2014
03.25

漆黒の闇が輝きを取り戻すまで。『ロボコップ(2014)』感想。

robocop2014
RoboCop / 2014年 アメリカ / 監督:ジョゼ・パジーリャ

あらすじ
デデレデーデー、デデレデー♪(メインテーマ)



1987年のポール・バーホーベン監督作のリブート。オリジナルは27年前ですがいまだに根強いファンも多く、かくいう僕も大好きな一本。だからこのリブートが賛否両論になるのはまあしょうがないでしょうね。

でもね、イイですよこれは。そもそも「無敵ロボが悪人をガンガン殺す」はバーホーベンだからこそ面白かったわけで、それをわざわざリブートするからには旧作と同じものを作ってもしょうがないわけです。その点、徹底して人間と機械の境界を描く視点がブレないし、どこまでが人と呼べるのかを視覚的にも容赦なく見せるのは凄まじい。少し先の技術なら可能かもと思わせるリアルがあります。

アクションも良かったです。冒頭の緊張感漂うシーンからイイし、片手で撃ちながらバイクを駆る姿とか超カッコいい。ボディを黒にしたことで暗闇に光る赤ラインが映えてイカすし、銀と黒のカラー変化にも意味がある。バイザーがガシャンって下がるのは『トランスフォーマー』でオプティマスの口元がシャキンって閉まるのと同じタマラなさ。

主演のジョエル・キナマンは虚ろな表情がロボっぽいですね。そして結構壊れます、ロボコップ。そのせいで無敵感は減ったものの、でもボロボロになりながらも戦うってのがまたイイんですよ。動きが速すぎるという意見もあるかもしれないけど、既に二足歩行のロボットが走り回る世界なのでスピード感は必要です。相棒のルイスは旧作のアンから男性に変更されちゃったけど、ドスドス言う足音とかED-209が転んで足をジタバタするとか、旧作への目配せも忘れず。あのメインテーマが流れるとやはり興奮します。あと最初のMGMロゴでのライオンの鳴き声とサミュエルの声がリンクするセンスが素晴らしい(笑った)。

ただ、リアルに寄せちゃったせいで爽快感が薄れたのも事実なんですけどね。

↓以下、ネタバレ含む。








悪人というより金儲け優先故の暴走だから、そいつらを倒してもカタルシスが少ないのです。マイケル・キートンの社長なんてIT業界とかにすごくいそうだし、ゲイリー・オールドマンの博士もね、上に無理難題言われてやらざるを得ない被雇用者の悲しみがありますね。でも倫理を問われる職業でやっちゃいけないことを散々やってるからあまり同情はできないんだけど。『エリジウム』みたいなスーツまで着て頑張るロールシャッハことマトックスがもっと弾けたワルだったらなあとも思うけど、彼もまた被雇用者だし。マーフィもヒーローというよりあくまで一警察官で一父親です。オムニ社はマーフィとしては敵なんだけど、社長たちにとってはあくまで製品だからか、その温度差がパッとしない感じに繋がってる気もします。なので勧善懲悪、ヒーローvs悪の構図が今一つ際立たない。

ただジョゼ・パジーリャ監督が描きたかったのはロボコップの活躍そのものというよりは、人の機械化がもたらす悲劇と、正義の名の元に武装化する世界の危うさなんでしょう。あまり好きには作れなかった印象だけど、そういう意味ではロボコップという存在自体が却って縛りになったのかもしれません。

それでも中核となるものは描けてるんじゃないでしょうか。冒頭からアメリカ本土ではなく中東でロボットが人間を蹂躙する姿が描かれて「こうなるぞ」という未来を示しており、それでもアメリカに導入するにはどうするか、人間と機械を合体させればいいんじゃね?という人気取りのために作られるロボコップ。最初から記憶があることによる苦悩、自意識があることによる現実のおぞましさ。「何も残ってないじゃないか」と言う悲痛な叫び。それも「調整」や「仕様変更」により徐々に人間性が失われていく。ロボ部隊との戦いでは「ソフトウェアの判断を自分の判断のように思わせて反応速度を上げる」というえげつない処置まで施されます(しかもここは本来非常にアガるシーンなのに、バックで博士がそんなカラクリを話すのが興奮を抑えてしまう)。まさに悲劇です。しかも機械の体を同調させるまでに上映時間の半分を費やしてるんですね。

では人間と機械、その境界線はどこなのか。言うまでもなく奥さんと子供に対する愛情、そして人間であろうとする意思、つまりソフトウェアに制御されない思考と感情です。それを最も視覚的に表したのが右手でしょう。握手をどちらの手でするのかという意思表示の右手。全身ロボ化した体で奥さんを抱き締めるとき、そっと温もりを伝える右手。ラストに社長を撃つことが出来たのも精神論ではなく、物理的に人間のハードウェアである右手だから意思を伝えられたと考えるべきなんでしょうね。

そんなロボコップの悲劇とは裏腹に、最後まで強きアメリカを訴えるサミュエル・L・ジャクソン演じるノヴァク。しかし彼の推すオムニ社の闇は白日の下にさらされます。まるでロボコップのボディカラーが、光を吸収する闇のような黒から、光を映して輝くシルバーへと戻ったように。だからノヴァクが声高にアメリカ万歳を叫ぶほど、そのプロパガンダは強烈な皮肉として聞こえてきます。


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