2014
10.26

俺たちには、歌があった。『ジャージー・ボーイズ』感想。

jersey_boys
Jersey Boys / 2014年 アメリカ / 監督:クリント・イーストウッド

あらすじ
バンドやろうぜ!



60年代に活躍したポップスバンド、フォー・シーズンズの結成、成功、分裂からその後までを描いたトニー賞受賞のミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の舞台を、クリント・イーストウッドが映画化。ミュージカルと言っても歌いながら喋ったりはしないです。

一つの歴史を描いたものというのは面白いものです。始まりがあり、様々な経緯があり、終わりがある。ミュージシャンの場合はデビューまでの道のり、成功や挫折、解散や引退となるでしょうが、彼らの作った音楽がその後も聴き継がれるというところに歴史の偉業的なものを感じます。でも本人たちはその場の勢いや快楽や打算や不安などに満ちていたり、得たものもあれば失ったものもあったりするわけで、スターと言えどそれは変わらない、だからこそ面白いと言えます。

フォー・シーズンズは僕も名前以外は良く知らず、曲自体は耳にしたことがあるという程度なんですが、それだけでも十分物語に入り込めます。聴き継がれる音楽の歴史がいかに作られたのかという興味もさることながら、レコーディングやスタジオ収録、ライブステージなどのシーンも豊富で、ノリノリの楽曲に高揚します。ステップは真似たくなるし、ズザーッて滑りたくなります。そんな華やかなステージの裏での様々な問題にやきもき。音楽業界にはありがちですが裏にマフィアが絡んでるとか、女遊びが激しいとか、売れたからこそのメンバー内の亀裂とかですね。でも同じ土地出身の友人同士だからこそ切れない絆もあったりする。その辺りのバランスが秀逸で、細かいエピソードを積み重ねて機微を生み出し、後々の展開にも影響を与えていくのがとてもイイです。

観てる者に話しかけてきたり急に時間が飛んだりするのが舞台っぽいですが、それさえも映画的快楽として昇華させています。イーストウッド作品は重いテーマを淡々と描く中にエモーショナルな挿入があるという個人的イメージなんですが、これは音楽業界というのもあって華やかだし、様々な人生が交錯して酸いも甘いも見せた後でのエンドクレジットのシーンは多幸感が凄い。画面端でクリストファー・ウォーケンまで踊ってるのがチャーミングです。

↓以下、ネタバレ含む。








「君の瞳に恋してる」はボーイズ・タウン・ギャング版が馴染みが深いけどフランキー・ヴァリ版の静かに始まり一気に弾けるのイイなあ。フランキーの歌声は最初ちょっとキンキンしてるように感じるけど徐々に洗練されていく気がして良いです。トミー以外のメンバーはオリジナル舞台のキャストなのもあって安定感があります。

世界を変える歌声と言われたフランキーは、娘を失い家庭を犠牲にして、それでも音楽活動を続けます。そんなフランキーは名声を得てなお問題児トミーを見捨てようとしません。ボブは才人であり、何事もビジネスライクに行こうとする最もプロ意識が高い男ですが、そんなボブもフランキーとは握手での契約に応じます。自身の存在価値を問うニックもフランキーには一目置いている。軽い扱いだったフランキーが重しとなっていくという視点があることで、物語がブレないというのがイイです。あとジョー・ペシには驚きましたがマジかあれ。演じる人がまんまジョー・ペシっぽくて爆笑。

細かいエピソードの積み重ねが良いです。ボブが最初に契約に関する話をしてビリーが面食らうとか、ジップこウォーケンが紙幣を半分切って何かあったときのチケットにするとか、ヴァリーじゃなくヴァリにしたのが奥さんのアイデアとか、後に繋がる話が色々と蓄積されていく。そんな中にスピーカー盗むときのドタバタとか、ボブが大人になるといったようなちょっと笑えるエピソードも挟む。この構成が人生の様々な思い出や経験として深みを与えていて実に良いです。だからラストの再会でステージに立つ4人を見ると、これらの思い出が観てる者にも蘇ってくるんですよ。トミーとニックが何十年ぶりかに会ったときに昔の愛称で呼び合うところとかグッと来るし、歌声を合わせる4人に初顔合わせで徐々にセッションが始まった鳥肌の立つあのシーンを思い出したりします。

そうしておいて全てのキャストが歌い踊るエンドロールが来るもんだから、もうゴージャスで楽しくて、笑いながら泣いてしまいそうな多幸感が湧き上がってくるのです。


ジャージー・ボーイズ オリジナル・サウンドトラックジャージー・ボーイズ オリジナル・サウンドトラック
(2014/09/10)
サントラ、ジョン・ロイド・ヤング 他

商品詳細を見る
スポンサーサイト
トラックバックURL
http://cinemaisland.blog77.fc2.com/tb.php/842-b31335db
トラックバック
back-to-top