2014
04.27

本当のヒーローがそこにいる。『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』感想。

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Captain America: The Winter Soldier / 2014年 アメリカ / 監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ

あらすじ
左から失礼!



『アベンジャーズ』でヒーローたちを見事にまとめ上げ地球を救った、キャップことキャプテン・アメリカ。あれから2年、諜報機関S.H.I.E.L.D.を取り巻く危機に我らがキャップが立ち向かう、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の超重要作。これは素晴らしい!語るべき切り口は実に多いですが、結果から言ってしまいましょう。これは最高のアクション映画であり、最高のヒーロー映画です。そして見事な続編であり、かつ『アベンジャーズ1.5』でもあるのです。

とにかくアクションの見せ方がハイレベルかつバラエティ豊か。格闘戦、銃撃戦、カーチェイスに果ては空中戦まで。もちろんキャップと言えばヴィヴラニウム製の盾!この盾が最大限に活用されるのも見どころです。ストーリーは今までのMCU作品とは毛色の異なるポリティカル・サスペンス。これがキャップの立ち位置やS.H.I.E.L.D.の性質と相性バッチリ。今までに多くの作品で築き上げられ、観る側も馴染んでいるMCUの世界を、まさかここまでアレするとは驚き。しかしそれでもキャップはブレない。それがカッコいいのです。またサブタイトルにもあるウィンター・ソルジャー、その悲哀に満ちた存在感も抜群。

アベンジャーズからはお馴染みニック・フューリー、ブラック・ウィドウがこれまでにない活躍。また新たに仲間になるファルコンがいいですねー。同じ飛ぶのでもアイアンマンは鋭角さを感じるけど、ファルコンは滑らかというか、シルエットの美しさを感じます。ちなみにソーは直線な。超イイやつなので鳥人間コンテストとか言わないでください。シルエットの美しさは全編通して感じられますね。盾をキャッチしたときのウィンター・ソルジャーとか、キャップとマリア・ヒルが横顔並べたショットとか。アクションが映えるのもフォームがキレイだというのがあるでしょう。エンディングもそれが強調された白と黒の映像でカッコイイです。

もちろんエンドタイトル、エンドロール後にも映像あり。もはやおまけ映像とは呼べないほどの昂ぶりです。とは言えそれも本編の素晴らしさがあってこそ。前作から監督が代わると聞いたときは若干不安だったけど、ルッソ兄弟はとんでもないものを作ってくれました。これは観るたびに好きになっていくタイプの作品ですね。最大級の賛辞を送りたい!

↓以下、ネタバレ含む。








えー、簡潔にまとめられず長くなってしまいました……なのでアクション、キャラクター、ストーリーに分けて述べます。

◆アクション

キャップは超人ソルジャーではありますが特殊能力はないため、その戦いは地味だと思われがち。そりゃアイアンマンやソーに比べたら派手さは劣るものの、今作はそれを逆手に取ってリアル格闘系アクションに仕上げています。肉弾戦+銃撃戦は素早くパワフルで、過去の幾多の名作アクションを凌駕するほど。『ヒート』や『ザ・レイド』にインスパイアされてるようですが、取り込み方がハンパなく上手いです。さりげなくガン=カタまで入ってるし。

キャップは狭い通路や敵に囲まれた場所もパルクールのように動き、そして必殺の盾攻撃。盾の使い方もバリエーションに富み、防ぐ、投げて当てる、投げて反射して当てる、突き刺す、落下時は下にしてクッション代わりにする(なってない気がするが)、とあらゆる攻防に大活躍。さらに盾に頼らなくても魅せてくれるハイレベルな格闘戦。そしてエレベーター内での多対1のアクション。これ、敵が3回に分けて乗り込んでくるのが「こいつらひょっとして?」というサスペンス的にも「まだ増えるの?」というアクションへの期待的にもイイんですよ。近年では『新しき世界』などのエレベーターアクションも記憶に新しいですが、キャップだからこそ成り立つ強力磁石や電撃ビリビリなどのギミックを相手にしたり、キメに盾を蹴って腕に装着するシーンのカッコよさには声が漏れるし、さらにそこからの流れるような敵増援・落下・逃亡、グリグリ動きながらの戦闘機との攻防も見事。

ファルコンは滑空する様が美しいのと、羽を出したり閉まったりする柔軟性、そして翼付きのジェットパックがあるとはいえほぼ生身で戦闘機と渡り合うという勇敢さが魅力。ヘリキャリア周囲の空中戦はスリリングでありながら楽しいです。フューリーのカーチェイスは追う追われるのスリルに加え、AIを駆使した防弾専用車の使い方ですね。運転をオートにすることで一人で戦闘もこなせます。空も飛べるようですが故障してたのは残念。エアコンだけは常に快適というのがポイント高いです。まあウィンター・ソルジャーには適いませんでしたが。そのウインター・ソルジャーはキャップに負けない強さもさることながら、左腕の攻撃・防御の使い分けもスゴい。

3機のヘリキャリア戦はクライマックスらしくド迫力ですね。巨大なヘリキャリアへの潜入というマクロな画と基盤の交換というミクロな画が交錯することで厚みが出てます。つーかプールが割れてヘリキャリア登場とか某Zみたいでたまりませんな!圧巻の撃沈シーンは正直ピアースと同じく「もったいない」って思っちゃいましたよ。

と、これだけ語ってもまだまだ見どころがあるというアクションの重厚さには圧倒されます。それに結構カット割してるのに何をしてるかが不思議と分かるんですよ。派手なだけではない、工夫とセンス、技術と体術の素晴らしい融合がこのアクションを生み出しているのです。


