2014
02.14

胸を叩け、そして歌え。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』感想。

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The Wolf of Wall Street / 2013年 アメリカ / 監督:マーティン・スコセッシ

あらすじ
このペンを俺に売ってみろ。



主演レオナルド・ディカプリオ、監督マーティン・スコセッシが5度目のタッグで送る、株屋であるジョーダン・ベルフォートの金にまみれた半生を描くクライム・コメディ。

そう、これはコメディと言うしかないですね。一旗揚げようという情熱、仲間との友情、スリリングな金融ドラマ、どれも片足はかかっていながら決してそちらに振り切ることはないのです。野心に燃える若者たちの成功と信頼と裏切りという点では同監督の『グッドフェローズ』に通じるものがあるけども、こちらは特に感動も教訓もなく、自らの野望を果たすべくセックス、ドラッグ、ビッグマネーを貪欲にむさぼり食うだけ。そこには反省なんてありません。株で大損した人々が映されることもありません。だから同情も感動も必要なく、これはもう笑うしかない。ジョーダンと一緒に駆け上がり、落ちて行くだけです。そしてその高揚感と疾走感が最高。179分という上映時間はさすがに「あっという間だった」ということはないですが、とにかく最初から最後までハイテンション、それでいて山と谷の絶妙なバランスでストーリーが展開されて、3時間飽きることがありません。

ディカプリオは経験と技術と情熱を全てブチ込んだ渾身の演技で素晴らしいです。『華麗なるギャツビー』とは全くベクトルの違う派手派手しさがエグくて、まさに下衆の極み。ディカプの集大成と言っちゃっていいでしょう。すぐにお宝を人前にさらすジョナ・ヒルのイラつかせ具合もイイ。そしてンーンー歌うマコノヒー兄さんはやはりカッコよい。あの歌は撮影の合間にマコノヒー兄さんがやってたのを監督とディカプが取り込んだそうですが、あれはイイわー。飲み会とかでみんなでやったらクレイジーすぎてアガりますね。ンンンーンンーカモン!

とにかくファック言い過ぎ、おっぱい出過ぎで最高です。これはぜひボカシなしで観てみたいですね、純粋にエロい気持ちから。ただそうするとジョナ・ヒルのお宝もポロリしてしまうのでそこだけカットで。ちなみに「fuck」は劇中506回使われてるそうですよ。数えたのかよすげーな。ベニ!ファッキン!ハナ!

↓以下、ネタバレ含む。








ジョーダンにカリスマ性を感じて「自分もああなりたい」と野心が疼く若者も多いんですかね?確かにイチ証券マンから成り上がり、新興勢力としてウォール街を脅かすまでに会社を成長させた実力はスゴいですが、それでいて決してカッコよくは描かれてないんですよ。最初の頃は株屋としての実力を発揮して順風満帆に見えますが、いつしかセックス&ドラッグに溺れ、本能とプライドと自己愛の塊と化していくのです。

特にカッコ悪いのは取引委員会との取引で決まっていた引退を撤回したところですね。あそこからはもはや勝負ではなく悪あがきになってしまいます。その先に待つのは、引き際を見誤まった男の末路。あの引退撤回でジョーダンがハンナことマコノヒーのンーンーを歌うのは、あの颯爽と株を売って稼ぐマコノヒーの姿こそが目指すべき憧れだから、ってことでしょう。ということは、ハンナとの出会いはその後の指針となったわけで、それはジョーダンにとって最初の転機だったということです。

しかしその金を稼ぐシーンは、ジョナ・ヒルにドラッグを吸わされるあたりからどんどん少なくなっていきます。本人はドラッグはポパイのほうれん草と同レベルだと思ってますが、実際はジョナ・ヒルは死にかけるし、奇跡的に事故らなかったはずの車は実際はボコボコだったりするわけです。遭難しそうな時も「俺はシラフじゃ死なん!」だし、離婚を切り出されてすぐさまクスリを貪る姿は哀れでさえあります。つまりクスリに依存し始めたのが第二の転機だったと言えるでしょう。最初マコノヒーと会ったときはドラッグ断ってたからね。

先に述べた自己愛という点で顕著なのは、子供との関係があまり描かれないことです。描かれたとしても、子供を抱っこするシーンでは嫁さんノーパンで大股開きだし、牧場で遊ぶ子供を見てるときは親父と茂みの話してるし。つーか親父っていうのは最初ただのあだ名だと思ってたら本当の父親でしたね。その実の親と「茂みがないほうがいい」とか、親父も「俺は気にならない」とか真面目に会話してて笑えます。そのガラス屋の父親を見てきて、根底に「貧乏は美しくない」という思いはあったんでしょうが、「株屋は刺激があって楽しい」から始まり、次第にマネーゲームの旨さと刺激に抗えなくなり、ついには違法行為まで平然と行ってFBIに目を付けられ、最後は家族を失い、友に裏切られ、全てを失う。周りを顧みないが故に歯止めが効かなかったわけです。思えば最初の奥さんは的確な助言をくれて、その通りにしたらうまくいっていたわけですが、結局ほかの女になびいて別れてしまう。これが第三の転機となってその後を決定付けます。

という感じで大きな転機が三回あったと思うんですよ。つまり気付いたら転落していた訳ではなく、きっちりフラグを立ててカッコ悪さを増していったのです。あ、カッコ悪いって別に悪く言ってるわけじゃないですよ?端から見ればその姿こそがむちゃくちゃ面白いわけですからね。なんだよ社内ファック禁止って!ラリってヘリ操縦って!ディカプ最高!スコセッシ最高!ですよ。そしてそんな中唯一カッコイイのが、ヤクの売人ブラッドのペンの売り方。それをラストにまた持ってくるのがニクい。誰もあの売り方ができない。大抵の人はそんなカッコよくはなれないのです。そしてそのペンの売り方を引き出したジョーダンのように徹底してカッコ悪くもなれない。どちらかに振り切った男の物語だからこそ面白いのです。


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