2014
07.12

取り戻せなかった父性。『オールド・ボーイ(2013)』感想。

oldboy_2013
Oldboy / 2013年 アメリカ / 監督:スパイク・リー

あらすじ
トンカチ?カナヅチ?



パク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ』をスパイク・リーが監督でハリウッド・リメイク。主演はジョシュ・ブローリン。オリジナル版は僕のオールタイムベストの一つなので、どうしても比較になってしまうのはご容赦を。でもオリジナルを越えることはなかろうと思ってたけど(思ってたせいか?)、なかなかどうして、思いのほか良かったですよ。舞台がアメリカということでディティールは変わってるものの、話の大筋はほぼ同じ。だから話の展開は知ってるんだけど、それでも結末には震えました。

凄惨なシーンは十分あるのに全体的に少しマイルドな気がしますが、これはストーリー展開がいくらか整理されてるというのはあるでしょう。あと主人公に感じる狂気が若干薄く思えるというのも影響あるかも。それでもアメフト部瞬殺とか凄いし、トンカチ横スクロールアクションなんかはちゃんと再現してて、思ったよりもオリジナルの踏襲は感じます。

ジョシュ・ブローリンは良かったですよ。チェ・ミンシクと違って無双シーンが暴れるゴリラにしか見えなかったけど、でも良かったよ(ホメてる)。あとシャールト・コプリーはド変態でした(ホメてる)。ただ、エリザベス・オルセンがおっぱい出して大健闘してるのに、そこに興醒めな特大ボカシが入るんですよ。見える見えないの話ではなく、とんでもないノイズに感じるのです。もう一ヶ所入るボカシのシーンもそうですが、R15+にしておいてこれはない。作品の本質とは別の話ですけどね。その代わりおっさん二人の尻が見られます。代わりになってないよ。

とは言えこのリメイク版、オリジナル観てない人には十分すぎる衝撃を与えるんじゃないですかね。ちなみに僕はオリジナルを初めて観たとき何年監禁されたか知らずに観始めたので「え、まだなの?え、まだ?」ってなって、そこからもう引き込まれてましたよ。

↓以下、ネタバレ含む。








絵の人物が実体化して一瞬喜びかけたら幻とか、最初はエロ視点で見てたトレーニング番組で実際に鍛え始めるとか、監禁シーンはオリジナルとはまた別の味があって良いと思います。こういったテレビ番組で伏線を張るとか、アルバムではなく映像で謎を明かすとかいうのはテレビ文化なアメリカ的ですね。わざわざ娘の替え玉を使うというビジュアリックなアイデアも韓国版との違いでしょう。それにしても娘が成長していく映像がエリザベス・オルセンそっくりに見えたんだけど本人映像ですかね。ハッキリ映してないから見えにくいんだよな。ジョーが乗り込んだときにも娘(の替え玉)の映像もあまり見せないし。このあたりに、娘ではなくあくまで父の話を見せたいという意図を感じます。

ジョシュ・ブローリン演じるジョーは陰影の濃いシーンでは特にゴリラ増しだったので、そろそろ「ウホウホ」って言い出すんじゃないかとハラハラしながら観てました(ホメてる)。ジョーは初っぱなからそれはないだろうってくらいゲス野郎で、仕事も家庭もうまくいかない苛立ちを抱えてるんですね。ちょっと『渇き。』の主人公と似てます。娘との食事も仕事があるからと断ったりで、家族との関係性は薄いです。そんな中で監禁された結果、テレビで見せられる娘の姿にかじりつき、ついに脱出しようかというときには娘の映像を見ることに抗えなかったりする。つまり全てを抑止されてやっと娘と向き合うのです。そして命の危機のはずの娘を探して奔走し、愛情が頂点に高まったところで衝撃のネタばらし。さらにオリジナルと異なるラスト。こうして見ると、どうも抑圧された父性を解き放とうとしてダメだった、みたいなものを感じます。復讐の内容は同じでも、監禁した男と監禁された男が、復讐という行為を挟んで対になるオリジナル版の構造とはその点が異なるのです。

本作がジョーが父性を取り戻そうとして失敗する話だとすると、シャールト・コプリー演じる謎の男エイドリアンが、度を越した変態紳士のわりに背徳的な美やそれ故の狂気が足りないのはしょうがないのかもしれません。エイドリアンの父は家族をブチ殺したわけですが、それは父としての意志を持ちある意味家族を守るために行った行為とも見れるので、己の行動により家族がバラバラになったジョーとは反対の存在です。エイドリアンの復讐はそんな父や妹を想っての行動だし、むしろ父性を称えようという象徴にさえ見えます。父性を失ったジョーには同じ真似は出来ず、ラストは閉じこもるしかなかったのでしょう。最後に全てを一人で抱え込み、それでも満足そうな笑みを浮かべるジョーが悲しいです。


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