2014
06.25

生まれ変わった怪獣王(でも還暦)。『ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版』感想。

godzilla_1954
2014年(1954年) 日本 / 監督:本多猪四郎

あらすじ
♪ゴジラ、ゴジラ、ゴジラが現れた(テーマ曲)



1954年に第1作が公開された『ゴジラ』。その60周年を記念してデジタルリマスター版が新たに公開。怪獣の代名詞であり、2014年夏には新たなハリウッド版も公開されるゴジラ。その記念すべき1作目、僕もDVDでは観てましたが、劇場のスクリーンで観るのは初めてです。しかもデジタルリマスター。これがもう画質も音響も段違い。

映像はゴミや汚れが取り除かれシャープでクッキリ、音はノイズが除去されハッキリかつ重低音も効いてて、本多猪四郎の演出も円谷英二の特撮も伊福部昭の音楽も堪能できます。『ルパン三世 カリオストロの城』の時も思ったけど、デジタルリマスターの威力って本当にスゴい。労力をかけてくれたスタッフに感謝です。

そしてスクリーンで観るゴジラの恐怖と言ったら。最初は鳴き声や足音、破壊の音などだけでなかなか姿を見せずに引っ張り、満を持してのファースト・ショットがあの山の上から顔を出すシーンなので、与える巨大感と絶望感がスゴいんです。特撮の出来も今観てもそこまで陳腐ではない、というかむしろモノクロの映像に馴染んで非常に良いんですよ。またゴジラと逃げ惑う人々などのカットの繋ぎが絶妙で、大怪獣のリアルな恐ろしさをとことん感じさせてくれます。ゴジラが東京に上陸し、街が次々破壊される絶望感はかなりのもの。若き日の宝田明や志村喬といった役者陣も魅せてくれます。あとチョイ役の菅井きんのインパクトな。

戦後間もないのにこれだけのものを生み出しているというのに改めて驚きです。反核のメッセージは色濃いですがそれを抜きにしてもやはり古典的な名作と言えるでしょう。ちなみにこのゴジラはエメリッヒ版のようなイグアナの突然変異とかではなく、水爆の影響により目覚めたジュラ紀の生物ってことになってますね。まさに人間の傲慢により大地が怒って遣わせた破壊神と見れるわけです。

↓以下、微ネタバレ含む。








ゴジラが通った後の焼け野原、避難でなく疎開という言葉、また逃げなきゃという失望、といった随所に見られる戦後の景色。崩れる家屋になすすべもなく潰される人々。もうすぐ父親のところに行けると言う逃げ場をなくした母子の悲しさ。怪獣が暴れるということはこういうことなんだ、というのをきっちり描いています。これは同時に戦争というものがもたらす情景でもあり、ゴジラを戦争そのものや大量破壊兵器に置き替えて観ることも可能でしょう。またゴジラ自体には意思というものが感じられず、ただ破壊するために存在しているという意味でも事象や物体に近く、なおさら戦争や兵器としての象徴に思えます。人が引き起こした、人のコントロールを離れてしまった事象。天変地異なら神の御業ですが、人は自ら破壊神を生み出したということですね。

科学が戦争に使われることへの警句も入っており、芹沢博士が「この発明を兵器にするわけにはいかない」と真っ直ぐカメラに向かって言うのはやはり印象深いです。ラストの山根博士の「一匹だけとは思えない、水爆実験を繰り返せばゴジラはまた現れる」という言葉もあり、人類の過ちは人類に返ってくるのだという明確なメッセージを感じさせます。

この1作目以降は怪獣そのものの活躍を描くような娯楽色が強くなって行き、それはそれで別の面白さがあるわけですが、やはり一作目は別格ですね。


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宝田明、河内桃子 他

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