2014
03.23

栄光と転落に見る家族の姿。『ラヴレース』感想。

Lovelace
Lovelace / 2013年 アメリカ / 監督:ロバート・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン

あらすじ
あたしリンダ。特技は(以下略)



1972年のポルノ映画『ディープ・スロート』で一世を風靡した女優リンダ・ラヴレースの半生を描きます。と言ってもその作品自体はさすがに観たことはないし、リンダ・ラヴレースの名前もこれを観るまでは知りませんでした。とりあえずエロい映画らしいというのはタイトルからも明らかですが、主演女優がスターになるほどのポルノってどんなんだろう、というのは気になります(本編観る限り面白そうには見えないけど)。まあそれを知らなくても特に問題はないです。

悪い男に引っ掛かって転落、かと思いきやポルノスターとして超有名人になったリンダ。しかしその光の裏には凄惨な闇が隠されていた、という話です。リンダを演じるのはアマンダ・セイフライド。彼女の輝くような笑顔、それとは全く対称的な囚われの表情、その後の決意の眼差し、といった使い分けがイイです。実在のリンダにはあまり似てなさそうですが、そばかすのある田舎の美少女が戸惑い、傷付き、決意を表す様を体当たり演技で魅せてくれます。ポルノ女優役ということでそっちの期待をする人も多いでしょうが、そこまでエグいエロシーンは実はそれほどありません。あ、ちなみに乳は出します。アマンダは大変美乳でございました。

リンダの両親役が良いです。必死で自制しながらテレビのインタビューを観る姿などはいたたまれません。涙をためて娘と電話する父親役のロバート・パトリックは、もはや『ターミネーター2』のT-1000のイメージに縛られない心揺るがす演技。母親役はどこかで見たような気がしてたんだけど、エンドロールで名前を見てようやく気付きました。まさかあれがシャロン・ストーンだとは!リンダの旦那役のピーター・サースガードの粋がった小物ぶりも良いです。

↓以下、ネタバレ含む。








ポルノ映画出演は果たしてリンダの本意なのか?ひょっとして旦那に騙されての出演なんじゃないか?と思うんだけど、どうやらそうではないというのが観てるうちに分かります。でも彼女の真意がどうにも図りきれないまま話は進み、満員の観客の前でステージに立ち華やかな笑顔を振りまきます。ステージ上で逆光で白いドレスから体が透けるシーンは美しいですね。そしてパーティで皆から称賛を浴び、ジェームズ・フランコ演じる有名プロデューサーとも知り合い、まさにこの世の春を謳歌するような光溢れる時間が続きます。

しかしそんなスターとしての光を描いた後ですよ。あるシーンを境に時間が遡り、ここから裏で行われていたえげつない事実が明らかになって実際は光どころか暗黒だったことが分かります。それが旦那のチャックが「愛してる」と言いリンダが無表情の顔で見返すシーンですね。その前にも、例えばリンダがステージで賞賛を浴びているときとか、ギャラの話で自分は相手にされていないとか、チャックが苦々しい顔をするシーンはありましたが、リンダばかりが富と名声を受けていることに対する嫉妬かと思わせられます。しかし実はリンダは旦那の言いなりで、金も自由もなく、とんでもなく酷いことをされていたという全く違う一面が浮かび上がり、この構成が観る者を突き落とします。

じゃあそんな女性の不幸話なのかと言うとそれで終わるわけではないですね。キーになるのは母親との関係です。厳格な躾で夫の言うことを聞けと言い張ってきた母。母の教えを守って結果転落したリンダと、それを後悔の念を持って見る母。自身の辛い過去をぶちまけるシーンに母の強い思いを見るものの、それが裏目に出る皮肉。それでも最後は家族の元に戻り、母も今までと変わらない態度で迎え入れる。この親子の互いに傷付き、後悔を経て固く抱き合うラストに涙します。

リンダが逃げ出し、完全に夫婦としての家庭が崩壊した後は、もうチャックは出て来ません。後はリンダの新たな家族と、父母との和解が描かれます。つまりこの作品はポルノスターの光と影という題材をベースに、DVによって壊れる家族の姿と、元の家族の関係を取り戻す姿を描くという、意外にも家族再生の物語なのです。


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