2014
10.14

記憶の幻想と隠された真実。『記憶探偵と鍵のかかった少女』感想。

mindscape
Mindscape / 2013年 アメリカ / 監督:ホルヘ・ドラド

あらすじ
マークつよしの大冒険!



他人の記憶に潜入する特殊能力を持つ「記憶探偵」のジョンが、一人の少女アナの隠された記憶に迫るミステリー。主演は遂に単独初主演のマーク・ストロング。

マーク・ストロングと言えばいかつい中に力強い眼力を持つという感じですが、今作は出ずっぱりなこともあってそれだけではない困った顔や狼狽する様など魅力が満載。スラリとした立ち姿がカッコいいんですよね。カッコいいハゲ俳優の一人として存在感あります。

物語は人の記憶に入り込めるのが機械とか薬とかではなく「個人の能力」であるというのがサスペンスに繋がってます。アナログな人との繋がりがメインであり、それ故に齟齬が生じていく。現在と過去の記憶とを行き来するのはタイムトラベル的要素とも言えるし、そこから真相を探っていくというミステリーでもあります。非現実的に現実を映す映像が重厚かつミステリアスで、監督のホルヘ・ドラドという人は制作のジャウマ・コレット=セラの作品を彷彿とさせる雰囲気がありますね。また記憶を探る相手であるアナが一癖あるため、おじさんがJKに翻弄される話としても観れます。

そのアナ役のタイッサ・ファーミガ、個人的にはあまり好みの顔ではないけど、か弱い表情と小生意気な表情のバランスが良くて、一体誰を信じるべきか観てるこちらも主人公同様惑わされます。ちなみに『エスター』等のヴェラ・ファーミガとは21歳差の姉妹だそう。ブライアン・コックスをキャスティングしてるというのも様々な疑惑を持たせて良い感じです。

ただ伏線が意外と分かりやすいのであまり驚きはないのと「記憶はどこまで信用できるのか」と思っちゃうのが最大の難点ですかね。全体的にもうちょいミスリードが上手ければと思うんですが。

↓以下、ネタバレ含む。








無実を訴えるアナに対しそれを信用して守ろうとするジョンという構造ですが、アナが嘘付いてるのはジョン宛の手紙にニコちゃんマークが付いてる時点で分かります。そもそも記憶はあくまで記憶であって記録ではなく、主観が反映される部分も大きいので信憑性に欠けます。劇中ではDNA鑑定には劣るが嘘発見器よりは有効という設定なので改竄はないという前提のようですが、事実アナは改竄しまくっており、それによりどこまでが本当かを分からなくするのが目的だとしても、アナのキャラクターとアナ以外が全員彼女と違うことを言っている時点で誰が嘘付いてるのかは明らか。ソルティ(だっけ?)という人物を作り出すことにもそれほど意味があるとは思えないし、いじめっ子女子の喉元の穴も何なのか分からないし、あまりミステリーとしての深みは感じません。まあ記憶の信用性については予告でも既に謳っているのでそこがキモなんでしょうが。

アナは記憶の潜入の手順を覚えたと言ってますが、自らの記憶を改竄したりジョンの過去の記憶を引き出したりまでするので、アナもまた記憶探偵に近い能力の持ち主と考えた方がいいんですかね。ただそういった言及はされずうやむやのまま、アナが小粋にメッセージを送るという余計なエピローグが付いて終わってしまう。アナは姿を消しジョンは思い出の別荘を失うという苦いラストですが、想定通りの結末なのでいまひとつ「してやられた感」が薄いです。題材としては興味深いんですけどねえ。アナがジョンの手順を覚えて逆に仕掛けるのが、止めた時のなかでさらに時を止める承太郎vsDIOみたいでちょっと面白いです。

でも全体を貫くゴシックで閉塞的な感じ、魔女的な少女と騙されゆく男という関係性と言った雰囲気がいいです。メトロノームのような小道具も特に意味は感じないけど雰囲気作りにはなってるし、意味ありげに出された鍵がトラップであるという使われ方なんかは良かったです。何はともあれマーク・ストロングを堪能できるという点が一番ですね。

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