2014
11.08

向こうの私になれたなら。『少女は異世界で戦った』感想。

DANGER_DOLLS
DANGER DOLLS / 2014年 日本 / 監督:金子修介

あらすじ
ワームホール開きまーす。



花井瑠美、武田梨奈、清野菜名、加弥乃という4人の少女が、異世界からやってくるインベーダーを倒すため刀を振り回して敵を倒すSFアクション。と言うとお気軽な話っぽいんですが、これが結構シリアス。

原発や銃器、宗教からアイドルまで扱いの危ういテーマを躊躇なくブチ込み、異世界というフィルターを通してこの世界の危うさを描くという問題作。これは大作では出来ない低予算作品ならではのチャレンジですね。チープさは隠しようがないけど切り捨てるには惜しい。意外と爽快感より悲壮感の方が強いです。

アクションはとても頑張ってます。しょっぱなからキメ画続出。銃が撤廃された世界だから刀で戦うという設定で無理なくチャンバラアクションを魅せられるというのは上手いですね。一応4人の戦いのスタイルにも個性があるようだし、剣戟はもちろん人間逆上がりなどのアクロバティックなものから踵落としや4の字固めといった格闘ファンが喜びそうなものまでやってくれてます。ただ予算のせいかレートのせいかは分かりませんが、斬りまくってるわりに血が全く出ないのは残念。4人は新人アイドルのふりをするんだけど、そのときは岡田浩暉演じる隊長がジャーマネに見えるのがちょっと面白いのと「殺し屋がアイドルさー」っていう歌がイイ(曲名は「ウィークエンドは殺しのアイドル」)。ちなみに加弥乃は元AKB48の初期メンバーだそうです。

正直ツッコむ点は山ほどあるし台詞がいちいちダサいんだけど、少女たちが戦わなければならないという背景、別世界での自分たちとの大きすぎる差異みたいなのが積み重なって、ラスト迫り来る敵の大軍に一人向き合う背中に不覚にも泣きそうになりましたよ。ついでに若干のお色気と百合風味まで。さすが金子修介監督。

↓以下、ネタバレ含む。








そりゃ観てる間は何度「え?」って思ったか分かりませんよ。「今やアイドルはそこらじゅうにいるからアイドルの格好は目立たない」と言いながら案の定思い切り目立ってるし。3人がワイワイ言いながら歩いていくときに木の下に転がってる死体はガン無視だし。一介の雑誌記者が写真から該当する人物をシステムで探すというCIAみたいなことをやったり戦いの場にいきなりやってきてカメラを投げつけるという意味不明な加勢をした挙げ句呆気なく死ぬとか。スゴく不敵で強そうな副ボス的女性があっさりやられるとか。電撃みたいなのを使うボスの金子昇が銀河皇帝みたいだなとか。本来の世界の人間が青く光って見えるならあの4人とジャーマネも青く見えるんじゃないの?とか。まあこれは放射能汚染前だったからかもしれませんが。あと入浴シーンはもう少しサービスがあっても……いや何でもないです。

原発や原爆のない世界にそれらを売りつけることで富を得ようとする、テロ組織化した新興宗教団体。金に目が眩んでそれに乗ろうとする電力会社や政治家。そういった輩をインベーダーと呼称して倒す、というのからして社会的テーマを感じさせるわけですが、主人公の4人を少女にすることで青春映画的な側面が出てきます。別世界では人気アイドルとして仕事に恋に楽しくやっているのに、こちらの世界の自分たちは戦いばかりで体中アザだらけ。「なぜ彼女たちが戦わなければいけないのか」という疑問が、女の子が命懸けで戦うという設定によって容易に立ち上がってくるのです。そしてそれが異常な世界であるということも。

しかも結局は原発や銃をなくしても世界は平和にはなっていない、という事実がなおさら彼女たちを苦しめます。彼女らを守るために自ら刀を取るジャーマネのような大人はごく一部で、他の大人たちは保身や欺瞞ばかり。じゃあどうすればいいのか。その答えの一つが笑顔で人々を明るくすることで、これがアイドルというものの本質であると言っているのです。一方で武力に対しては武力で対抗するしかなく、それを出来る自分たちがそれを担うのだ、というのも答えの一つ。だからこれは自己犠牲の話ではなく、絶望の中の希望になろうとする意志の話、だと思うんですよね。群がる敵に絶望しつつもアリサをワームホールに送り出して背を向けるレイは希望の象徴です。そこがブレてないので、ラストに4人が刀を合わせて天に掲げるシーンでは「え、なんで?」とは思いつつも熱いものがこみ上げるのです。

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