2014
04.08

秩序と自由と創造性、アンド・モア!『LEGO®ムービー』感想。

the_lego_movie
The Lego Movie / 2014年 アメリカ / 監督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー

あらすじ
すべてはサイコー!



僕がレゴで遊んでたのは小学校前半くらいですかね。当時はそんなにシリーズも豊富ではなかったというのもあるんだろうけど、うちにあったのはホントにブロックだけの基本セットでした。人形もなかったです。でもそのセットで色んなものを作っては遊び倒してました。「これとこれを組み合わせたら人」とか「板の下にこの小さいのを付けたら車」とか、見た目は全然そうじゃないんだけど自分でルールを決めて遊んでたと思います。そしてそれが僕のレゴ世界でした。今思うと物凄い想像力だったと思います。今でもおもちゃ売り場でレゴを見かけるとワクワクしますね。

『LEGO®ムービー』は、そんなレゴで遊んでた大人にぜひとも観てもらいたい逸品。全てがレゴで出来た世界、そこで人や車が動きまくる、これだけで感動!炎や煙や波までがレゴ。CGなのにストップモーション・アニメのような実在感です。やたらハイテンポで、最初はそのスピーディーさにちょっと面食らうけど、ブロックを組み立てれば何でも作れるということをフルに活かした映像、レゴなのに見応えのあるアクションやカーチェイス、レゴだからできる様々な世界観の融合、レゴの特性もブチ込みまくったコメディとしての完成度、レゴ人形の可動に従って動いているだけなのに素晴らしく生き生きとしたキャラ達、そして全編通したコミカルさからは予想も出来ない泣きの展開と、とても簡単には言い表せないエンターテインメントの集合体です。DCのヒーローたちが大挙出演してるのも嬉しいですね。あとレゴブロックの裏っ側の穴、あれもちゃんと見えるのが、なんかこう「おお!」って感じです(伝わるだろうか?)。

3D字幕で観ましたが、3D効果もなかなかのもの。ただ、メガネで暗くなる3Dより2Dの方がカラフルな世界を堪能できる気がするし、画面の情報量がすごく多いので吹替も悪くないかもですね。ちなみに字幕版で声を当ててるのが、ウィトルウィウスがモーガン・フリーマン、バッド・コップがリーアム・ニーソン(なんとグッド・コップとパパ・コップも!)、おしごと大王がウィル・フェレル、宇宙飛行士ベニーが『パシフィック・リム』ニュート博士のチャーリー・デイと豪華。また、スーパーマンがチャニング・テイタム、グリーン・ランタンがジョナ・ヒルなんですよ!同監督の最高のコメディ『21ジャンプストリート』の二人だ!ランタンがね、もうね……。

これ以上は前情報なしで観るべき。とにかく素晴らしい!もちろん子供が観てもサイコー!です。ところで予告編は寒いギャグのオンパレードでかなり引きますが、実際は全く出て来ないセリフばかりなのでご安心を。

↓以下、ネタバレ含む。とか言いつつ最大のネタバレは避けてるために若干文章がヘンかも。お許しを……








もうね、冒頭の「おはようブロック・タウン!」でカメラが引いていく画でもうやられましたね。そしてそこからのハイテンションな笑いの勢いも凄まじい。ちょっと笑いどころを順不同で勢いのみで挙げてみますよ?

・コーヒーが37ドルとか高いな!
・ワイルドガールの、頭部品を回してるだけなのに髪を振る仕草に見えるのスゴいな!
・「通報しなきゃーー」でためるところとか、エメットがずーーっと落ちていくところとか長いな!
・崖から落ちる途中のスローシーンも長いけど、それよりイイ感じに語り合うエメットとワイルドガールの後ろで飛んでるウィトルウィウスじいさんがウザいな!あとウィトルウィウスって名前覚えにくいな!つーか幽霊にまでなって戻ってくるのに役に立ってないな!
・バットマンがなかなかゲスだ!そしてみんなに正体がバレている!
・スーパーマンがクリプトナイトを欲しがるほどウザいグリーン・ランタン最高!あと、海賊がタワーに乗り込んだ回想シーンで一瞬フラッシュも映ったような……?
・誰もが想像するガンダルフとダンブルドアのカブりネタをやりやがった!
・芸術家とタートルズでのミケランジェロのカブりネタまでやりやがった!
・20世紀FOXじゃないのによくスターウォーズネタできたな!しかもランド・カルリシアン大フィーチャーかよ!ちなみにC-3POの声が本家と同じアンソニー・ダニエルズだ!(感涙)
・バッド・コップ役のリーアム・ニーソンは「ああ、あの声だ」って分かるけど、同じ顔してグッド・コップの声もやってるのかと思うと、なんつーか萌えるものがあるな!
・船が走る音とかビルのてっぺんが飛ぶ音が人の声だよ。『風立ちぬ』か!(でもこれは理由があるんだけど)
・8と2分の1年後とか2時間後とか10分後とか時間の表示がバラエティ豊か!(この8年という年月は、ひょっとしてそういうことかな……?)

