2014
06.18

繋がれない寂しさ、繋がりたい想い。『ディス/コネクト』感想。

Disconnect
Disconnect / 2012年 アメリカ / 監督:ヘンリー・アレックス・ルビン

あらすじ
自撮りのアップは要注意。



情報漏洩、ネット風俗、ネットいじめといったオンラインを題材としながら、本当の人間関係とは、ということを描く群像劇。

ネットの危険性を訴えるというよりは、親子関係、夫婦関係、恋愛関係といった繋がりの途切れた関係の修復、或いは繋がろうとして思い知らされる欺瞞を描きます。そして繋がりを求めた先での裏切りやすれ違い等を通し、リアルでの繋がりの痛みとそれ故の大切さが繰り広げられます。とても身近なテーマなだけに己を省みて最初はちょっと嫌な感じだけど、だからこそ観入ってしまうし、かすかにリンクする3つの物語がラストに向けて加速していくスリルに震えつつ、やるせない余韻に色々と泣けます。

ポーラ・パットンが相変わらず魅力的。『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』の敵役でポーラとも共演したミカエル・ニクヴィストのネット詐欺容疑者、『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』クロスボーンズ役のフランク・グリロもハマってます。そんな中でも子供たちがとてもイイんだよねえ。映像的にもチャットやSNSの見せ方などなかなか凝ってます。

ネットリテラシーは必要だけど、それ以前に必要なものはなんだ?というのを実例として挙げてるわけですが、そこには人の隠し持つ寂しさ、繋がりへの希求というものが魂の叫びとして立ち上がってきます。寂しさから繋がろうとする、逆に繋がったから寂しさを覚える。そんな様々な繋がりがクロスオーバーする構成は見応えがあります。とても良かった。原題が『Disconnect』なのでわざわざ邦題に「/」って付けなくても、と思ってたけど、観終わった後だと「繋がる/繋がらない」というニュアンスを上手く表してて、なかなかいいアレンジだなと思いました。

以下、ネタバレ含む。








それぞれのエピソードごとに見てみます。

1.ボイド親子とディクソン親子
想像力に欠けるが故の子供の残酷さというのは今も昔も変わらないんでしょうが、現代では所属コミュニティに収まらない拡散をしかねないという点で、このエピソードは最も身近に起こりうる話です。自殺未遂の少年ベンはいきなり顔出しモロ出し、おまけに「あなたの奴隷」でそりゃ死にたくもなるだろうとは思いますが、自分をさらけ出したい欲望を押さえきれなかったのでしょう。それだけ人との関係に飢えていたんでしょうね。そんな息子の心を理解している気でいた父リッチは調べるうちに息子のことを何も知らないことに気付くわけですが、身綺麗にしていた彼が髭も剃らずに、SNSの向こうにいる見知らぬ人物に心情を吐露したり、息子の作った曲を聴いたりする。その一連の映像が失われたものを必死に掴もうとしているようで物悲しいです。娘の言うように罪悪感を軽くしたい思いがあったとしても、調べないではいられなかったのでしょう。最後の「自分の愛する者がすべてここにある」というセリフは、父親がようやく気付いた最もシンプルな根本です。娘の方はとっくに気付いていたんでしょうけどね。他人事な友人に唾を吐きかける姿が痛快ながらも痛々しいです。

このエピソードではいじめっ子側の親子も描かれており、こちらも子供のことを理解できていなかった父親とそんな父と繋がれない息子であり、いじめっ子ジェイソンが涙ながらに訴える思いは、ベンが父親に抱いていた想いと重なります。ジェイソンは一人でメッセージを打っているときはとても真剣な表情であり、ベンにシンパシーさえ感じていたんでしょう。それを友人にからかわれて残酷な行為に走ってしまう。ジェイソンは父親が嫌いなわけではなく本当は分かり合いたいと思っていた、というのが、ベンの見舞いに行ったときに名乗った名前が父マイクのものだったことからも窺えます。一方でマイクは仕事上でもずっとフェアでルールは守る人物として描かれてきたのに、犯人が自分の息子だと分かった後は息子を守るために自分を曲げてしまう。二人の父親がぶつかり合う姿は善悪とは別次元の、息子への無条件の愛情です。そこにはやり場のない悲しさが溢れます。

2.デレック、シンディのハル夫妻
子供を失った夫婦はなかなか子宝にも恵まれず、生き甲斐をなくした旦那は戦場を懐かしむハートロッカーに、妻はチャットで寂しさを紛らわすことになります。事務仕事に追われ、ネットギャンブルにハマる夫に構ってもらえないと嘆く妻。そんな二人がネット詐欺の犯人を追ううちにそれぞれの本音を知ったり徐々に会話が増えていくようになります。財産を失い、互いの暗部を知り、その上でようやく前へ進めるようになる。壊れる寸前の関係が共通の目的を前にして持ち直すわけです。さらなる喪失をもって仲直りというのはいささか皮肉ですが、一番繋がるべき相手にまた接続できたということで、この映画の中では随分マシな結果と言えるでしょう。

3.ニーナとカイル
レポーターのニーナは18歳の青年カイルを取材する理由として「救いたい」と言っています。でもそれは「学校へ行くべき」「将来は考えるべき」という世間一般の、ひいてはニーナ自身の価値観の押し付けにすぎません。結局カイルは言いくるめられて漠然とした不安は感じたものの、救って欲しいなんて別に思ってなかったわけです。だから結果的にニーナが彼を利用していただけという形になってしまう。あとカイルがニーナのうちに泊まった晩、その夜の描写はすっ飛ばして昼間のFBI取り調べシーンに移り、特別な関係を持ってないか聞かれてニーナが「絶対ない」みたいなことを真顔で言ってて、ああこの二人ヤったなって分かるんですよ。だから「ポルノに出る若者たちを救いたい」から「カイルを救いたい」に変わってしまう。彼女は自分がコントロールしている側だと思っていたのに、カイルの一緒に住めるのかという問いに「自分でもよく分からない」だの「年も離れてるし」だの言ってることが完全に恋愛モードになってしまい、繋がってしまったばかりに飲み込まれてしまう。ラストの車中泣きながら運転するニーナは果たして自分の偽善に気付いたかどうか。やるせないですね。


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