2014
06.05

誰もが持ち得る真の能力。『X-MEN:フューチャー&パスト』感想。

xmen_daysoffuturepast
X-Men: Days of Future Past / 2014年 アメリカ / 監督;ブライアン・シンガー

あらすじ
バック・トゥ・ザ・良いフューチャー。



人類はミュータント殺戮マシン「センチネル」によりミュータントを絶滅の危機へ追い込んでいた。ミュータントの指導者プロフェッサーXは、センチネル配備のきっかけとなった事件を阻止するべく過去の世界へウルヴァリンを送り込む。『X-MEN』3部作(X1、X2、X3)、X-MEN誕生を描いた『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(FC)、ウルヴァリンのスピンオフ2本(ZERO、SAMURAI)を経て放たれる『X-MEN』シリーズ最新作。ハッキリ言ってこれは『X-MEN』シリーズ集大成です。

『X-MEN』は監督ブライアン・シンガーがアメコミ映画としてそれまでになかった機軸で完成させたものでした。アメコミ世界のイメージを壊さずにリアル世界に適用させた多彩なキャラクター、ビッグ・バジェットにふさわしいパワフルな物語、登場人物に血肉を与えて魅力を倍増させる役者陣、そしてチーム戦としての魅力。そこには虐げられるマイノリティというテーマが込められていたことは明白です。またミュータントという異質な存在とそれを畏れる人類、人類に対して共存か支配かで二分するミュータント同志という二つの戦いがあり、キューバ危機という歴史上の事件にまで影響を及ぼしました。チャールズとエリックの二人から始まった物語は多くのミュータントたちのドラマを描き、ウルヴァリンというアウトローがそこに絡んで世界観を広げていきました。

今作では現在を救うため過去へと戻るというタイムトラベル的要素、ポリティカルサスペンスとしての緊張感、ミュータントたちの壮絶な戦いという幾多のエンターテインメント要素、そして若さ故の暴走と老い故の達観のせめぎ合い、互いを想うからこそ道を違える友情の形、未知の者への恐れから来る破滅といったあらゆるドラマが詰まっています。しかも過去作から前作まで多くの人物が再登場し、まさにオールスターキャスト。そして過去のシリーズ6作を通して描かれてきた「すべて」を繋ぎ、不整合や歪みを正し、あらゆる事柄を収束して見せるのです。結果、ここまで泣けた『X-MEN』は初めて。今までシリーズを追ってきた人ほどそうではないでしょうか。

だから、出来れば過去作は全て観てからのほうが望ましいです。一応『FC』くらいを観てれば話は分かるでしょうが、全部観た上での感動を分かち合いたい!と思わせてくれる。それくらい心震えます。

↓以下、ネタバレ含む。








ウルヴァリンことローガンは「心を穏やかに」と言われているためか、今回はアクション的にはいまいち活躍が少ないです。ただし、仲間集めに奔走したり、若きチャールズを諭したりと、その分話を引っ張るのが彼。過去と未来、人類とミュータントを繋ぐことに腐心する姿は、初期のローガンからは考えにくいほど成長しています。また、過去へ戻るのがローガンである理由を「精神が傷付いても回復できるから」と言っていますが、最もその活躍を観てきたからこそ知っている、多くを失ったローガンの心の傷は実際は大きい。これが癒されるというのが感動的(だからウルヴァリンのスピンオフも、観てなくても話は通じるかもしれないけど観てればさらに感動的なんですよ)。相変わらず悪夢を見ると寝ながら爪出して暴れるとか困ったところはありますが、大サービスで尻は見せてくれるし、金属探知機に引っ掛からずちょっと嬉しそうなのがカワイイので良しとしましょう。

そんなウルヴァリンは言うに及ばず、登場人物は過去作から前作まで大挙出演、さらに新キャラも大活躍という点でも集大成。新キャラではブリンクのテレポート表現は面白いですね。あれがこうなってそれでこうなって、アレ?みたいな。あれは空間把握能力がないと使いこなせないですよ。演じるファン・ビンビンは中国向け『アイアンマン3』にも出てたはずですがなぜかX-MENメンバーに。他にもビショップ、サンスポット(ヒューマン・トーチかと思った)、ウォーパス(『ジェヴォーダンの獣』かと思った)らが活躍。また前3部作からは重要な役割でキティ・ブライド、演じるエレン・ペイジがやけに儚げでたまらんです。キティの能力は物体をすり抜けることですが、その透過能力を発展させた結果がタイムトラベル能力のようです。他にはキティの彼氏アイスマン、固い人コロッサス、そしてお馴染みストームらが、ディストピア感溢れる絶望的な戦いに身を投じます。このときのセンチネルの絶対勝てない感は凄まじい。ミスティークの変身能力だけではなく『X2』のレディ・デスストライクの爪能力なんかも入ってますね。対して過去世界のセンチネルはそのメカメカしさや重火器、飛行能力がロボット好きの琴線に触れまくります。