小ネタはまだまだ山ほどあるんだけど、とても多すぎて挙げきれません。とにかくレゴだからこそ出来るネタってのはこれでもかとやってくれます。またマスタービルダーとかロード・ビジネス(おしごと大王)といった呼称もイイですね。絆創膏や電池やボンドという実在アイテムが顔を出すのもおもちゃ世界のあるあるっぽいです(しかも伏線にもなってる)。

レゴだからこそ出来るというのが、小ネタに限らず本編でも重要なファクターになっています。主人公のエメットたちは、レゴなら「何でも作れる」ということを文字通り作って見せることでピンチを切り抜けていきます。想像力が創造性となり、無限の可能性を表しているんですね。それはレゴなどのブロックのまさに本質。そんな想像力の象徴がエメットの二段ソファです。バカだ頭空っぽだと散々言われていた(ひでーな)エメットのアイデアが、みんなを救う重要アイテムとなるわけですね。

そんなエメットはマニュアル人間。マニュアルがないと落ち着かず、何も出来ない。そしてマスタービルダーたちからはブーイングの嵐です。何の特徴もなく、仕事仲間からも空気扱い。しかしそんなマニュアル通りで社会の一歯車であることを、この作品では決して否定していません。決められたことはキッチリやる、それが強みであると説いているのです。選ばれた者なんかでなくても、例え秩序通りの歯車であっても、存在理由はあると。ここは同時期公開の『LIFE!』にも通じるところがあります。ところがそれだけでなく、それでも自由な発想はしていいんだ、とまで示しているんですよ。自由奔放なクリエイティブさえも否定しない。それもまたレゴの本質です。その象徴が「奇跡のブロック」であり、アレの正体を知ったときその意味するところに気付いて納得してしまう。この相反する二つの視点を同時に描いているのがスゴい。宇宙飛行士ベニーがスペースシップ!スペースシップ!とうるさいですが、指示通り作った宇宙船は潜入作戦で重要な役割を果たし、好きなように大喜びで作った宇宙船は終盤では大きな力となる。どちらも大活躍してるわけで、ここからも秩序と自由は二律背反ではないと言っているように思えます。余談ですがあの宇宙船で使うようなベーシックな部品たちがなんとも懐かしいです。

一方のおしごと大王は悪役として登場するけども、主人公たちを苦しめる悪役と言うものは主人公に匹敵する大物でなければならない。おしごと大王はそういう大きな存在なんですね。でも実は悪人と見なされているわけではないと言うか、「悪人じゃなくていいのに」という願いがこめられている。これはおしごと大王への愛情の裏返しです。だって「世界で一番スゴい人だ」って言ってるわけで、これは尊敬の念と好意がなければ出て来ないセリフです。しかもこのセリフをエメットに言わせるというのがまたイイ。他者を介して主張する、虚構を通して真実を明らかにするということをやってのけている。これもまた創作そのものの本質に迫る部分ではないでしょうか。

そしておしごと大王はキッチリと作り上げられた「作品」にこだわる男でありながら、マニュアルの先にある想像力を羽ばたかせて作ったものに対しても目を止める。型にはまった「作品」でなくても受け入れる度量があるという点は、大王が尊敬に値することの説得力にもなります。また、何よりそこには作ったものを受け継いで進化させるという「継承」の美しさがあって、そこにグッと来るのです。だからこれは決して対立の話ではないわけです。

振り返ると、雲の上の王国は他のエリアよりさらに無秩序というか、より自由奔放な感じなので、ここはひょっとしたら専用スペースだったのかな?ユニキャットなんてまさにそんな感じ。アメコミヒーローやスターウォーズが出てくるのも幼さゆえかもしれません。でも専用スペースだけでは物足りなくなり、そこから他の世界へ飛び出す。8と2分の1年の歳月は秩序の中に新たな風を吹き込み、同時に何者でもなかった者が自己を確立していく。これはつまり「成長」です。スゴいのは、ラストにさらに成長の余地を残した者が登場すること。今以上の秩序の崩壊と自由な気風を目いっぱい予感させて、物語は幕を閉じます。こうして美しき「継承」はさらに枝を広げ、未来へと続いていくのです。

長々と述べましたが、こうしてみると「想像力と創造性」「秩序と自由」「受け継がれるもの」「成長物語」と、物凄い多層的な構造を持っていて驚きです。ついでに、観るとレゴが欲しくなるという点で販促としても成功しているというね!これはもう惜しみない賛辞を送りたい作品です。


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