2014
06.23

バトルと愛と大噴火。『ポンペイ』感想。

Pompeii
Pompeii / 2014年 アメリカ / 監督:ポール・W・S・アンダーソン

あらすじ
火山噴火で埋もれた街(実話)。



A.D.79年のポンペイで起こったヴェスヴィオ火山の噴火を描くディザスター・ムービー。というわけで目玉はディザスターとしての火山噴火になるわけですが、その辺りのスペクタクルは重低音が腹に響くかなりの迫力。バンバン飛んでくる火山岩やら火砕流やら津波やらで終末感がスゴいです。

でも噴火そのものはひとつの舞台装置であって、それ自体を描きたかったわけではないんでしょうね。あくまで極限状態のなか生きようとする人のドラマを作りたかったのでしょう。とは言え中心となるのは主人公である奴隷の剣闘士マイロと、商人の娘カッシアとの古典的なラブストーリーであり、そこに権力者コルヴィスを交えた3者の愛憎劇です。『ディープ・インパクト』のような群像劇ではないので分かりやすいけど、その分あまり拡がりはないかな。

でもカッシアお嬢様が今一つグッと来ないんだよなあ。侍女の子のほうが断然魅力的なんですけど(単に好みの問題)。監督の奥さんであるミラ・ジョヴォビッチにしなかっただけマシか。悪役であるコルヴィス議員役はキーファー・サザーランドですが、あまりハマってないんですよね。どうせならもっとイヤらしくてムカつく感じの人の方が二人の恋路も盛り上がると思うんだけど。ただ、ローマの剣闘士チャンピオンの人が顔も髪型もスゴく当時のローマ人ぽくて良かったです。あとポンペイ市長?一目散に逃げ出すあいつの危機察知能力ハンパない。

ちなみに火山と言えば『ボルケーノ』だと思うんですが、内容をほぼ忘れてるので比較できませんでした……

↓以下、ネタバレ含む。








剣闘士を主人公にしている時点で『グラディエーター』と比較されるのはやむを得ないでしょうが、その点はそれほど深くないんですよね。マイロが滅ぼされた種族の生き残りであることや戦いの中で何か見つけるとかそういう深みがない。ただ剣闘士チャンプと徐々に友情を育む流れは悪くないです。倒す相手でしかなかったのに戦いの中でお互いを認め名乗る、ベタながらこれはイイ。というかあのチャンプが鬼強くて達観しててそれでいて転んだ子供を助けたりとか、応援したくなるキャラなんですよ。バトルシーンは燃えるほどではなかったけど、鎖に繋がれてのバトルロイヤルとかは変わってて良いです。

ポール・W・S・アンダーソンが最もやりたかったのは『タイタニック』でしょうね。人の力では抗えない災厄のなかでの許されぬ恋。政略結婚から逃れる、会ってすぐ惹かれ合う、ピンチの中での恋敵との戦いといった筋立ても人物配置も似ている。監督が新境地に挑もうとした意欲は感じます。この監督にしては男臭い話だけど、カッシアはやはり芯は強い女として描かれてるし、マイロの愚直さが純愛に結びつくのも分からなくはないです。ただ助けてもらったことで恋に落ちるというくだり、命懸けで救いに行くだけの理由がちょーっと弱いかな。馬を楽にしてあげるエピソードとか、大勢の人がいる屋敷で見つめ合うとかくらいしか絡みがなかったような……お互い一目惚れであるとか運命を感じたとかなんだ、と思うことにします。そう言えばその見つめ合うシーン、お嬢様がたが奴隷の剣闘士をお持ち帰りするってのはちょっと斬新でしたね。

『タイタニック』が必死で生き延びることを描いていたのに対し、こちらは二人で運命を共にする道を選んでしまうというのは大きな違いです。冒頭で溶岩に固められた人々が描かれるのがラストを暗示しており、それはそれで美しさがあるとは思いますが、接吻状態で溶岩化した姿がなー、感動か失笑かが紙一重なんですよね。ひょっとしてそういう遺体の跡が実際にあってそこから着想を得たんでしょうか、分かりませんが。さすがに彼女の方だけ生き延びたら『タイタニック』まんまだけど、もっと二人して必死で生き延びようとする姿を描いた方が個人的には良かったと思うし、どうせ噴火に巻き込まれる人々の悲壮さというのはメインキャラ以外は捨ててるんだから、むしろ二人ともなんとか助かった!にしちゃってもこの際良かったんじゃないだろうか。

いろいろブチ込んでのサービスぶりは悪くないと思いますけどね。ただ、やはりキャスティングはハマってないなあ。イメージによる先入観は良くないですが、キーファー・サザーランドがそんなんで死ぬか!と思っちゃうし(イヤあれは死ぬだろう)、お嬢様の父親は『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』モリアーティ教授のジャレッド・ハリスで母親は『マトリックス』トリニティ役のキャリー=アン・モスなので、どちらも死にそうにないなあ……


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