2014
01.30

傷付いても忘れがたい、少年たちの夏。『MUD』感想。

mud
Mud / 2013年 アメリカ / 監督:ジェフ・ニコルズ

あらすじ
ヘビに気をつけろ!



川岸のボートハウスに住む14歳の少年エリスが、友人のネックボーンと共に出かけた島で不思議な男マッドと出会う話。現代版『スタンド・バイ・ミー』なんて宣伝文句が付いてますが、日常にはない少し危険を匂わせる冒険に身を投じ、思春期の忘れがたい記憶と成長を描くという点では確かに近いものがあります。『トム・ソーヤーの冒険』を思わせる雰囲気もありますね。ありえない風景である「木の上のボート」という時点でもう引き込まれてしまいます。

主人公エリス少年は、高校生にでも殴りかかる血気盛んさ、年上の女性に想いを寄せる純情さで青春まっただ中。背伸びしたいお年頃でもあり、行動が真っ直ぐで物怖じしないその姿がホント眩しいです。そんなおり出会った男、マッド。危険ではないけど謎めいていて、なんか知らんけど何者かに追われており、でも悪い人とは思えない。恋人を待っているとロマンチックなことを言ったり、何やら哲学的なことを言ったり、しかもその存在は自分達だけが知っている。こんなミステリアスな大人が自分たちを子供扱いせず接してくれたら、それは惹かれてしまうでしょうね。

エリスを演じるタイ・シェリダンは将来イイ男間違いなしですね。エリスの友人ネックも機転の利くイイ子で、演じるジェイコブ・ロフランドが『スタンド・バイ・ミー』のリバー・フェニックスをちょっと崩したような容貌なのも印象深いです。そんな少年たちと絡むマッドは、我らがマシュー・マコノヒー!落ち着いてて魅力的なのに、やはり胡散臭いしやはり脱ぐ。さすがです。あと「金髪の美人」と言って現れたのがリース・ウィザースプーンというのは個人的にはちょっと残念だったんだけど、ジュニパーという女性の役柄には合っていたかも。

わりと淡々と静かに進むんだけど、終盤に突然盛り上がるのがダイナミック。それ以外でも要所要所で山場があって飽きさせません。少年二人に萌えて、マコノヒー兄さんの男脱ぎに悶えて、マイケル・シャノンがチェルノ・アルファで燃える、という多層的な良さがあります。素敵なジュブナイル。

↓以下、ネタバレ含む。








両親が離婚の危機にある、その不和を何となく感じ取っていたエリスが、恋人を待っているというマッドに共感してしまうのは必然ですね。(生意気にも)メイ・パールという年上の彼女もゲットしてその関係がずっと続くと思っている。永遠の愛を信じたいというのは、家族と一緒にいたいという分かりやすい裏返しです。

でもやがてエリスはマッドが嘘つきだと分かってしまう。口当たりのいいことを言いながらも結局はジュニパーと別れることにし、それを彼女のほうから言わせるよう仕向ける。単純に永遠の愛に心打たれていたエリスには裏切りとも取れる行為なわけです。加えて「シャツは身を守るもの」として銃と共にマッドの存在の象徴でもあったのに、それを無造作に木に掛けて半裸になったマッドを見れば、結果ブチ切れもするわけですよ。マッドの発言がどこまで嘘なのかはハッキリしませんが、襲ってきた奴らが軒並み死んでそれを聞いたパパボスが悲嘆して終わってしまったのを見ると、ジュニパーの事件もパパボスが大悪党だというのもひょっとしたら事実ではないのかもしれないのです。むしろあっちが被害者なのか?

そんな感じでマッドは多分に夢見がちでいい加減であり大人とは言い難い点もあるんだけど、好きな女にはアタックあるのみ、付き合えばいつだってラブラブだと信じるエリスにはまだ大人の男女の機微など分からないし、嘘にも騙されます。でも決して悪人ではないし、身の危険を顧みず病院に運んでくれる。マッドの存在したあの期間、14歳の少年は傷付き、世の中を少しだけ理解して、そして成長したというほどではないにしろ、代えがたい何かを手に入れたのです。

マッドのほうもスナイパーぶりが熱かったトムおじさんことサム・シェパードが一緒なら何とかなんじゃね?って思えるしね。失って戻らないものもあるにせよ、実に爽やかな余韻が心地よいです。それにさー、結局最後は彼女に手を振ってもらってたしなー。なんなの、大勢いるところで恥ずかしかったの?青春っていいな!(半分やっかみ)


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マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン 他

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