2014
11.02

神話から現実へ。そして伝説へ。『ヘラクレス』感想。

Hercules
Hercules / 2014年 アメリカ / 監督:ブレット・ラトナー

あらすじ
筋肉讃歌は勇気の讃歌ッ!



全能の神ゼウスと人間の間に生まれ数々の伝説を持つギリシャ神話の英雄ヘラクレスを、ザ・ロック様ことドウェイン・ジョンソンが演じるアドベンチャー・アクション。ところがこれが単なる神話の映像化ではないのでした。

どうせブレット・ラトナー作品でしょ?って思うじゃないですか。確かに映像も美術も良いのにどこか軽いし、恐らく予告を観て多くの人が期待しているものとは違うでしょう。でもファンタジー性を排除して歴史バトルものにするというのは安易な神話の実写化に比べて良い方向性だと思うし、これによりチームバトルや陣形戦術など予想もしなかった見どころが出てくるのが思いのほか良いのです。重厚さには欠けるものの、死屍累々の戦場シーンが多いわりに残虐性はほとんどなく「ご家族揃ってどうぞ」と言える点は、ブレット・ラトナー起用がうまくマッチしてるのかもしれません。

もうね、何と言ってもドウェイン・ジョンソン、ロック様ですよ!ヘラクレスなんて何度も映画化されてますが、パワフルなのにあくまでジェントルなロック様のカッコよさは使いまわし感を感じさせません。ハッタリを伝説に変えるロック様の勇姿にはひざまずくしかないのです。そして最後にものを言うのはやはり筋肉!出来がどうこう以前に、これは正しく筋肉映画なのです。ライオンフード被って勇気百倍!マッスルでハッスル!ヘラクレス母やトルキア王女がかなりの巨乳なのもポイント。つまり男は筋肉!女は巨乳!という分かりやすいセールスポイントもあり。CGではなくエキストラを使った合戦シーンも迫力です。

文句もあるけど、チーム・ヘラクレスの面々も個性的だし、何より「マッスルでハッスル」を連呼できる映画だったのでとりあえずオッケーです。

↓以下、ネタバレ含む。








ファンタジー性の排除はわりと序盤で行われます。獅子やヒドラ、大猪、ケルベロス退治といった「12の偉業」は語り部による回想としてしか出て来ず、ほどなくヘラクレスとそのチームによって盗賊を平定するところでそういうことかと分かります。「ゼウスの子」という神話を逆手にとり、要はハクを付けて傭兵稼業を営むヘラクレス一味。ハッタリではあるんだけど、実際強いヘラクレスとサポートするメンバーの組合せにより、それが上手く作用する傭兵部隊なわけです。種明かしのキレが良くないので実情が途中で分かっちゃうのはもう少し何とかならんかとは思いますが、これにより単独の強さだけでなくチームとしての戦いという広がりを持たせているのは良いですね。しかも弱い軍隊の兵を手練れのヘラクレスたちが錬成していくという展開が熱い。一ヶ所破られたら終わりというショボい陣形が、錬成後は強固な「盾の壁」でガンガンはね返して敵を制圧いくのが圧巻です。

チーム・ヘラクレスのメンバーも弓使いや双短斧使い、野生児に預言者に口達者と揃っていて立派なパーティです。特に預言者は胡散臭いうえにサイドから剣が飛び出す馬車というその手のギミック大好きな者としてはたまらん手を使ってて良いです。しかも「俺まだ死んでないぞ?」でエンドロールっていうの最高ですよ。トルキアの将軍が鞭使いでドSのクズ野郎だとか、ジョン・ハート演じる国王がこれまた突然クズに豹変するとか(でも金はちゃんと払う)、味方かと思っていた人たちによる陰謀だったという展開まで来ますからね。これは燃えます。この王様、最強のチームによる錬成だから錬度は高いし、傭兵だから金さえ払えば後腐れがないという考え方がかなり合理的で、かなりのキレ者ですよ。権力のためには娘さえ殺すという容赦のなさもスゴいし。そもそも他国の内情の話だからヘラクレスが口を出すことではないのですが、それでもヘラクレスは国を救おうと考えます。彼が元は救国の英雄であるというのと、そこに家族の仇であるアテネ王が絡んでいるというのも効いてくるので、ちょっと行動がヒーローっぽすぎるわりにはそこまで違和感を感じず観れるんですね。

ちょっと粗いところはやはり気になるんですけど。軍隊に陣形組ませて戦をするのはスゴいけど、チーム・ヘラクレスだけは前線で個々で撃破するっていくら一騎当千でもちょっと無茶だし、国王の不正を暴くのに真正面から乗り込んでいってあっけなく捕まるのはマヌケだし。あの大量の剣や鎧はどこから調達したのか?ケンタウロスを偵察にいくと言ってた斥候はどうしたのか?など色々あります。あとこれは微妙なところですが、最後に預言者が生きてるんならあの野生児も死なせなくても良かったのでは、と思うんですけどね。完全にお涙頂戴狙いだし(最後のパワー爆発の理由にはなってますが)。

でもそういったマイナス点もロック様のおかげで何とか飲み込めます。アテナ王が「野心がないのが問題だ」と言うくらい「夫であり父であればよい」というロック様には観る者も心酔せざるを得ないし、鎖を引きちぎる筋肉、千人が5年かけたヘラ像さえ倒す筋肉、と決め手は己の強靭な肉体だというのがやはりイイ。最後に壇上に立つロック様にはここに至ってまさに神の息子となったという神々しさがあるし、実際には神の子でなくとも伝説の英雄が現実のヒーローとして降臨したことは間違いがないわけです。だから神話から現実に引きずり降ろされたわけではないんですね。

エンドタイトルで冒頭流した「12の偉業」が実は仲間の協力によるものだったというタネ明かしになっているのもシャレています。ここで大事なのはチームであろうが何だろうが「本当に12の偉業をクリアしていた」ということなんですよ。単なるホラではない、だから神話から現実のヒーローへと生まれ変わったヘラクレスは再び英雄として語り継がれていくのだ、と考えるとまた味わい深いです。
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