2014
10.16

天に星、尻に花、羊に愛。『荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて』感想。

A_Million_Ways_to_Die_in_the_West
A Million Ways to Die in the West / 2014年 アメリカ / 監督:セス・マクファーレン

あらすじ
羊は狼に勝てるのか。



西部劇の世界を舞台に、彼女にフラれた羊飼いが謎の女に出会い銃の腕を磨く。『TED』監督のセス・マクファーレンが主演も務めた西部劇コメディ。

コメディとは言え、『TED』同様にかなり度を越した下ネタ、ゲスネタが多いです。TEDの見た目の可愛らしさによるギャップがない分そのゲス度はダイレクトなので、観る人を選びます。しかも全てが爆笑というわけでもない。これはどこまでを笑えるかという観る人のボーダーによるでしょうが、個人的には面白いとつまらないが交互にくるという調子だったので全体的な印象は普通でした。

西部劇で遊んでみたという感じですが、しっかりそれっぽいオープニングの映像、曲、字体なんかは結構嬉しいです。とにかくセス・マクファーレンが喋る印象ですが、それ以外の豪華キャストの肩の力を抜いた演技はイイ。特に荒野に咲く一輪のあだ花、リーアム・ニーソンが最高ですが、それも「このままにはしておけない」と花を生けるシャーリーズ・セロンが素晴らしいからこそ。彼女のおかげでこの作品は成り立ってると言えるでしょう。アマンダ・セイフライドはギョロ目言われてて笑います。あと口ひげの歌がウザいです。カメオ出演もライアン・レイノルズとかユアン・マクレガー(これはまず気付かない)、ミラ・クニスなんかも登場。ミラ・クニスは出演というか何と言うか。

アホみたいなコメディですが、ここで描かれるのは実は「人が死ぬ理由」であり、死と隣り合わせの西部という時代と場所で現代的感覚の主人公がいかに生きようとするかという話。と考えると少し高尚な気がします。しないか?

ちなみに予告でネタバレされていたサプライズ・ゲストには登場を知ってても大興奮。特に出終わりがナイスで、アレを観たくなること必至です。しかし西部劇繋がりのサプライズが実はもう一人出てる!これもかなりアガります。

↓以下、ネタバレ含む。








祭りで変な酒を売るのはつまんないけど、売り手の男がそのあと牛に突かれるのはちょっと面白い。羊に尿をかけられるのはつまんないけど、ラリったときの足長羊は面白い。下劣な下ネタはつまんないけど、セロンにチ◯コ出てるわよと言わせて酒を盗むのは面白い。下痢ハットは面白いけどそのあと中身をこぼすのはやりすぎ。市長が死んでるのは面白いけど……といった具合に、笑える境界線を越える余計な付け足し、或いは伏線にしては面白くないというのが多いです。特に人種差別ネタ、病気ネタにはドン引きです。

ただ西部劇を舞台にしたコメディの裏に死というものが散りばめられてるのは特徴としてありますね。氷に潰されて死ぬ。酒場の喧嘩で死ぬ。道端でのたれ死んで放置される。決闘で死ぬ。牛に突かれて死ぬ。蛇の毒で死ぬ。半分ネタとは言え当時の平均寿命の低さや結婚の年齢なども織り込み、死というものがすぐ隣にあった時代であると言っているのです。まともに描くとシビアになるからこそこれだけのゲスネタをブチ込んでる、と見れなくもないです(好意的に見ればですが)。

この街は嫌いと言う主人公は現代人に近い感覚であり、死の原因にどういうものがあるかを認識している。原題通り「西部には百万通りの死に方がある」わけです。最後の悪党との決闘でその知識が活かされて勝利するのは、つまり死ぬ理由を把握し、それを避けながら生きることを目的とするからこそ生き延びるということ。平和を脅かす者の排除です。そして悪党を倒した懸賞金で何をするかと言えばさらに羊を増やす。のんびりした印象の羊飼いはそのまま平和の象徴にもなってるんですね。一方通行の愛情ではなく相手を思いやる恋愛を選ぶのもラストの幸福感に輪をかけてます。ただセス・マクファーレンがシャーリーズ・セロンとチュッチュしまくるのは軽く殺意が沸きますが。

それにしてもリーアム・ニーソンの尻花には度肝を抜かれますね。リーアムは笑いながら人を殺すというところで悪党感を煽ってるんでしょうが、却って「実はイイ人」感がしちゃいますな。原住民の酋長が『ラスト・オブ・モヒカン』のウェス・ステュディなのは個人的にグッドです。ドクのシーンは最後にちょっと曲が流れて「うおお!」ってなりますが(ちゃんとエンドロールで「バック・トゥ・ザ・フューチャーのテーマより」と出てます)ドクと出会うというのが主人公の現代的な側面の強調に見え……なくもないです。あとまさかのジャンゴまで登場し黒人を撃つ射撃ゲームの主人をブッ殺したりしますが、映画の締めが他の映画ネタってのはどうなんだ?まあサービスなのは分かるけどもっと本編だけで勝負して欲しい気もします。


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マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス 他

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