2014
11.09

分身!合体!コウモリ・マジック!『ドラキュラZERO』感想。

dracula_untold
Dracula Untold / 2014年 アメリカ / 監督:ゲイリー・ショア

あらすじ
夜の帝王誕生!(間違ってはいない)



15世紀のトランシルヴァニア、ワラキア公君主ヴラドがオスマン帝国から国を守るため邪悪なる力を得る、というヴァンパイア・アクション。このヴラドという人物が後の吸血鬼ドラキュラとなる過程を描いています。その数奇にして悲痛な人生を描くドラマに、ヴァンパイア特有のアクションを加えて見応えのあるものに、ってことなんだろうけど……うーん。

時々ハッとするような絵になるカットが結構あってですね。荒野の地平に立つヴラドのロングショットとか、串刺しの死体が林立する壮絶な景観とか。ヴラドが覚醒した直後に聴覚や視覚などの感覚が鋭くなっているのを分からせるシーンとか。また馴染みある吸血鬼の力を遥かに超えたとんでもないパワーを持つっていうのもシビれます。しかもそのパワーを持ってしても……みたいな展開があるのもイイ。主演のルーク・エヴァンスが英雄的で家族思いでカッコいいです。どうしても『ホビット』のバルドに見えるのはしょうがない。ドミニク・クーパーも権力ある悪党って感じで良いです。

ただですね。お話的には予告から想起される展開そのまんまなので、何の驚きもなく意外性に欠けるんですよね。ここから滾ってきそうだな!というところで勢いが衰えて萎えちゃったり。最も致命的だと思ったのはアクションシーンで、激しすぎる手ブレ映像と細かすぎなカット割りで何をやってるのかよく分からないんですよ。それでも敵大群に敢然と立ち向かう闇の帝王みたいなノリは悪くないし、何よりもあれですよ、コウモリ分身・合体。新しいコウモリアクションが超カッコいい!ゲームで△ボタン押したら出る必殺技みたいですが、その感覚も込みであれは面白いです。

演出やカメラワークに不満はあるけど、キャラクターやその能力は良いし実にヒーロー的なので、今後展開されると言われているユニバーサルのモンスター・ユニバースの一環としては悪くはないと思います。

↓以下、ネタバレ含む。








コウモリ分身とか凄いイカすんですけど、団体戦では発動してることさえ気付きにくいんですよね。終盤の大決戦の時は元々暗い色調なうえに複数人がコウモリ化するから余計分からない。それでいつの間にか敵に剣が刺さってる、では滾る暇がないんです。もっと上手く撮れなかったものか。

話的には民衆が自分たちを守ってくれた領主に対して手のひら返しで焼き殺そうとするのが唐突。修道士なんて経緯もヴラドの人格も知っていながらいきなり殺そうとするってのはどうなんでしょう。もう少し不安や疑心を高めてからでないと不自然。ヴラドは岩を砕くくらいスゴいパワーのはずなのに、いくら銀で弱ってるからってメフメト2世に剣で負けるのも釈然としないです。銀自体は吸血鬼の恐れるものだからいいんだけど、服や靴ごしでもダメなの?また他の面子は日光ですぐ消えるのにヴラドだけは消滅しないというのはオリジナルだからなんですかね?あとあの夫婦イチャイチャしすぎ(まあいいんですけど)。

とは言え思い切って強大な力を持たせたのは良いと思うんですよ。天候まで操りますからね。『X-MEN』のストームなみです。さらに一番滾るのが死にかけた仲間に血を飲ませ吸血鬼軍団を作っていくところですよ。ブラドにとっては苦渋の選択ですが、まるでディオ様が下僕を増やすかのようでたまりません。三日我慢すれば化け物化しないという設定はイイですね。それがいかにして破られるのかという期待に対し、愛する者の死に際の許しによって破られる、というのは皮肉。全てを失い、復讐のみで戦い、最後は毛髪が焼けてノスフェラトゥみたいになる、というのはなかなか唸らされます。最初から怪人として認知されているドラキュラのボックボーンを描いたという意味で『Dracula Untold』という原題はイイですね。

今後の活躍を考えるとやたらヒーローっぽいのはまあしょうがないかな。ラストであの吸血鬼が生きてるのには「あれ?引き継いで死ぬんじゃなかったの?」という疑問が残るんですが。違ったっけ?ヴラドが力を得る際の試練として最もキツかったのは、血を飲んで化け物になるかどうかよりあんなおっさんの血をたっぷりなみなみと飲まなきゃいけなかったことだと思うので(深読み)、あの吸血鬼に再会したらそんな苦い過去を思い出して苦悩するのでしょうね(深読み)。


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