2014
05.03

人生とは苦味と旨み、だからビール飲もうぜ!『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』感想。

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The World's End / 2013年 イギリス / 監督:エドガー・ライト

あらすじ
WTF!



学生時代の5人の仲間が20年ぶりに集まり、故郷で12軒のパブを巡るなかでとんでもない事態に巻き込まれる。監督エドガー・ライト、主演サイモン・ペッグ、ニック・フロストということで、『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』に連なるシリーズの完結編に当たります。

その2作を観た人ならお馴染みの面子と笑いに「なるほどシリーズだな」というのは実感できるでしょう(別に観てなくても問題ないです)。これらは作風から「ブラッド・アンド・アイスクリーム」3部作と言われてるそうですが納得。「ワールズ・エンド」はパブ巡り最後である12件目の店名です。このタイトルが、シリーズのラストであり、飲み歩きの終点であり、文字通り「世界の終り」でもあるという多重的な意味を持っているのがなんともイイです。

学生時代に果たせなかったパブ12軒巡りに、久々に集まった(というか集められた)おっさんたちが再度挑むことになります。要するにビールを飲みに行く話です。これだけで「なんて素敵な話なんだ!」とビール好きにはたまりませんが、そんなすんなり進むわけもなく、それどころか予想もしない展開となり笑わせてくれます。しかもジャッキー映画ばりのアクションシーンもスゴい。話の中心はサイモン・ペッグだけど、全てにブチキレてからのニック・フロストがまるでサモ=ハンみたいなんですよ、最高!あと『シャーロック』や『ホビット』で今をときめくはずのマーティン・フリーマンの扱いがヒドいです、最高。スティーブン役のパディ・コンシダインがパンクブーブーに見えるのと、『アウトロー』でも思ったけどヒロインのロザムンド・パイクがいつもビックリしたような顔なのが気になります。イヤいいんだけど。あとピアース・ブロスナンが渋いです。

笑えるしアクションも楽しいですが、全体的なテイストは思ったよりも苦いです。そこにあるのは若い頃の自由を失った大人たちの人生の苦味。そこからアルコールの勢いで爆発する旨みが勢いよく押し寄せるという感じでしょうか。つまり、まさにビールのような映画なわけです。カタルシスにはちょっと欠けるけど、大人の自由にはどこか苦味があるものさ、ということで収まる形としては良いですね。酔っぱらいの理屈はめんどくさいという話でもありますが。

で、予想通りビールが旨そうで、飲まずに観るのがなかなかツラいな!昔の仲間と飲みたくなります。

↓以下、ネタバレ含む。








サーバからプシャー!x4+水、の重ねが好きだなあ。故障中の札の使い方や指輪の回収といったちょっとした伏線の使い方も上手いですね。あと「WTF」は「What the fuck」ですね。覚えた!

何だかんだ言いながら皆が集まったのは、母親死去の嘘はあるにしろノスタルジーもあったでしょう。そりゃ12パイントも飲もうなんて計画の実行は記憶に刻まれるでしょうからね。ただ、特にあの夜から止まってしまったゲイリー、ゲイリーを想いつつも袂を分かったアンディについては、単なるノスタルジーだけではないのでしょう。自由を満喫しているように見せてアル中、大人になれと諭しながらも幸福を感じられない日常。意識はせずとも「あの頃のように輝きたい」という願いはあったでしょう。でも(ゲイリー以外は)いい大人なのでそれを表に出すことは普段はしないわけです。

酒の力は良くも悪くもそんな虚飾を取っ払ってしまうことですね。そして勢いが付く。アンディが「こんな街大嫌いだ」と叫んで暴れ出すのも、スティーブンが若い愛人を捨ててサムへの想いを告げるのも、ピーターが昔のいじめっ子ブチのめすのも、もう宇宙人関係ないんですよ。逃げたり戦ったりはするけど、ロボの名前を延々と考えるのと同じレベルでの単なる酔った勢いなんですよ。今までため込んでたものが酔って爆発しちゃうんですね。悪酔いです。しかし元々勢いだけだったゲイリーのみ最後までブレることなくワールズ・エンドを目指し、結果的に宇宙人は言い負かされます(と言うかめんどくさくなって帰っちゃう)。だから迷惑ばかりのイタい奴であってもやはり主人公はゲイリーなのです。

オリヴァーはいつすり替わったのか?とかちょっと引っかかる点もなくはないですけどね。一番は「宇宙人は去ったけど実際は世界を救ってないんじゃないか」ということ。しかしブランク(ロボ)たちを従え、酒も断ち、生き生きと銃を構えるゲイリーは、少なくとも解放されたようです。ということは「酔っ払いが世界を救う」という邦題が違っているわけで、正しくは「酔っ払いが自分を救う」話なわけですね。アンディもスティーブンもいい感じの状態に変わることが出来たようだし。ピーターとオリヴァーは結局失われたようで残念ですが。

残念と言えば、ワールズ・エンドで最後の1杯を飲めなかったのも残念です。つまり12件のパブを巡ってビールを飲むという計画はまた失敗したわけなんですよ。しかし、それは生き残った彼らがまた集まる口実にもなるな、と思うとちょっといい感じだとも思うのです。


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