2014
02.17

老いも若きも己を越えて昇り行け。『TIGER & BUNNY The Rising』感想。

tiger_and_bunny_the_rising
2014年 日本 / 監督:米たにヨシトモ

あらすじ
劇場版・ワイルドに吼えるぜ!



企業ロゴを背負い街の平和を守るヒーローたちを描く『TIGER & BUNNY』の完全新作劇場版。前作の劇場版『TIGER & BUNNY The Beginning』は初期エピソードを若干アレンジした入門編的なもので、新たなエピソードはあったもののそもそものファンとしては若干物足りないものでしたが、今回はテレビシリーズ終了後の世界、オリジナルな続編です。

これは期待を遥かに上回る出来!元々好きだというのを差し引いても素晴らしい。アクションもドラマも山盛りなうえにテンポも良く、既に立ってるキャラたちを更に掘り下げて深みを増し、全ヒーローが大活躍するチーム感がありながらタイガーとバニーのバディ感も損なわず、かつ新キャラが味方も敵も印象深いです。特に新ヒーローのゴールデンライアン、いかにもアメリカンなこいつの決め台詞が「どっどーん!」なのが頭悪そうで実にイイ。他のメンバーも服装が今までと変わってたりして新鮮です。

主人公が苦悩する中年ということもあって、ちょっと人生に疲れたおっさんたちは必見ですよ。ヒーローものとしてもひねりながらも王道だし、性の違いに悩む人にも優しい。もう最初から最後まで、その時々の色んな感情でずっと泣きそうでした。それでいて笑えるシーンも随所にあって、実によく練られたシナリオ。そしてアクションもガッツリ魅せるダイナミックな演出。絵本のようなオープニングもイカしてるし、主題歌もおなじみのユニゾンで安心。

できればテレビシリーズ、無理なら『The Beginning』くらいは観た方が世界に入り込みやすいとは思いますが、冒頭に5分で分かるテレビ版ダイジェストが付いているので、未見の人もとりあえず観に行っちゃっていいと思います。と言うかわざわざダイジェストなんて付けるということは、今まで観てない人にも楽しんでもらえる自信があるからじゃないかな?そう思えるくらい最高でしたよ。

ちなみに入場者プレゼントでヒーローコラムカードってのをもらったんですが、これがブルーローズちゃんでした。JKアイドルのブログ感満載のコラムが載ってて萌えます。思えば『The Beginning』でもらったカードもブルーローズちゃんでした。相変わらず尻も乳も素晴らしいブルーローズちゃんには完全ホールドされるに決まってるじゃないか!

↓以下、ネタバレ含む。








アクションシーンはかなり力入ってます。タイガーがあそこまでスパイディ・アクションをやるとは。ラストバトルはちょっと『アキラ』を彷彿とさせますね。コメディシーンもバイソンさんが迷走しすぎとか、実はあのしゃべり方は狙っていたスカイハイとか、カリーナがおっさんラブなのが皆にバレバレとか、よくそこまで盛り込んだなという感じでスゴいです。あと楓ちゃんがすっかり大きくなってしまったのは喜ばしい反面、一抹の寂しさを感じますね(すっかり父親目線)。ちなみに敵の爺さんは『ストーン・オーシャン』のケンゾウを思い出すな。

虎徹は2部リーグのヒーローとして踏ん張っていたわけですが、自分の能力の減退、それを理由の解雇、若い力の台頭と、中年に差し掛かった者に迫りくる問題が目白押し。ここでまず泣けます(中年は)。でも虎徹の生き様は、年を経て失われるものがあってもそれが熱い思いを失う理由にはならないと言っているのです。これでさらに泣ける。ぶっちゃけね、虎徹の理想論はちょっとキレイごとすぎるし、年のわりに甘すぎるとは思うんですが、しかし忘れてはいけないのが「ヒーローとは何か?」という命題がその根底にあるということです。ヒーローの存在意義は「人々の平和を守ること」。捻りがなかろうが陳腐であろうがこれがなければヒーローとは呼ばれません。これを最も貫いているのが虎徹です。ハンドレッド・パワーが使えないなら、今までの経験や知識を活かして出来ることをする。その結果虎徹が楓ちゃんに行けと促されて向かった先が、ネイサンのところです。自分がここを食い止めればカリーナが戦線に復帰できる、結果的に人々を救うことが出来る。この発想がヒーローなんですよ。最後のタイガーコール大合唱は少々クサいシーンながら、賞賛を浴びようとしてやってないから少々照れくさい、でも嬉しいという思いが観てるこちらにも伝わって、それが感動的。そしてこういう思いはバニーにもしっかり根付いている。この後進が受け継いでくれているという姿にまた涙します。そういう意味では、ただの嫌味なヤツかと思われたゴールデンライアンが何だかんだ言いながら見回りにも行ったり、ちゃんとヒーローしてたのも良かったです。

ヒーローとしての王道をズバッと突くのが虎徹の役目なら、ヒーローものっぽくアイデンティティの揺らぎを体現するのがネイサン。悩みなんてないと言っていた彼、というか彼女が己のトラウマに囚われてしまうのは、今まで微塵もなかった展開なので危機感がスゴい。それだけヒーロー内の精神的な支柱になっていたということが伺えるのも深いです。そしてそんな危機を打ち砕いたホァンちゃんのネイサンに対する熱い信頼の叫び。これまた泣けます。しかもそこからホァンちゃんの成長した姿も見られる。強力なキメ技を繰り出すのは伏線からの予想どおりとはいえ燃えずにはいられません。つまりおっさんだけでなく、若い力が悩み傷つきながらも成長する姿まで描いているわけです。これは最後に活躍するイワンにも言えますね。彼はもう見切れるだけじゃないのです。まあ代わりにバイソンさんが見切れるわけですが……あれは新たな表現を追及しているということでポジティブに捉えましょう。

『The Rising』ってタイトルを最初に聞いたときはさすがに「タイバニまでダークナイトに感化されたか?」と思いましたが、観終わってみればどのヒーローたちも今までの自分を越えて昇っていこうとしている、まさにRisingなわけで、内容に偽りなし(そもそもダークナイトはRisesだけど)。実写映画も含めて、ヒーローものの中でも最高峰の一つだと思います。


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