうがないでしょうが、細部は結構違うし、描くものも少し異なります。ベルと野獣の心の交流がメインのディズニー版に対し、ガンズ版は恋愛要素薄め。というか、これはないに等しいです。ベルがいきなり「愛してる」とか言い出すので「どこに惚れる要素あった?」と呆気にとられるんですよ。惹かれ合う過程とか心の交流とかに重きを置いてないんですね。

この話で特徴的なのは、まずベルに兄弟がいるということです。兄が3人、姉が2人の子沢山家庭。しかし姉たちは着飾ったりいい男を見つけることに夢中でイイ子ちゃんのベルには冷たいし、長兄はギャンブルで借金まみれのクズだし、他二人も役者と小説家(だったっけ?)を目指すという夢見がちな設定。父親はベルを溺愛してるものの他の兄弟たちも甘やかしっぱなし。一方の野獣は、かつて婚約者を誤って死なせてしまい、しかも彼女が実は山の精で、怒った山の神により野獣に姿に変えられた、という経緯があります。家族になる女性を死なせた罰に言い知れぬ孤独を突き付けられる。要するにベルも野獣も家族との繋がりに恵まれなかったわけです。

そんな二人が悪党に対峙しつつ結果的に結ばれ、ラストにはこのお話が王子と結婚したベルが子供たちに話して聞かせる寝物語だったことが分かります。そこでは愛してくれた父親はいるけど、兄弟たちは姿を見せません。こうして見ると「家族の大切さを訴える話だったのか」と思えて、まあそれはそれでいいのです。が、そこには自分勝手な行動ばかりする者の愚かさ、他人の富を奪おうとする者の末路、占いに頼ったところで道は開けないという戒め、悪いことをする友人を止めなければこき使われるかわいそうな巨人と化すという悲劇、そんな説教臭さも随分と強く感じられます。贅沢は罪であるとか、バラとは言え盗みを働くと罰せられる、といったようなことも読み取れるし、そもそも野獣という存在が見た目が違う者や醜い者に対する差別の象徴でもあるでしょう。

つまりおとぎ話の物語性だけではなく、それが本来持つ教訓や道徳などを語ってるんですよ。だから恋愛要素は特に必要ないし、良くも悪くも意外性に欠けるのです。巨人は銃で撃ったら怯んじゃうからゴロツキたちも意外とビビらずむしろ巨人の方が気の毒になるし、野獣の過去も水鏡で手っ取り早く見せちゃう。もはやこの話が事実だったかどうかさえ怪しい。これはおとぎ話が包含する教訓を保ったままでの大人向けのアレンジとしては正しいのかもしれませんね。それが面白いかどうかは別にして。

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