2014
09.14

考える前に飛べ。『フルスロットル』感想。

brick_mansions
Brick Mansions / 2014年 アメリカ / 監督:カミーユ・ドゥラマーレ

あらすじ
運動できる奴に付いていくのは大変。



盗まれた爆弾が爆発するのを防ぐため、隔離された悪の巣窟「ブリック・マンション」に潜入した刑事ダミアンと、現地のパルクール男リノが手を組み悪党共に立ち向かう。2013年に逝去したポール・ウォーカー主演のクライム・アクション。観てないんですが2004年のフランス映画『アルティメット』のリメイクとのこと。

ポール・ウォーカー主演としては遺作になるんですかね。リメイク元でも同役で出演しているダヴィッド・ベルとのバディものです。ヨーロッパコープ制作、脚本はリュック・ベッソンとくれば大味なのはしょうがないですが、これがすこぶる楽しい。激しいわりに動きがよく分かるアクションがイカします。最初にダヴィッド・ベル演じるリノのパルクールを駆使した体術、ポール・ウォーカー演じるダミアンのカーアクションをそれぞれガッツリ見せて惹き付けるのがイイですね。二人同時にジャンプで車避けるとか、とんでもない距離を飛んで渡るとか、派手で難易度高めのアクションに喝采。スローの組合せもいい塩梅で許容範囲です。

物語終盤の意外な捻りがある意味スゴいと言うか「マジか?」となるほどなんだけど、反面その展開に不覚にも熱くなります。ユーモアも随所にあって良いですね。特に「Don't think, Jump(考えるな、飛ぶんだ)」というまさかのブルース・リーネタには笑いました。設定のわりにエグいシーンとかは極力排除されてるので、あまりバイオレンスを期待するとちょっと肩透かしですが、これは物語上しょうがないかな。

RZAが悪役というのが最後に活きてくるし、ウェイトレス姿でも気の強いヒロインのカタリーナ・ドゥニがカワイイ上にキャットファイトまで披露してくれてます。もちろんダビッド・ベルの身体能力には驚嘆。しかしそれ以上に「ポール・ウォーカーってここまでアクション出来るんだ」ってのに素直に驚きました。車だけじゃないポールの今後が楽しみだな……って一瞬思ってしまった後、ちょっと泣きました。

↓以下、ネタバレ含む。








基本的に戦うと言うよりは逃げて避けて目的を達成させる、というアクションですね。なのでそれをどれだけカッコよく驚きを持って見せるかが工夫されてます。立ちふさがる巨漢男イエティとはさすがにバトりますが、それもパワーではなく体術と小道具を駆使して倒す。こういったアクションに何かを思い出すなあと思ったらジャッキー・チェンですね。ドアの上のわずかな隙間を壁を蹴り登って潜り抜けるなんてまんまジャッキーです。フランス生まれのパルクールが香港映画のジャッキーアクションとテイスト的に似てるということは、つまりアクション表現として当然楽しめるということですね。冒頭ダミアンによる組織のボスの警察署への送り届けかたとか、ハンドル引きちぎって反撃するとか、どこかジャッキーに似たユーモアも感じられて良いです。他にもローラが「きっとリノは助けに来るわ」と言った瞬間リノが天窓から現れるとか面白いし、何よりダミアンとリノが信頼を深めていく過程がアクションで語られるというのがイイです(結果的にそうなったのかもしれないけど)。

ストーリー的にはかなり粗いですけどね。市長たちがダミアンに「リノと組め」と言うのはリノがRZA演じるトレメインと敵対してるからってことなんでしょうが、警官でもないリノと組む必然性がないし、そもそも協力するかどうか分からないし、ダミアンは内部を良く知ってると言ってるから道案内というのも何だし、しかもリノには何も伝わってないから自分で何とかしなきゃいけない。出会ってからも、何の策もなく真正面から乗り込むとか、リノがあっさりダミアンの正体バラすとか、色々アホみたいなところがあります。そのため全体的にライトな雰囲気が漂ってて若干緊張感には欠けるかも。

でも好きですねえ。特に終盤でそれまでの価値観をひっくり返すところ。あれでそれまで戦ってた奴らがいきなり皆イイ奴になるのはかなり際どい展開ですが、監禁したローラに手を出すどころか皆でゲームして遊んでるとか(しかも「トレメインが来た、怒られるぞ」って小学生か)悪党共に今一つ悪さを感じなかったり、敵で死ぬ人がいなかったりとギリギリそういう風には描いてるのでいいんですよ。トレメインが「部下が5人死んだ」と言ってるのもその前の話だし、墜落したビッチ、レイザーも車の上に落ちてたからまあ生きてるんじゃないすかね(多分)。イエティも頑丈そうだし。最後に悪党どもがにこやかに笑ってる画は、半笑いしながらもそれなりにほんわかしたので良かったですよ。まあトレメインが市長候補というのはさすがに全笑いでしたが「ひょっとして」と思ってたのでむしろOKです。つまり「考えるな、飛ぶんだ」精神が溢れてるわけですね。

ダミアンが最後に祖父と交わす会話、そしてポール・ウォーカーに捧ぐのメッセージに涙します。R.I.P.

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