2014
01.12

恐怖を操る装置の綻び。『ハンガー・ゲーム2』感想。

hunger_games2
The Hunger Games: Catching Fire / 2013年 アメリカ / 監督:フランシス・ローレンス

あらすじ
また私か!



独裁国家統治下の全12地区の代表者が選抜されて行われる殺し合いゲーム「ハンガー・ゲーム」、前回大会で優勝したカットニスはまたもや戦いに身を投じることになる、サバイバル・シリーズ第2弾。

予想はしてたけど構成がほぼ前作と同じ。タイトルでもあるハンガー・ゲームが始まるまでが長いです。そしてこれまた前作同様、殺し合いゲーム自体はゲーム性に乏しくアンフェアすぎて全く惹かれません。主催側がコントロールして死をもたらすことがいくらでも可能だし、殺し合いによるスリル、疑心暗鬼や騙し合いというものはさらに希薄に。要するにゲームそのものには重きを置いてないんですね。だから『バトル・ロワイヤル』を期待すると肩透かしを食らうことになります。前作観た人ならそんな期待はしないとは思いますが。

ゲームもその前段のツアーもテレビによるショーアップも、全てはあくまで恐怖政治を敷くための装置なわけです。その中で翻弄される若者たちの恋愛模様を絡めた生き様がメインであり、その観点で観てこそあのラストは驚くし、滾ります。

やはりなんといってもジェニファー・ローレンス、場面にやっては全く違う表情を見せるし、トレーニング室で見せる弓矢捌きが超カッコいい!着飾ったドレス姿の美しさ、ゲーム中の凛とした美しさにも惹かれっぱなし。燃えるドレスでクルクル回転変化も良いですね。まあお陰でレニー・クラヴィッツはボコられますが。ヘイミッチ役のウディ・ハレルソンや胡散臭い司会者ぶりがたまらないスタンリー・トゥッチも続投。そして大統領役のドナルド・サザーランドの強大さもさることながら、新ゲームマスターがフィリップ・シーモア・ホフマンってのがもうね、ゲーム難易度ダダ上がりですよ。勝てる気がしないですよ、ジェニファーとホフマンがダンスをするシーンがあるんだけど、並んだ二人の顔の大きさの違いがスゴいです。勝てません、顔面力で。

原題は「燃え広がる炎」とあって、まさにという感じ。世界観や観点が分かってるだけに前作よりすんなり楽しめましたよ。ああ、これは意外と続編が楽しみだ。でも次作は前後編の2部構成とか聞いて、ちょっとうへえってなってます。

↓以下、ネタバレ含む。








前作と構成は同じと言いましたが、だからこそ出る味みたいなものがありますね。相棒のピータが信用できるヤツなのが分かってるだけに、ツアーを回るときのせつなさとか。てっきりカットニスとピータはラブになったと思ってたので元カレのゲイルはどうするのかと思ったらゲイルのほうが本命とか、いやでもピータは片思いビンビンなのに常にカットニスを気遣うあたり、なんなのあの紳士って感じです。それから付添役のエフィーがカットニス大好きなのにまたゲームに選ばなきゃいけない時の表情とか、ヘイミッチとカットニスたちの間にある言わなくても通じる信頼感とか。前回大会で命を落とした少女の地区での演説は思いのほか泣けました。

これでハンガー・ゲーム自体がもっと見応えあればねえ。毒の霧とか酷いですね、あんなに顔面ボコボコになったのに海水で洗えばあっという間に元通りとか。血の雨が降るってのもなんかよく分かんないし、おしゃべりカケス?の精神攻撃?なんだあれ、アホか。そもそもゲーム始まってあっという間に3分の1くらいが死んじゃうってのが、数を揃える意味がないですよ。時間ごとに襲ってくる仕掛けも予め何か言ってないと分かんないでしょう、看破したのも偶然だし。マグス婆さんが実はスゴい隠し玉なんじゃないかと期待してたらあっけなく消えてしまうしな。ああでもジョアンナはいいですね、超反抗的なのと脱ぎっぷりが。

だからやはりゲーム自体は恐怖政治の象徴、ガス抜きでしかなく、テレビで盛り上げようとするのもそういう戦略であることを描いてるんでしょう。そのためにゲームはいくらでもコントロール可だし、むしろフェアであっては困るわけです(でもゲームで優勝者が出るたびに大統領の危惧する「希望」が生まれてしまう気もするんだが)。旅芸人のように各地を巡るのも、キャピタルにとってはプロパガンダなのですね。しかしあのツアーは地区にとってはカットニスが希望の象徴であることの伝播にもなっています。

妊娠発言や手繋ぎで盛り上げておきながらあっさりゲーム開始なのは拍子抜け。あそこで世論が炎上するシーンはあっても良かった。レジスタンスがどれだけ広がってるか分からないから規模感がつかめないんですよ。さらにカットニスは基本自分と自分の大切な人のことしか考えていません。果たしてここからどう展開するのか。天井ぶち壊すのはスゴかったし、意表を突くラストにも驚いた(あの人が味方である安心感な!)。そして最後の最後、焦りと悲しみの表情から怒りと決意の表情へと変化するカットニス。このあたりの引っ張り方がうまくてノッてしまったので、続編を待ちますよ。


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