2014
10.06

女神、失神、百合もどき。『劇場版 零~ゼロ~』感想。

zero_movie
2014年 日本 / 監督:安里麻里

あらすじ
私の呪いを解いて。※繰返し



寄宿舎のあるキリスト教系女子高を舞台に、失踪した少女たちの謎を描く。ホラーゲーム『零』シリーズを小説化したものの映画化だそうです。ややこしい。小説版は未読ですがゲームの方は『零 紅い蝶』とかやってあまりの怖さに「ぎゃあああああ!」「ヒィィィィィ!」「やめて来ないでェェェェ!」と叫びながらプレイしたものですが、こちらはそれほど、というかほとんど怖さはないです。

もはや物語の世界にしか存在しないであろう儚げで清らかなJKたちが登場し、日本が舞台のわりにゴシックホラーな雰囲気で頑張ってます。微妙に時代性を感じさせない背景と不気味かつ幻想的な映像でそれを成立させているんですね。お話的には言いたいことは山ほどあるけど、そこは原作ありきだろうから置いておきます。まあ一言で言えば百合です。なので可愛い女の子たちを愛でましょう。女神降臨からの少女ら失神、の場面とか良いですよ。男がほとんど出ないのも良いですよ。

主演はアヤ役の中條あやみ、ミチ役の森川葵は共にSeventeenのモデルだそうで、特に中條あやみは霊的なときも通常時も雰囲気があって良いです。イツキ役の子、なんか見たことあるなと思ったら昔ドラマの子役で有名だった美山加恋じゃないですか。リサ役の小島藤子と共に良かったです。女子高生たちはちょっと固い感じの演技がむしろお話に合ってるんだけど、ロリータ姿も痛々しい中越典子はもう少し重要な役割にも出来たろうにちょっと半端でもったいないですね。あと美保純のシスター姿が恐ろしく似合わないです。まあそこはホラーと見せかけて青春のきらめき系映画なのであまり言わないでおきましょう。

事前に知らなかったんだけど、とある漫画のキャラが出てるんですよ。スゴい唐突なんで驚いたんだけど、どうやらあの漫画とこの映画の原作者が同じだからコラボしたらしいです。なんでそういうことしちゃうんでしょうね。

↓以下、ネタバレ含む。






双子の姉マヤが学園長によって貯水地に落とされたときに、マヤに過去入水した少女たちの思いが絡み付き、マヤを生死の狭間の存在みたいにしていて、それを呪いと呼んでいるんですね。呪いを解けるのはその時マヤを助けられなかったアヤだけで、アヤが来たことでマヤの呪いは解ける、と。一方あのシスターの弟は貯水場でマヤの霊を見たからか、マヤの呪いに引かれて来る娘をマヤが貯水場から出てきたのだと思い込んで沈めたってことですかね。それを知った姉は真実を隠すため、それ以降近付く娘たちを殺して流してたわけです。で、それらの大元を作ったのが学園長だったと。

しかし学園長は放置というのが腑に落ちません。それこそメリーさんこと中越典子をもう少し探偵役とか巫女役とかで絡ませても良かったと思うんですけどね。そもそも生け贄を与えれば呪いは収まるという動機も特に根拠がないし。ぶっちゃけミステリーとしては酷い話だと思うんですけど、ただ全体のトーンを同性愛で統一している分、ちぐはぐな印象しかない同監督の前作『バイロケーション』よりはなんぼかマシです。でも突然のイタコ登場はやはり不自然すぎ。『黒鷺死体宅配便』というマンガのキャラですが、あそこだけ明らかに浮いてますからね。

鏡の前の歯磨きシーンをずっと映してからの登場とか、水のなかから少女が浮かんでくるところとか、時間のかけ方がじわじわ来るホラー表現は嫌いじゃないです。マヤを写真に撮っていたとかラストに死んだ子たちが写るとか、ゲームの重要アイテムである射影機が最小限で重要な使われ方だったのも良かった。双子という要素が使い古された感じもしますが、これは元ゲームにもあったのでまあいいでしょう。スマホとか出るから一応現代なんでしょうが、自分たちのことを「女の子」なんて呼んじゃったり、失神して倒れちゃったり、雰囲気は昭和初期の怪奇ものっぽさもあったりして、嫌いじゃないです。アヤとミチのキスシーンは二人とも唇ぷっくりしてるのでとても柔らかく優しげで良いです。

ただやはりちぐはぐさは感じてしまうんだなあ。ミレイの『オフィーリア』を学園の象徴として飾っているのからして理解に苦しむし、事件の真相も結末もいまいちパッとしない。百合を描いていながらそこまで深い踏み込みも見せず、若気の至り程度で終わらせてしまう。これでは観る側も雰囲気を楽しむ程度で終わらせるしかないのです。


零 ~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い (角川ホラー文庫)零 ~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い (角川ホラー文庫)
(2014/08/29)
大塚 英志

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