その過去世界ではまずは体術が素晴らしすぎるレイヴンことミスティーク、顔がジェニファー・ローレンスだとよく分かる造形ですね。体のラインがエロいです。そんなエロいレイヴンにホの字のビーストことハンク、やさ男ぶりと毛もじゃのギャップだけでなく暴れっぷりもなかなか。最初の登場シーンでは「あれ?毛は?」ってなりますが、これがチャールズの能力消失に繋がる上にニコラス・ホルトの顔も出せるというのが上手い。他にもカメオ的出演ながら一発かますハボックや、懐かしのトードまで(レイ・パークじゃないのはちょっと残念ですが)。そして奴ですよ。クイックシルバー!最高!!あの高速具合をスローモーションで表現するシーンは痛快かつエキサイティングで本作屈指の名シーン。調子こいた若造ぶりやそのスタイルも能力にマッチしてて抜群です。クイックシルバーは同じキャラが『アベンジャーズ』続編にも出る予定ですが、まさかのMCUへのハードル上げとなりましたね。

そしてチャールズとエリックです。かつての同志でありながら方向性の違いにより道を違えプロフェッサーXとマグニートーとなった二人が、未来世界のミュータント絶滅の危機に二人そろって登場するこの感動。センチネルに攻め込まれ最後にガッチリ握手する二人に、長い年月を経たからこその友情を見て泣きます。パトリック・スチュアート、イアン・マッケランの二人の名優が醸す安心感もイイ。対する過去のチャールズとエリックは『FC』に続きジェームズ・マカヴォイとマイケル・ファスベンダー。彼らはラブラブの後別れた経緯があるもんだから痴話喧嘩で大変。チャールズはエリックに向かって「僕を捨てた!」ってハッキリ言いますからね。「なんなの!ひどいじゃない!」と(そこまでは言ってない)。声が聞こえる~薬をくれ~というマカヴォイがどう見てもヤク中のクズに見えてしまうところに彼のキャリアが垣間見えます。というかハンクが作るべき薬は安定剤よりも毛生え薬だったんじゃないだろうか……その前にマグニートーメットを被れば声は防げたのでは……イヤ、なんでもないです。エリックについてはその能力を活かしたアイデアが詰まってますね。スタジアムを飛ばすという発想がスゴくてまるで『ID4』だし、センチネルに鉄分這わせて操るというのも緻密にしてパワフル。エレベーター内で瞬時に着替えたクイックシルバーに対する二度見の仕方も見事(能力関係ない)。ところでメットを取りに行った際に金属の玉を二つ手のひらの上でクルクルさせるのはあれ狙ってるんですか?考えすぎか……。ちなみにエリックならではの「撃った銃弾を曲げる」という荒業、あれ?これ以前はチャールズがやってなかったっけ?と思いましたが、それは違う映画でしたね(『ウォンテッド』です)。

未来のチャールズとエリックが懸念した通り過去の二人はまあ大変です。どう大変かをハッキリ言わずに後はウルヴァリン頼みっていうのがヒドいですが、自分のことだし言いにくいよねー。でもそこはプロフェッサーX、老チャールズが若チャールズに説く「我々の最大の能力、それは希望だ」には泣きが入ります。そしてラストでローガンの「1973年以降の歴史を知りたい」という言葉にプロフェッサーがハッとするシーン、あそこで全力泣きです。「ゆっくり語り合おう」というセリフに前作までの長い歴史を思い、観てるこちらも語ることが山ほどあることを思って泣くんですよ。もうこの一連のシーンは泣きっぱなしですね。ローガンが過去に戻ったのと同じような状態で目覚めるも、そこでドアの外から聞こえてくる始業ベル。廊下にはたくさんの生徒たち。気さくに声をかけてくるビースト(しかも『X3』の!)。『SAMURAI』でその幻影に苦しんだジーン。みんながいる。なんとスコットまでいる(感涙)!アザゼル、エンジェル、エマ・フロスト、バンシーが死亡していたというのはツラかったですが、この世界なら彼らもどこかで生きているかもしれないわけです。泣かずにはいられないですよ。そして皆がやるべきことをやり遂げた、その結果として在るのがこの世界だというのがとても気持ちがイイ。

あえて不満点を言うと、プロフェッサーが生き返った経緯がいまいち不明とか、ローグの出番が一瞬すぎるとか、老マグニートーがちょっと覇気がなくね?とか、ストームが地味すぎね?とか、違う時間線にちゃんと戻ってこれるんだろうかとかね、まあなくはないですけど、そんなことはもういいんです。シリーズ好きへのご褒美としてこれ以上のものはないですから。それに前3部作の続編としても『FC』の続編としても見事な着地を見せ、しかも問題の多かった『X3』をなかったかのようにうまくリセットしたためにリブートしなくても新しく始めることも出来るし、この時間軸の50年間の空白を語ることも出来るという、シリーズものとして前例のない終わり方で次に繋げたのも素晴らしい。しかもエンドロール後の衝撃映像ですよ。今作は集大成ではあるけれど、終わりどころか通過点なわけです。本作で監督に戻ってきたブライアン・シンガーには最大級の賛辞を送りたいです。


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