2014
03.11

全てを許せる小柴風花の魅力!『魔女の宅急便』感想。

まじょのたっきゅうびん / 2014年 日本 / 監督:清水崇
majo_no_takkyuubin

あらすじ
あたし魔女のキキです!(とは言わない)



「なぜ?」最初に実写化の報を聞いた時の感想はこれに尽きます。宮崎駿作品の一つとしてあまりにも有名で、どう考えてもそのジブリ版と比較されるのは目に見えてるのに、なぜ今これを実写で作るのか?実写映画の底力を見せるため敢えてアニメ界の巨匠に挑むドン・キホーテなのか?しかも監督は『呪怨』の清水崇。この背景は、作品の雰囲気とは裏腹にもはやミステリーです。ただ『魔女の宅急便』はそもそも宮崎駿のオリジナルの話ではなく、原作として角野栄子の児童書があるわけで、それに忠実に作っている、らしいのでそこに答えがあるのかも……

「魔法の存在は知ってるけどそういえば最近あまり見かけないわね」という世界で、一人前の魔女になる修行のためにとある町へやってきた少女キキ。ベースラインはお馴染みのものと一緒ですが、舞台が東洋(日本とは言ってない)なんですね。役者たちは日本人キャストなので当然と言えば当然ですが、この辺りは建物や風景などの工夫で巧みにカバーしてるので思ったより違和感はなし。キキと行動を共にする黒猫のジジはCGですが、こちらもわりと自然に動き回ります。映像はリアル寄りのファンタジーという感じですね。キャラもシーンもセリフもジブリ版に媚びない作りなのは良いです。

物語を要約すると「偏見と人種差別に満ちた世界で、仕事がうまくいかず人の悪意に飲まれ自身を見失う少女が、クライアントの無茶振りに決死で挑む物語」になります。間違ってないです。演出面では、大きな屋敷のカラフルなステンドグラスにそぐわぬ不穏さや、走り去る少女の不気味さ、カラカラ回る風車の薄気味悪さ、親しげに話しかけてくる少女サキの笑顔の裏にある悪意、とんでもない高さから死のダイブをする鳥人間など、さすがホラーの名手・清水崇という恐怖表現。間違ってないです。

原作が元々そうなのか、脚本が不味いのか、演出が合わないのか。とにかく文句は山ほどあります。聞けばキキの赤いリボンは現実的じゃないという理由で外したようですが、もっと映画的脚色をすべきところは他に沢山あると思うんですけどね。

しかし!しかしですよ?そんな不満は全て帳消しにするほど、キキ役の小柴風花がとにかく魅力的!飛んだり跳ねたり元気で超キュート。なかなか跳ねっ返りのキキで、「魔女屋さん」と呼ばれて「あ゛ぁ?」ってメンチ切ったり、よろけて「おおぅ」って言ったりコミカルな面もしっかり出せるし、急なお客に緊張した笑顔、落ち込んでても気丈に振る舞う仕草、ホウキを蹴って自由自在に飛び回る姿、そのどれもがもう全てのネガティブを払拭するくらい可愛らしいです。 この娘が主人公というだけで他がどんなに不味くてもなんとか観ていられるのですよ。完全にヤラれました。彼女に会うためにまた観てもいいくらい。と言うわけで、小柴風花ちゃんを世に出すために実写化したのだな、というのが個人的な結論です。

↓以下、ネタバレ含む文句。








前半はまだ良かった気がします。風車がギコギコ鳴ってうるさい部屋で寝泊まりしろとか、おソノさんは鬼か!と思いましたが、なぜかそう思った途端風車が止まったのでまあ良いでしょう。色んな場面でラジオの音声が流れるんだけどこれはテレビを出してファンタジックさが減ることを嫌ったんですかね。いいと思います。DJの声がひょっとして、と思ったらやはりLiLiCoだったのがアレですが。トンボ役の少年はあの帽子とあのメガネがまるで戦中の日本兵のようなビジュアルなのが引っかかりますが、キキに自転車を教えるシーンなんかは良かったですね。

でもな、とにかくクライマックスの一連の流れが酷くてですね。どうしても言いたいのが「何でカバにしちゃったの?」という点ですね。あれ何百キロあるんだよ。ホウキ折れるよ。一度折れたのを金属で補強したから強いのか?それ以前に、飛べなくなっていたキキがあそこで急に飛べるようになる根拠がいまいち希薄。それにあの嵐の中でカバを空輸するという動物園長の決断は正気の沙汰とは思えません。しかも自分のところの従業員には「そんな危ないところに行かせられない」とか言うんですよ?お届け屋なら別にいいのかと。しかも空輸に踏み切る理由が「やっと連絡の取れた獣医が早くしないとどこか行っちゃうから」ってどあほうですか。つーかその医者を迎えに行って運んできた方がよっぽど楽だよ。で、その獣医の浅野忠信もね、なんかやっつけ感丸出しな感じがしてしょうがない。つーかなんだあの治療は。「カバが旅の中で自分を救ったんだ」とか頭おかしいことを言ってて大変困ります。新井浩文も怒鳴ってばかりの頭悪い役で困りました。

そして、歌えなくなった有名歌手。まあそのうち歌うんだろうな、とは思ったものの、何であの嵐の中歌っちゃったの?しかもその生歌が遠く離れたキキまで聞こえるって声量スゴいな!もうこのシーンは直視するのがツラかったです。あと最初と最後のナレーションは原作者がやっているようですが、これいる?特にエンドロール後、あそこナレーションにするくらいなら、旅立ちの景色を桜満開の頃にして、ラストを桜の咲き始める風景とかにすればもうすぐ一年経つことを画的に表現できるでしょうに。

あまりジブリ版と比べる気はなかったんだけど、不本意ながら却って宮崎駿の演出力の凄さを思い知ってしまった気がします。魔法の力が衰えてジジの言葉が分からなくなったときの心許なさとか、事件の緊急度が再び飛ぶきっかけとして十分であるとか、デッキブラシで飛ぶときの鬼気迫る「飛べ」など。今作には自己紹介のシーンもないですが、あれってちょっとしたシーンなのに結構印象的なんですよね。

というわけでかなりdisりましたが、ここまで文句垂れても小柴風花ちゃんが素晴らしいので全て許します!空を飛ぶシーンなんかはどれも良くできてるし、小柴風花ちゃんの満開の笑顔でエンドロールに行く、という終わり方でもう満足。むしろ小柴風花ちゃんで続編も作ってくれないかな!絶対観るよ!


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