2014
08.16

しずかちゃんマジ天使。『STAND BY ME ドラえもん』感想。

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2014年 日本 / 監督:八木竜一、山崎貴

あらすじ
未来の国からはるばると。



ドラえもんが初の3DCG映画に。アニメ版と同じキャストでドラえもんの名作エピソードが再構築されています。『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』の時も書きましたが、僕は藤子・F・不二雄全集持ってるくらいなのでドラえもんへの思い入れは相当強いです。小さい頃初めて買ってもらった漫画も『ドラえもん』2巻でした。なぜ1巻じゃないのかは知らん、うちの親に聞いてくれ。なので先入観に囚われて頭から否定しないよう、気を付けて鑑賞しました。

ひみつ道具や未来世界がCGにより細密化するのは原作の程よいアバウトさをスポイルしないかと懸念してましたが、予想に反してこれはかなり良かったです。タイムマシンの細部がメカニカルにガシャコン動くとか、慣れないとタケコプターに体の方を振り回されるとか、ガリバートンネルのライトが歩みにあわせて光るとか、タイムふろしきの動作中は柄の時計が動くとか。3DCGというフォーマットに合わせた表現へのアップグレードはうまくハマってるし、写真をデジタル写真立てみたいにするのも今の時代には違和感がないですね。タケコプターで夜空を飛ぶシーンやタイムマシンで行く時間旅行シーンは3DCGの楽しさを改めて思い出させてくれます。3Dおすすめ。

そして柔らか素材のドラえもん、瘴気を放つのび太、髪型の3D再現が見事なスネ夫、愛の奴隷と化すジャイアン、男も惚れる出来杉くん、そしてそこはかとないエロさのしずかちゃん、と各キャラの表現にも見所ありです。卵から出たばかりのジャイアンも可愛いですが、しずかちゃんの天使っぷりには他の全てが霞みます。彼女はただのお風呂要員じゃあないのだッ!あ、お風呂も入りますよ。

有名なエピソードをわりとセリフまで忠実に再現しているので思ったより違和感はないです。ただ、作品の本質とは直接関係ないのであまり言いたくないんですが、今回一番の問題は宣伝の仕方なんですよ。いわゆる泣きのエピソードが多いことが予告などで事前に分かっているんですね。先入観に囚われないようにと言ったのはまさにこのことで、実際脚色や演出、音楽の使い方などいかにも泣かせようとしてるのが鼻につくところも多いし、ラストにあのエピソードを配置してそこから逆算して作ってるんだな、というあざとさもあるんだけど、頭から観てると思ったより流れが自然なんですよ。色んな道具のエピソードをコンパクトに繋いでてさほど物足りなさを感じないし、後半にそれらの道具を再登場させるというのも構成としてはまとまりがあるし。泣かせようという「狙い」と見なすか、良エピソードをうまく伝えるための「工夫」と見なすか、どちらに取るかで印象は分かれるかもしれません。

「ドラ泣き」とかいう腐ったコピーではなく「3Dで蘇る名作エピソードの数々!」くらいにしておけば逆に肯定的な意見が拡がったんじゃなかろうか、というくらいには良かったですよ。一部どうしても許せない部分もあるけど、そこは良かったところと相殺ということにしておきます。

↓以下、ネタバレ含む。








のび太を幸せにするまで未来に帰れない、帰ろうとすると体に電流が流れるという「成し遂げプログラム」、これがセットされた状態でドラえもんはのび太と暮らし始めます。これは映画オリジナル設定ですが、これ自体は悪くはないと思うんですよ。「幸せになったら」という条件をのび太の結婚話により「幸せ」という認識に結び付けているから、ドラが未来に帰る理由として納得できます。あれほどのび太の世話に乗り気じゃなく、未来に帰ると言っては電撃を食らってたドラえもんが「帰らなければならない」と言われたとき、嬉しそうに空を飛び回るのび太を見ながら「ああ、そうだった」と言って涙する。幸せになったら別れなければならないという悲劇性が生まれるわけです。イヤ本当に、監督自身がインタビューで成し遂げプログラムについて「便利な設定だろ?」とドヤ顔さえしなければ「上手いなあ」で済んだんですがね。ルール違反するとキツい体罰を食らう道具ってドラえもんには結構出てくるんだしね。

ついでに「泣かせ」以外の不満点を挙げておくと、ドラえもんがやたらと頬を赤らめてしなを作る感じがちょっとイヤでした。ドラがあれやるのはミーちゃんの前だけにしてくれ。雪山遭難シーンで青年のび太がしずかちゃんのことを「しずかさん」って呼んでたのもかなりイヤですね。あとラストに改めてタイトルを出すのが「STAND BY MEってこういう意味なんですよ?」というドヤ顔が浮かんできてすげーイヤ。そしてラストのNG集、あれはやっちゃダメでしょう。なぜそこでピクサーの真似するの?ピクサー作品は日常世界からは少しかけ離れた冒険と、ジョークが受け入れられる土壌があるからあのテイストが通じるのであって、あくまで日本の日常ギャグであるドラえもんで「全部演技でしたー」というギャグをやってもしらけるだけなんですよ。

逆に感心したのはのび太の成長物語としてしっかりステップを踏んでいるところ。刷り込みたまごでしずかちゃんの心を掴もうとし、その姑息さを恥じて一度は諦めようとし、ムシスカンで改めてしずかちゃんの素晴らしさに触れ、そこで少し未来が変わり、そこから遭難話に繋げてしずかちゃんの命を自ら救う。この流れはのび太の成長を描く過程としてとても良いです。遭難話の解決方法はそういう意味では良い改変でした。あと大人ののび太がドラえもんに会おうとしないというのが、その頃の自分の友人だから今の自分が接するべきではない、みたいな含みがあって結構好き。あそこは唯一のび太が大人になったことを感じるシーンでした。大人と言えば、成長した仲間たちと飲むシーンはなかなかイイです。出木杉くんの意外なカミングアウトを聞けたり、ジャイ子がマンガ家デビューしたことを描いていたり、ジャイアンがスギちゃんみたいだったり。ジャイ子登場時はひょっとして前田あっちゃんみたいになってるのでは、とちょっとドキドキしましたがそれはさすがになかったです。

やはり「さようならドラえもん」からの「帰ってきたドラえもん」やられたらね、そりゃ泣きますよ。原作では「さようなら~」で爆泣きするんですが、今回は「帰ってきた~」の方で泣けました。「僕にとっては残酷な嘘だ」というのがのび太の喪失感を的確に表していて、これがその後の展開でこうなる、と考えて先泣きですよ。だから事前に「ドラ泣き」なんて言っておく必要はないのです。


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