2014
10.23

一緒に居るだけで。『レッド・ファミリー』感想。

Red_Family
Red Family / 2013年 韓国 / 監督:イ・ジュヒョン

あらすじ
お隣さんでも意外とバレません。



北の工作員4人が南で家族を装い活動するなかで、隣家のバカ家族と交流を深めるうちに訪れる変化を描く。『嘆きのピエタ』のキム・ギドクが製作と脚本を手がけた韓国ドラマ。

コメディタッチで始まるんだけど、そこはキム・ギドク脚本、笑っていられるのは最初だけ。そもそも思い切り南北問題を扱う設定なので、軽さとシリアスさのバランスに若干戸惑います。とは言え編集のせいかテンポは良く、そこまで煩雑でもないし残虐シーンもないので観やすいと言えそうです。

不満はありつつ祖国を信じるスパイたちの悲しみ、そこには国家としての歪んだ構造という根本的な問題を浮き彫りにするシビアさがあります(あくまでフィクションでの話)。隣家の、特に母親があまりにクズで引くんだけど、そんな関係性さえも憧憬となるという現実。和やかに始まった両家の食卓で繰り広げる紙一重の南北談義。非情な工作員が最後に見せる一欠片の温情。韓国映画にしか作れないテーマです。

娘のミンジちゃんが超カワイイです。しかも強い。あとおじいちゃんが非常にいい顔してますね。ただアクションに関しては、やるならもう少し魅せてくれても良かった。スパイ側の旦那が加瀬亮に、隣家側の旦那が佐々木蔵之介にちょっと見えます。ところで韓国では家族間で謝るときに膝をつくもんなんだろうか?

ちょっと気になる点もありますがまあいいでしょう。ハッピーエンドが望めそうもない展開ながら、それでも最後の会話シーンにはボロ泣きです。

↓以下、ネタバレ含む。








借金取りが腕を捻られて「あああっ……」て弱々しく言うのがイイですねマヌケで。あと野ウサギがスパイだと分かっても関係ないとのたまうあの女性が逞しい。我が子のためには国家だの大義なんてものは霞むってことなんですよ。殺した赤ん坊の写真のシーンがキツかっただけに、あの女性の行動にはとても救われます。あの後どうなったかはもうちょっと観てみたい気もしますが、まあ予想通り尻に敷かれることでしょう。

隣家はどう見ても問題ある家族にしか見えないので、そこまで羨ましがるほどか?とちょっと引っかかります。怒鳴り合う声が丸聞こえだしね。と言うか、それなら北の家族が叫び合う声も聞こえてるんじゃないかと思うんですが……しかし、隣家は喧嘩ばかりしたり謝らせようとしたりしながらも、無視をするとか本気で暴力を振るったりとかはしないんですよ。そして何かあるとすぐに家族全員が集まってくる。これは一見不自然に思えますが、決して離れようとはしないというところに北の疑似家族たちは気付いてしまうんですね。

北の彼らは国に家族がいるから祖国は裏切れない。これは国に家族を人質に取られてるも同然であり、理念を通そうとしながらも自分たちのやっていることの意味を見失いそうになります。離れた家族に会いたいという思いは、離れようとしない隣家の姿によって一層強まります。だから隣家の本質を皆が見抜いてしまう。そして一緒に居るという自分たちには成し得なかった姿に、自分の家族を救うために別の家族を殺すのは間違いだと認めざるを得なくなります。ラストに手を針金で繋がれることで奇しくも疑似家族が文字通り繋がり、隣家の会話を完コピすることで疑似から本当の家族となる。もちろんそれは仮初めの家族ですが、以前の世間を欺くために装っていた家族とは全く違ってくるのです。

独断で任務を行ったらとんでもない間違いだったというのはさすがにちょっと無理やり感が強いですけどね。それでも最後に娘だけは助けたことにより、工作員も人間であるということを描いたのは大きいと思います。

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