2014
09.13

リアルタイムで映す全て。『テロ,ライブ』感想。

The_Terror_Live
THE TERROR, LIVE / 2013年 韓国 / 監督:キム・ビョンウ

あらすじ
悪態をつくときは電話を切ってから。



不祥事でテレビのニュース番組からラジオに飛ばされたキャスター、ヨンファのラジオ番組にかかってきた一本の電話、それは爆破テロの予告電話だった、という韓国サスペンス。

これは凄い!カメラはほとんどがスタジオのキャスターを映し続け、物語はほぼリアルタイムに展開するため、とんでもない臨場感。不安や緊張感を煽る音楽もあって、放送を始めたら止められないという有無を言わさぬ疾走感。ワンシチュエーションでここまでダイナミックかつエモーショナルなものが作れるものか、と驚嘆します。わずか98分のドラマで何度スリルに身を固くしたか。

汚さも弱さも愛情も強がりも意地も、人間のあらゆる側面を見せるハ・ジョンウの演技が凄まじいです。ほぼ出ずっぱりだけど投げやりな感じからパリッとした感じ、そこからさらに変化していく様も見事だし、カメラ越しやテレビ画面や直に見る現場などの映像が混在することで平坦さを感じさせないのもスゴい。監督はこれが商業デビュー作だそうで、韓国映画の層の厚さには恐れ入るしかないですね。

ストレートなタイトルに偽りはないけど、それ以上に劇中に込められた大小様々なドラマに圧倒されます。物語の方向性は予測できても、その予測を上回る展開で来て息つく暇なし。一部引っ掛かる点もなくはないけど、耐え難い空しさと恐ろしい美しさに震えるラストまで一気に魅せてくれます。

↓以下、ネタバレ含む。








ハ・ジョンウがとにかくスゴいんですよ。色々と観逃してるので僕が彼を認識したのは『ベルリンファイル』からと遅いんですが、遡って代表作を観たくなります。予告電話を通報せずスクープとして自身の復帰に利用しようとする姿から、己のコントロールを離れて結果命の危険に晒されて怯える姿。局長のように全てを割りきって悪には成れず必死に怒りをこらえながら報道するも、愛するものを失い、そして散っていく。二転三転する状況に翻弄される様を見事に演じきるため、ずっと映りっぱなしでも問題なし。

彼らが死んでも世の中は何も変わらず、視聴率70%を越えた局長は出世し、大統領は支持率を高めるのでしょう。人を見下すクズっぷりに度肝を抜かれた警察庁長官の最後は溜飲が下がるものがありますが、他にもああいった人物は世の上層にひしめいていることでしょう(テレビであんなこと言うヤツはさすがにいないとは思うけど)。そしてマスコミは視聴率のために真実を都合よく捻じ曲げるのでしょう。この自分の声がどうしようもなく通じない、という無力感が凄まじい。非常に社会派なテーマですが、それをここまでの娯楽作に昇華させた監督の手腕には唸ります。

最初画面の上下に黒帯があるのは演出だろうけど、スクリーン調整ミスかと思って戸惑ったのでちょっとどうかなとは思うんですけどね。あとイヤホン爆弾はどうやって仕込んだんだろう?という疑問はあるんですけど、ひょっとしたら犯人は事前にどこかで登場してたんですかね。テレビ局が近くテレビが見れる環境、ひょっとして番組スタッフの一人だったとか?他にも気付けてない点が何かありそうでここら辺はもう一度観て確かめたいところですが、そんなことは関係なくまた観たくなる。緻密さと勢いが融合した素晴らしい出来です。

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