◆キャラクター

各キャラの描き方に深みがあって良いのですよ。船をグルッと回り込んでからキャップにくる見事なカメラワークで始まる最初の船奪還作戦で、縦横無尽な戦いぶりでキャップの超人兵士としての身体能力を表現し、さらにビルドアップされたクリス・エヴァンスの肉体がその強さに説得力を与えているんですね。あとスミソニアン博物館の自分のコーナー(冒頭でナターシャが言った冗談が本当だった……)にやって来たキャップに気付いた少年を見て、そっと口に人差し指を当てる姿とかスマート!(そういや博物館にはいつもの某氏も登場してくれますね)

そんなキャップとナターシャの大人のやり取りがまた抜群にいい。長くスパイとして活動してきたナターシャと孤独になってしまったキャップとの、お互いをプロとして、そして仲間として信頼するに至るプロセスが、短い言葉のやり取りで深まっていく過程がハードボイルドです。あとナターシャがことあるごとにキャップに「あの娘どう?」「あの娘に声かけたら?」と見合いババアのように女の子をしつこく勧めてくる、しかも作戦の遂行中に、というのが楽しいです。90歳超のチェリーであるキャップを一皮むかせようという余計なお世話がイイですね。追っ手をごまかすためキスをするのに「キスしてれば皆目をそらす」と言いますが、これは理にかなっているような逆に目立つような……。

ファルコンことサム・ウィルソンがなぜあんなに協力的かと言うのも、任務中に相棒を失うというキャップ同様の過去を背負っていること、既に退役しているからしがらみがないこと、退役軍人のカウンセラーをしていることからも人々を助けたいという思いが強いこと、といつの間にか観ている側が納得するような描写を重ねてくるので不自然さがないですね。それでいて「飯とか食べるタイプなら」とか言っちゃうユーモアもあって、愛されるキャラになることに成功しています。と言うか冒頭のマラソンシーンでもうバディ感出ちゃってますからね。マラソンシーンと言えば前作のテーマ曲スゴく良かったのにそのシーンでしか使われなかったのは残念。

フューリーは現実的でキャップと少し衝突気味というのも面白いです。目指す先は同じなのに集約しようとするキャップと分割しようとするフューリーとかね。トレードマークだった眼帯を遂に外してしまったのは残念な気もしますが、今までのフューリーとは違うという視覚的な効果として今後活きてくるのでしょう。ところでフューリーの生還は予想が付いたけど、ブラック・ウィドウが安全管理委員会のおばさまに化けてたのはウヒョーって驚きました。もうね、不二子か!

ウィンター・ソルジャーは冷徹な行動、それとは裏腹に「奴を知っていた」という混乱した表情、そして記憶は消されているのに悲しみに満ちた瞳、どれもインパクトが強くて素晴らしい。ほかにもS.T.R.I.K.E.のラムロウは今回の経緯を経てクロスボーンズとして復活するのかとか、マリア・ヒルもある意味ブレないなーとか、エージェント13の今後に期待してしまうとか、気になる人物は目白押しですね。あとラムロウに脅されても強制発進させなかった名もなき管制室の彼とか最高です。


◆ストーリー

監督が明言している通り、ストーリーはポリティカル・スリラーとなっています。かつてのスパイもののテイストを盛り込んだ政治的陰謀の物語ですね。一体誰が敵で誰が味方か。誰も信じるなと言い残して息を引き取るフューリー。ブラック・ウィドウは果たして味方なのか。そして敵の狙いは何なのか。真相はわりと早く分かりますが、それでもそのあたりのスリルも秀逸。キャプテン・アメリカという一人のヒーローの誕生を丁寧に描いた前作は第二次大戦時を舞台にしながらもどこかファンタジックな味があったんですが、今作はヒドラの台頭やゾラ博士の存在など前作の設定を活かしつつも現代の話に無理なく溶かし込んでいるから、現代劇としてのリアリティがあります。ピアース役にロバート・レッドフォードというのも一役買ってますね。前作の設定という点ではペギーがまだ生きていたというのも驚き。涙するペギーに「まだダンスも踊ってないだろ?」と返すキャップの男前さに泣けます。

そして70年経っても信じるものを疑わないキャップこそが皆の指針となっていきます。ヒーローとは何か?その問いに最も的確に答えてくれるのがキャップなのです。なんのために戦うのか、という問いはキャップの前では愚問。だからストーリーの流れはある意味真っ直ぐであり、そんなキャップだからこそ魅了されてしまう。世界は救う、でも敵であっても親友を殺すくらいなら殺された方がマシ。ボコボコに殴られ大事な盾を落としてもそんなことを言ってしまうのがたまらんです。

結果的にS.H.I.E.L.D.という組織的な支援によるヒーロー活動はできなくなってしまったわけで、これで『アベンジャーズ2』の展開は全く予想が付かなくなりました。スタークやバナーの名前もさりげなく出てくるけど今作では顔を出さないし。それでも「自分たちは必要だから」と言い放つナターシャ。それとは逆にエンドタイトル後に「スパイやヒーローはもういらない」と言い放つストラッカー、そして現実感のあった戦いから一気に今までのMCUの世界に引き戻す双子の登場。さらに最後の最後に人知れずおのれの写真を見つめるバッキー。本編でこれだけ楽しませておきながら今後へのフリも申し分なし。期待して待ちますよ!


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