2014
08.13

燃えよハイパーチャンバラ!『るろうに剣心 京都大火編』感想。

rurouni_kenshin_kyoto
2014年 日本 / 監督:大友啓史

あらすじ
抜刀斎はどこだ!(リフレイン)



幕末に「人斬り抜刀斎」の通り名を轟かせた緋村剣心が、人斬りの名を継いで政府転覆を目論む志々雄真実と対峙する、コミック『るろうに剣心』の実写映画化第2弾。原作未読なのでその辺りの比較はしてません。いやーもう前作より遥かにワクワクしながら観てました。

バトルに次ぐバトル。速い、でも軽くない、トリッキーでバリエーション豊かすぎるハイパーチャンバラ、これですよ。冒頭のマズルフラッシュの中で切り捨てていく宗次郎からもうウヒョーですよ。剣心が神速で悪党軍団を倒していく村のシーンなんて一振りに二三度斬りつけてるみたいで圧巻。他にも次々とアクションが展開されてウヒョーな状態が続きます。アクション監督がドニー・イェン作品にも参加している谷垣健治なので、剣劇+香港アクションという感じでアガるアガる。境内下の狭い通路での格闘交えた剣戟なんて完全に香港アクションの世界ですよ。それぞれの戦いの舞台も印象的だし、観たかったアクションや決めポーズが腹一杯観れて満足です。

ドラマに関してはアクションへの繋ぎという印象が強いのが難点。多くの人物が登場するけどそのバックボーンの描き込みが足りないのであまり深みが感じられないんですね。原作知ってる人ならそれでもいいんでしょうけど。その代わりかは分かりませんが、それぞれに印象深い見せ場があるというのは良いです。佐藤健の身体能力には本当に驚きだし、薫殿に凄みのある表情で優しい言葉をかけるみたいな表情もイイ。藤原竜也の仰々しい演技はこういう役にこそ相応しいと思うし、武井咲の薫殿は相変わらずウザい、でもカワイイでござるな!蹴り技のキレが素晴らしい土屋太鳳の操、思わず「トンファァァァァァ!?」と叫びたくなる田中泯の翁も絶品。お庭番衆は戦いの準備をするシーンも何気に良いなあ。あと大久保利通がMIYAというのはちょっと嬉しいです。

前後編の前編ということですが、次回への引きが非常にえげつないです。あのラストにはびっくらこいたよ!おおう早く『伝説の最期編』が観たい。

↓以下、ネタバレ含む。








アクション以外のドラマ部分、感情に訴える部分が弱くて、例えば剣心が薫との別れ際で抱き締めるシーンをスローにしちゃう演出はいかにもドラマ的で「うわ」って思っちゃう。抱きしめた瞬間の薫の顔を映さないようにするなら、最後まで顔を映さず後ろ姿だけで語らせるとかね、あると思うんですけどね。「京都になんか行かせない」と言っていたわりにその後の薫の心情があまり出てこないまま、周囲に煽られて京都に行く感じだし。それから親を殺された村の少年、あの泣き喚き方はちょっとやり過ぎ感が強すぎる。肉親の突然の死を目の当たりにしたら泣く前に呆然としちゃうと思うんですよね。あの少年の息の荒らさ、泣き方の仰々しさはどこか藤原竜也っぽいけど、普通の一村人なのでそういう大仰な演技を受け入れるだけのキャラのケレン味というか嘘臭さの吸収性が足りないので、どうしても浮いてしまうんですよ。あとは大久保卿や青空、果ては剣心までが、心の声をセリフとして聞かせるのもショボい。なぜか各々一度だけそれをやるので、だったらもっと演出で上手く見せられないものかと思ってしまうのです。カメラが時折グラリと揺れるのも、手ブレによる臨場感とは違って気になります。

薫に関しては殺らなければ殺られる状況であることを見ていながら「殺してはダメだ」と言うのがどうしても鬱陶しく思ってしまいますが、これは「不殺(ころさず)の誓い」というのが物語の根底にあるから、剣心がその一線を越えると軸の部分が崩れてしまう以上やむを得ないんでしょうけどね。でも張に対しては明確な殺意を持って斬りつけてる以上一旦は人斬りに戻りかけてたのだから、その後何かしらのフォローをするべきだと思うんだけど特にないしなあ。原作は読んでないけどあそこまで逆刃刀に固執する以上そこは重要なんじゃないかと思うんですけどね。ラストの「謎の男」登場は出演してるのをすっかり忘れてたので驚きでブッ飛びましたが、後から考えるといくらゲスト的な扱いだからってあの「謎の男」のアップのまま終わっちゃうってのはどうなんでしょうか。最後は担がれた剣心を映すべきじゃないの?とも思うんですけどね。

ということでドラマ部分に不満もありますが、でもそれがアクションの面白さを損なうわけではなく、大群相手の大立回りもサシでの勝負も見応えは抜群。人間の動きの創意工夫というものが映像で味わう快楽として十分なアドレナリンを促し、アクションシーンの合間がわりと短いこともあって興奮が持続します。これは例えば『魔界転生』のような主人公が次々に強敵と戦っていく「対決」の醍醐味です。しかも圧勝あり、敗北あり、パワーアップあり、仲間の戦いありとまさに少年漫画の王道展開なので燃えます。

宗次朗の馬車飛び付きや、張が剣心を蹴り倒して石灯籠をぶち壊すとか最高ですよ。張の「ええでええでー」と言うのも調子こいた敵キャラ感が笑えて良いです。アクションシーンの中でキャラに味付けしてるってのはありますね。左之助はガーガー騒ぐのが煩くてあまり好きじゃなかったんだけど、京都決戦みたいなガチャガチャした戦いの場で一気にザコを片付ける役としては非常に魅力的。バトル後に剣心に言う「お前の力になるために決まってるだろうが!」には不覚にもウルッときましたよ。志々雄の見せ場は後編でしょうが、燃やされたシーンは『スターウォーズEP3』のアナキンを彷彿とさせます。あれだけやられて死なないとか不死身すぎですがそれでこそラスボスというもの。蒼紫は抜刀斎狙いの『ターミネーター』と化してましたが、激強い上に伊勢谷友介の動作のフォルムがカッコいいのでたまりません。フォルムがカッコいいというのは「対決」というキャラ同士のぶつかり合いでは重要でしょう。その点でも蒼紫と翁との勝負はベストバウトの一つです。そして剣心、抜刀術の構えの指先がかすかに震えるのが集中に葛藤が垣間見えて良いんですが、あれはわざとやってるそうでアクション演出細かいなあ。ついでに言うと薫殿はさらわれ過ぎだし到底師範代には見えないけど、カワイイからもうそれでいいでござるよ。

タイトルが『京都大火編』というわりに京都自体は大して燃えなかったけど、巨大な炎の山車が「撮影所燃えちゃう!」ってヒヤヒヤさせるし、冒頭の斎藤と志々雄が対峙する場面の炎もかなり熱そう(あそこにいた坊さんたちは一体何だったのだろう……?)。志々雄が火を付けられるシーンも鑑みれば、タイトル負けはしてないですね。

後編の『伝説の最期編』と合わせて観たときにさてどうなるか、楽しみです。


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