2014
08.24

移りゆく危機に対処せよ!『バトルフロント』感想。

homefront
Homefront / 2013年 アメリカ / 監督:ゲイリー・フレダー

あらすじ
悪党は倒す、娘も守る、両方やらなくっちゃあならないのが父親のツラいところだな。



元潜入麻薬捜査官のフィルと娘のマディが、引っ越した田舎町でちょっとした諍いから麻薬絡みの陰謀に巻き込まれる。シルベスター・スタローン製作・脚本、ジェイソン・ステイサム主演のクライムアクション。これは面白い!

もはや無敵感しかないステイサムが主演にも関わらず、落ち着かない不穏さが続いて緊張感が途切れません。娘がさらわれてそれを取り返すという単純な話ではなく、危険のサインを見逃さず次善の策をきっちり仕込んでいくプロっほさが素晴らしい。脅威の対象が少しずつズレていくというストーリーが絶妙だし、舞台が田舎町という閉じた環境だからこその展開も上手いです。

アクションが少しカット割りしすぎな気もしますが、殺るときは殺るステイサムのスピード感としてはちょうどいいです。ステイサムは演技もできるから良いんですよね。妻を失い娘のために新生活を始めようとする父親役も問題なし。さらに革ジャンでアウトロー的なロン毛姿まで披露して笑え……カッコいいです。娘ちゃんも可愛らしい。対抗役はジェイムズ・フランコですが、身の程わきまえない小悪党ぶりが最高。その愛人役のウィノナ・ライダーもうらぶれた商売女が悲しいことにやたら合ってます。『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』『ディス/コネクト』など最近よく見かけるフランク・グリロも登場し、ステイサム対グリロというたまらんカードも実現。登場時の木の説明がラップのような同僚もイイし、イジメっ子の母親ケイト・ボスワースがマジ怖い。

原作はあるみたいですが、それでもスタローンの脚本はよく練られてます。実は彼自身が主演のつもりだったらしいですが、それを辞めてステイサムにやらせたスライはセンスが良いですね。結果的に素晴らしくハマってます。

↓以下、ネタバレ含む。








最初は頭のおかしい隣人の恐怖みたいな感じかと思ったら、タガの外れた麻薬の売人に素性を知られるピンチとなり、そこから恨みを持つ麻薬組織ボスに狙われることになる、この危機レベルの遷移が抜群なんですよ。あのモンスターペアレントな上にラリってる母親は実際にいそうなだけに十分怖い導入部なので、そこで引き込まれてからの大きくなっていく話に違和感がないです。街の一員となるべきステイサムとしては暴力で解決するわけにもいかないし(しそうになるけど)。発端があのいじめっ子だったとしても暴力振るったのは娘の方なので、心情はともかくあまり強気にも出れない(脅したりはするけど)。そのために前代未聞の「謝るステイサム」が見れるというのも貴重です。

この「街の一員になる」というのは重要な要素ですね。ステイサムは謝罪し、いじめっ子を娘と共に誕生会に呼ぶことで関係性を修復します。フランコはワルですが所詮は小悪党だし手下のチンピラどもが暴れるくらいだから保安官もある程度お目こぼししてバランス取ってるのでしょう。その良し悪しはともかくフランコからもらった酒を捨てることからも腐りきってるわけではないのが分かります。そして結局この街の人は誰も死んでないんですよ。殺られるのは全て外部から来たよそ者です。フランコは街の一部という存在から外れて外部の者を引き込んだがために追い詰められる。つまりこれはコミュニティを描いた話なんですね。同僚は外部の脅威に対して干し草フォークでブッ刺す大健闘を見せるし、最初は怖かった母親も街の枠組みの中で騒いでるだけだったわけです。いじめっ子も誕生会に招かれて嬉しそうだったしな。そうして生き残ったステイサムは晴れて街の一員になるってことですね。だから物語として重要な点となる『Homefront』(銃後)という原題なのでしょう。

まあそんなことは気にしなくてもステイサムに期待するものはキッチリ以上に見せてくれるのが良いのです。降りかかる火の粉を払うため、相手の素性は調べ、警告をし、罠を仕掛け、それでもダメなら壊滅させる。過去の職歴資料があんな無造作な保管でいいのかとは思いますけどね。でも何より「娘も強い」というのが期待通りで喝采です。

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